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あっけにとられていたアーファ様は、我に返り私の隣に並び立つ。
「精霊はどうなったのですか?」
「この中にいらっしゃいます」
何事もなかったかのように静かに凪いでいる池を指差す。
夫は困惑の色を宿す瞳で池を見つめているが、さきほど被った水が髪の先から滴っていて寒々しい。
「アーファ様、そのままでは風邪をひいてしまいます。こちらへどうぞ」
離れた場所に置かれたバスケットに駆け寄り、持参していた荷物から敷布を取り出して、草の上に敷いた。
「さあ、どうぞ。髪を拭きましょう」
「は、はい……」
夫はためらいを見せつつも、素直に腰を下ろす。
私は袋の中に手を入れて厚手の手巾を取り出したが、その間もアーファ様の視線を感じて少し落ち着かない。
不自然に目を逸らしながら、膝立ちで彼の頭へ手を伸ばした。
「じ、自分でやります……」
「アーファ様は横着そうなので、きちんと拭けますか?」
「横着!?」
気恥ずかしさを押し込んで、がしがしと彼の頭を拭くと、アーファ様は一瞬顔を持ち上げようとして、すぐに俯いてしまう。
「ペレーネ! む、胸が近いので離れてください!」
「え?」
アーファ様は私の手首を掴み、頬を赤くした顔で私を睨むように見上げた。
「手布を貸してください。自分で拭きます」
「あ……、は、はい」
素直に手布を渡すと、彼は私から顔を背けて髪を拭き始める。
拭くのに夢中で気付かなかったが、アーファ様の顔の前に胸を突き出している状態だったらしい。
私たちは夫婦としての営みもしているのに、そんな初心な反応をされるとは思いもしなくて、こちらまで恥ずかしくなってしまう。
「私、昼食の準備をいたしますね」
この雰囲気を変えたくて、昼食の入ったバスケットの蓋を開けた。案の定、中はぎっしりと詰まっていて、思わず頬が緩む。
「短時間でたくさん作ってくれたみたいですね」
アーファ様は同じように中を覗き込んで苦笑する。
「……作りすぎですね」
「ええ、でもアーファ様が一緒に来てくださったので助かりました」
サンドウィッチを紙に包んで差し出すと、彼は頷いて、それを受け取った。
私たちはしばらくのあいだ、目の前の景色を眺めながら無言で食べ進む。
太陽の下で食べるご飯は美味しい。
「さきほどの精霊について、教えていただけますか?」
「ああ……、そうでしたわね」
のんびりとした時間を楽しみすぎてしまった。
もぐもぐと口内に残っていたものを咀嚼して飲み込むと、アーファ様は無言で果実水を注いでくれた。
「ありがとうございます」
片手で口を隠しながら礼を伝え、喉を潤す。
そして、もう一度、水面を輝かせる小さな池へ視線を向けた。
「あの池にいたのは、この領地に加護を与えていた精霊の子です」
「子……? 子供!?」
「はい。精霊は子孫を残すとき分裂します。ちょうど二、三年前が分裂期だったのでしょう。年齢もそのくらいのようです」
「精霊の加護が無くなった頃ですね……」
「ええ。そして鉱山が発見されたのは一年前のこと。精霊は水で命を生み、大地で命を育みます。鉱物は精霊が分裂した子を育てるため、用意していたものでしょう。この領地の精霊はよほどサファイアが気に入っているのですね」
「この山にどれだけの鉱物が眠っているのでしょうか……」
「それは分かりません。領地は広く、所持している山もここだけではないでしょう? もしかしたら他の山にもあるかもしれません」
アーファ様もそのあたりの可能性は考えているだろう。
父と共に、例の坑道だけでなく、この山中や近隣の山々を調査することになるはずだ。
「あの精霊の子は親がいなくて大丈夫なのでしょうか?」
「あの子は分裂してからほとんどの時を一人で過ごしているせいで、私と会話ができませんでした。本来、精霊は、私のような人間と会話が可能なのです」
「必要な教えを得られていない――ということですね」
アーファ様は悲しそうな表情で池の方角を見つめている。
