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通りを挟んで屋根と屋根のあいだにぶら下げられたランプの下を歩きながら、設置された出店を眺めていく。出店だけでなく、建ち並ぶ店舗も賑わっているようだ。
「これでは何を見たらいいのか迷いますね」
「一年に一度しかない観光収入の機会ですから、祭りを目指して用意した品々ばかりです」
「そうなのですね」
採掘に携わる人々が訪れたときのために用意されている建築中の宿舎や、鉱石を加工する工房などの外観を見学した後、そのまま領地の特産品である果物や織物が売られている通りへと移動する。
染色と織物の工房を併設した店に入ると、店内には赤や橙色、黄色といった暖色の装飾品が多く並べられていた。どうやら作った布を加工した品も用意しているらしい。
「鮮やかな発色だな」
商品を熱心に眺める私の横で、おにいさまは赤色の花を模したブローチを手に取った。
「ほら、ペレーネ。これを見てみろ」
おにいさまが見せてくれた花のブローチは、花弁を模した何枚もの布地が重なり合い、濃い赤色から薄い赤色へと滑らかに移り変わる美しいグラデーションを作り出している。
「わあ、奇麗ですね!」
「こういう手の込んだ品は量産できないから、名が売れていないうちは儲けが少ないだろうな。付加価値が付けば、値が跳ね上がるだろうが……」
「おにいさまがそれを身につけて夜会へ行けば、付加価値が付きますわ」
「おまえは俺の価値がよく分かっているな」
気をよくしたのか、おにいさまは私の頭をぐりぐりと撫でる。
こういうところが子供扱いされていると痛感するのに、嫌ではないのだから不思議だ。
「母上の土産にでもするか」
「おばさまに似合いそうな色ですね」
「母上は地味だからな」
「そういう意味ではなくて、肌を明るく見せてくれそうだと思ったのです」
「まあ、母上もそろそろ肌質が気になる年齢ではある」
「おにいさま! 失礼ですわ!」
従兄の母君はとても美しい方だ。明るく溌剌とした性格で、素敵に年齢を重ねている。
「まったく、もう……」
頬を膨らませていると、隣で気配を消していたアーファ様が、別のブローチを手に取って言った。
「ペレーネにはこの色が似合うと思います」
黄色に赤色を少し混ぜたような、深みのある濃い黄色。
ひまわりのようにも見えるが、ここからでは手元がよく見えない。
「私が身につけたら、派手派手しくなりそうですね」
「そうでしょうか? 貴女の赤い髪に似合うと思いますよ」
アーファ様は本気でそう思っているようで、きょとんとした顔をしている。
「私の容姿はどちらかというと派手な部類のようですから、嫌でも他者の目を引くようです。そのせいで、派手好みだとか、男性を勘違いさせるとか――、それはもう色々不本意なことが多いです。だから、あまり目立ちたくありません」
アーファ様も私のことを派手を好む性格だと思っているようだから、半分は当てつけのように伝えてみた。そんな気持ちを察してくれたようで、彼は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
気まずい空気を無視して、おにいさまは赤いブローチを私の首元に寄せた。
「おまえの赤い髪に、このブローチの赤は負けているな」
「おにいさま。染色した赤よりも私の髪色は派手だと言いたいのですか?」
「褒めているつもりだ」
おにいさまは呆れた顔をしてブローチを手に会計へ向かった。
(そうは言っても、おにいさまの豪奢な金髪も相当目立つわよね……)
すぐに気配を消してしまうアーファ様に目を向けると、彼は手にしていたブローチを商品棚に戻し、眼前に並ぶ別のブローチを眺めている。
彼は色鮮やかな商品を流し見ていたが、ふと視線を止めた。その眼差しの先を見やると、小さなブローチが置かれている。
ヒュドル邸の花壇にも咲いている薄紫色のルピナスが刺繍されたブローチだ。
「アーファ様はルピナスがお好きなのですか?」
「え?」
彼は話しかけられたことに驚いたのか、弾かれたように顔を持ち上げる。
「屋敷の花壇に咲いているのを見ました」
「あ、ああ……そうでしたね」
そんな戸惑うようなことを訊ねただろうか。
もしかしたら、ブローチを眺めつつ、別のことを考えていたのかもしれない。
「ペレーネは何色が好きですか?」
「好きな色ですか?」
質問を質問で返すときは、はぐらかされたのだ。
あえて食いついて続けるような話題でもないから、私は話を合わせる。
「そうですね……。先ほどおにいさまが手にしていたような色も、アーファ様が手にしていた色も好ましいです」
「赤や黄色が好きなのですね」
「私には似合わない自覚がありますが、好ましいです」
「好ましい、ですか……。では、こういう薄紫色は?」
アーファ様は、さきほど見ていたルピナスの花のブローチを指さした。
「控えめな色で好ましいですね」
「赤と黄色、薄紫色の中ではどの色が一番好きですか?」
「い、一番ですか?」
なぜそんな矢継ぎ早に、よく分からない質問をしてくるのだろう。返答するのが少々面倒だ。
「どれも好ましいと思いますが……」
アーファ様は少しだけ驚いたような表情を見せて、「ああ……、なるほど」と小さく呟いた。
「話を戻して申し訳ないのですが、僕は貴女の容姿から派手な性格をしていると思ったわけではありません。ただ公爵家の令嬢として王都での華々しい生活しか知らないので、こちらの生活は地味で退屈に感じるかと思ったのです」
「そ、そうなのですね」
「だから、つい念を押すようなことばかり言ってしまいました。それが貴女を不快にさせているとは思いもしなかったのです」
「べつに不快だなんて……」
否定できなくて返答しづらい。
この方は、真っ直ぐに言葉を伝えてくる時と、そうでない時の差が激しすぎる。
「ペレーネ。いつか、貴女に似合う色ではなく、貴女が本当に好きな色を僕に教えてください」
アーファ様はそう告げると、最初に手にしていた黄色のブローチを手に取った。
「僕はこれにします」
おにいさまと入れ替わるように、彼は会計へと向かう。
「ど、どういう意味かしら……?」
好きな色を問われただけなのに、なんだかよく分からない会話だった。
呆然とする私を見て、おにいさまは小さく首を傾げた。
「どうした?」
「おにいさま、私の好きな色ってなんだと思いますか?」
「好きな色? さあ……なんだろうな。おまえは何でも『好ましい』と言うから、逆に嫌いな色なんてないだろう? 黒色すらカラスの羽のようで好ましいと言うほどだからな」
おにいさまは苦笑して、店舗に併設された工房の方を見やった。そこでは職人たちが商品を製作している様子を窓越しに見ることができる。
「ここは布の染色体験もできるらしい。こうやって工程を見せて、興味を持たせるのが目的だな」
「実は私も気になっています」
「今日は観光客が多いからやめておけ。また改めて挑戦したらいい」
「はい。そういたします」
「鉱物の発掘が始まったら、こういう形で加工と販売の店を併設するのもいいだろうな。自分が注文した宝飾品が加工される現場を見ることの出来るサービスを設けるとかどうだ?」
「職人は緊張して手を滑らせそうですね」
「……そういうこともあり得るな……」
おにいさまは工房を眺めながら何やら思案に耽る。美麗な横顔を見つめながら、ふと思いついたことを口にしてみた。
「おにいさまは、そういう鉱石を加工してくださる職人の方にツテはありますか?」
「ん? 数人いるが、どうした?」
おにいさまは身体を傾けて私に顔を寄せた。
「実は……加工していただきたい原石があります」
私は声をひそめて、お願いごとを伝える。
「なんだ、そんなことか。いいぞ。協力してやる」
おにいさまは猫背になっていた背中を伸ばして、再び工房の中に視線を向けた。
(身長差があるから、どうしても気を遣わせてしまうわね……)
おにいさまはいつもこうやって目線を合わせてくれる。そんなさりげない優しさが女性を虜にするのだろう。
「何のお話をされているのですか?」
アーファ様は購入した品を可愛らしく包装してもらったようだ。小さな箱を胸のポケットにしまいながら、訝しそうな顔をする。
「鉱石の加工をこのような形で見られる店舗を作れたらいいですね、という話をしておりました」
「そうですか……」
声の調子から納得していないことが伝わってきたけれど、彼はそれ以上訊いてこなかった。
「これでは何を見たらいいのか迷いますね」
「一年に一度しかない観光収入の機会ですから、祭りを目指して用意した品々ばかりです」
「そうなのですね」
採掘に携わる人々が訪れたときのために用意されている建築中の宿舎や、鉱石を加工する工房などの外観を見学した後、そのまま領地の特産品である果物や織物が売られている通りへと移動する。
染色と織物の工房を併設した店に入ると、店内には赤や橙色、黄色といった暖色の装飾品が多く並べられていた。どうやら作った布を加工した品も用意しているらしい。
「鮮やかな発色だな」
商品を熱心に眺める私の横で、おにいさまは赤色の花を模したブローチを手に取った。
「ほら、ペレーネ。これを見てみろ」
おにいさまが見せてくれた花のブローチは、花弁を模した何枚もの布地が重なり合い、濃い赤色から薄い赤色へと滑らかに移り変わる美しいグラデーションを作り出している。
「わあ、奇麗ですね!」
「こういう手の込んだ品は量産できないから、名が売れていないうちは儲けが少ないだろうな。付加価値が付けば、値が跳ね上がるだろうが……」
「おにいさまがそれを身につけて夜会へ行けば、付加価値が付きますわ」
「おまえは俺の価値がよく分かっているな」
気をよくしたのか、おにいさまは私の頭をぐりぐりと撫でる。
こういうところが子供扱いされていると痛感するのに、嫌ではないのだから不思議だ。
「母上の土産にでもするか」
「おばさまに似合いそうな色ですね」
「母上は地味だからな」
「そういう意味ではなくて、肌を明るく見せてくれそうだと思ったのです」
「まあ、母上もそろそろ肌質が気になる年齢ではある」
「おにいさま! 失礼ですわ!」
従兄の母君はとても美しい方だ。明るく溌剌とした性格で、素敵に年齢を重ねている。
「まったく、もう……」
頬を膨らませていると、隣で気配を消していたアーファ様が、別のブローチを手に取って言った。
「ペレーネにはこの色が似合うと思います」
黄色に赤色を少し混ぜたような、深みのある濃い黄色。
ひまわりのようにも見えるが、ここからでは手元がよく見えない。
「私が身につけたら、派手派手しくなりそうですね」
「そうでしょうか? 貴女の赤い髪に似合うと思いますよ」
アーファ様は本気でそう思っているようで、きょとんとした顔をしている。
「私の容姿はどちらかというと派手な部類のようですから、嫌でも他者の目を引くようです。そのせいで、派手好みだとか、男性を勘違いさせるとか――、それはもう色々不本意なことが多いです。だから、あまり目立ちたくありません」
アーファ様も私のことを派手を好む性格だと思っているようだから、半分は当てつけのように伝えてみた。そんな気持ちを察してくれたようで、彼は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
気まずい空気を無視して、おにいさまは赤いブローチを私の首元に寄せた。
「おまえの赤い髪に、このブローチの赤は負けているな」
「おにいさま。染色した赤よりも私の髪色は派手だと言いたいのですか?」
「褒めているつもりだ」
おにいさまは呆れた顔をしてブローチを手に会計へ向かった。
(そうは言っても、おにいさまの豪奢な金髪も相当目立つわよね……)
すぐに気配を消してしまうアーファ様に目を向けると、彼は手にしていたブローチを商品棚に戻し、眼前に並ぶ別のブローチを眺めている。
彼は色鮮やかな商品を流し見ていたが、ふと視線を止めた。その眼差しの先を見やると、小さなブローチが置かれている。
ヒュドル邸の花壇にも咲いている薄紫色のルピナスが刺繍されたブローチだ。
「アーファ様はルピナスがお好きなのですか?」
「え?」
彼は話しかけられたことに驚いたのか、弾かれたように顔を持ち上げる。
「屋敷の花壇に咲いているのを見ました」
「あ、ああ……そうでしたね」
そんな戸惑うようなことを訊ねただろうか。
もしかしたら、ブローチを眺めつつ、別のことを考えていたのかもしれない。
「ペレーネは何色が好きですか?」
「好きな色ですか?」
質問を質問で返すときは、はぐらかされたのだ。
あえて食いついて続けるような話題でもないから、私は話を合わせる。
「そうですね……。先ほどおにいさまが手にしていたような色も、アーファ様が手にしていた色も好ましいです」
「赤や黄色が好きなのですね」
「私には似合わない自覚がありますが、好ましいです」
「好ましい、ですか……。では、こういう薄紫色は?」
アーファ様は、さきほど見ていたルピナスの花のブローチを指さした。
「控えめな色で好ましいですね」
「赤と黄色、薄紫色の中ではどの色が一番好きですか?」
「い、一番ですか?」
なぜそんな矢継ぎ早に、よく分からない質問をしてくるのだろう。返答するのが少々面倒だ。
「どれも好ましいと思いますが……」
アーファ様は少しだけ驚いたような表情を見せて、「ああ……、なるほど」と小さく呟いた。
「話を戻して申し訳ないのですが、僕は貴女の容姿から派手な性格をしていると思ったわけではありません。ただ公爵家の令嬢として王都での華々しい生活しか知らないので、こちらの生活は地味で退屈に感じるかと思ったのです」
「そ、そうなのですね」
「だから、つい念を押すようなことばかり言ってしまいました。それが貴女を不快にさせているとは思いもしなかったのです」
「べつに不快だなんて……」
否定できなくて返答しづらい。
この方は、真っ直ぐに言葉を伝えてくる時と、そうでない時の差が激しすぎる。
「ペレーネ。いつか、貴女に似合う色ではなく、貴女が本当に好きな色を僕に教えてください」
アーファ様はそう告げると、最初に手にしていた黄色のブローチを手に取った。
「僕はこれにします」
おにいさまと入れ替わるように、彼は会計へと向かう。
「ど、どういう意味かしら……?」
好きな色を問われただけなのに、なんだかよく分からない会話だった。
呆然とする私を見て、おにいさまは小さく首を傾げた。
「どうした?」
「おにいさま、私の好きな色ってなんだと思いますか?」
「好きな色? さあ……なんだろうな。おまえは何でも『好ましい』と言うから、逆に嫌いな色なんてないだろう? 黒色すらカラスの羽のようで好ましいと言うほどだからな」
おにいさまは苦笑して、店舗に併設された工房の方を見やった。そこでは職人たちが商品を製作している様子を窓越しに見ることができる。
「ここは布の染色体験もできるらしい。こうやって工程を見せて、興味を持たせるのが目的だな」
「実は私も気になっています」
「今日は観光客が多いからやめておけ。また改めて挑戦したらいい」
「はい。そういたします」
「鉱物の発掘が始まったら、こういう形で加工と販売の店を併設するのもいいだろうな。自分が注文した宝飾品が加工される現場を見ることの出来るサービスを設けるとかどうだ?」
「職人は緊張して手を滑らせそうですね」
「……そういうこともあり得るな……」
おにいさまは工房を眺めながら何やら思案に耽る。美麗な横顔を見つめながら、ふと思いついたことを口にしてみた。
「おにいさまは、そういう鉱石を加工してくださる職人の方にツテはありますか?」
「ん? 数人いるが、どうした?」
おにいさまは身体を傾けて私に顔を寄せた。
「実は……加工していただきたい原石があります」
私は声をひそめて、お願いごとを伝える。
「なんだ、そんなことか。いいぞ。協力してやる」
おにいさまは猫背になっていた背中を伸ばして、再び工房の中に視線を向けた。
(身長差があるから、どうしても気を遣わせてしまうわね……)
おにいさまはいつもこうやって目線を合わせてくれる。そんなさりげない優しさが女性を虜にするのだろう。
「何のお話をされているのですか?」
アーファ様は購入した品を可愛らしく包装してもらったようだ。小さな箱を胸のポケットにしまいながら、訝しそうな顔をする。
「鉱石の加工をこのような形で見られる店舗を作れたらいいですね、という話をしておりました」
「そうですか……」
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