両親を早くに亡くした彼には、何か思うところがあるのかもしれない。
「では以前坑道に入った際、貴女は精霊の気配を感じたということですか?」
「あのときは確信が持てなかったのです。山の中に作られた水脈を通り道として移動していたようですが、水の中にいる状態の精霊は気配が小さくて……。あの子の年齢ですと、本来ならばすでに大地に移動していなければなりません」
「水で生まれ、大地に移動して育てられる前に、親が消えてしまったということでしょうか?」
私が首を縦に振ると、アーファ様は唇を噛んだ。
「それでは立つことの出来ない赤子と同じではありませんか……」
「この件は陛下にお伝えしようと思います」
「陛下に!?」
「親のいない精霊をこのままにしておくわけにはいきません」
「そ、そういうものなのですね」
「そういうものというより、精霊は寂しさが限界に達すると歪んでしまいますから、早々に対処したほうがいいのです」
アーファ様は私の言葉を静かに待っているが、なんとなくこの先を伝えることが憚られる。
そもそも他言していい話でもない。ただ、きっと、この領地にいた精霊のいなくなった理由もそのあたりなのだと思う。
「精霊は長命なせいかとても寂しがり屋です。わざわざレセプタクルに宿り、人間に間接的に加護を与える形で関わりを持っているのは、一人ではいられないからです。誰かが自分の存在を意識していると感じられるから加護を……想いをくださいます」
人間はその分かりづらい感情を察せられないから、精霊は拗ねて家出をしてしまうことがある。
けれど、暮らしていた土地や人々に飽きて去ったとしても、そのうちにまた恋しくなって慣れた場所に戻ってくる。
そんな利己的なところが人間に似ていて、精霊自身も、他の生き物ではなく人間に関わることを選んでしまうのだろう。
「あの幼い精霊は、人間との関わり方が分からないから、『歪んでしまう』のですか?」
「はい。でも詳しくは知りません。私たちも精霊の性質全てを把握しているわけではないので……」
「でも悪影響を及ぼす可能性があるいうことですね」
「その通りです。ちなみに、今お話しした精霊の生態についてですが、精霊を感じられる者以外には知らせてはならない機密なので、くれぐれも他言しないでください」
「機密!?」
私がわざとらしく微笑むと、彼は驚愕の表情で離れた場所で休憩をとる護衛たちを振り返る。
「だから彼らはあんなにも離れて……」
「はい。知ってはいけないことを知る危険を冒す者たちではありません」
「公爵閣下の選んだ騎士ですから、そのあたりも優れていそうですね」
アーファ様の言い方がおかしくて、つい笑ってしまうと、彼は怫然とした態度で昼食を再開した。
おかわりのサンドウィッチを頬張りながら、眉間の皺をますます深くしている。
(今日のアーファ様は拗ねた顔ばかりで、なんだか可愛らしいわ)
私も彼と同じようにもう一つサンドウィッチを取り出し、ぱくりとかじった。
「んっ!? こ、これ……」
二個目に食べたサンドウィッチの味に驚き、噛んだ断面を凝視する。
「何かありましたか?」
「この根菜のピクルス、とても美味しいです!」
「え?」
私はアーファ様にサンドウィッチの中のピクルスを見せた。
「食欲をそそる絶妙な酸っぱさです!」
「酸っぱい食べ物がお好きですか?」
「いえ、そこまで好きというわけでもないのですが、このピクルスは美味しいと思います」
「……僕はこのピクルスが苦手です」
「あら、そうなのですね」
「息を止めて飲み込んでいたところです」
「そんなにも!?」
「そんなにもです」
驚く私に、彼は真剣な面持ちで頷く。
(ああ、駄目。また笑ってしまいそう……)
必死に笑いを噛み殺し、私は努めて自然な笑みを浮かべながら言った。
「では、ピクルスの部分だけ私が食べてあげます」
「え……、食べ……?」
「いただけますか?」
「ど、どうぞ……」
アーファ様は、ピクルスの飛び出す断面を私のほうに差し出した。私はそのまま顔を近づけて、ぱくりと一口かじる。
「んんっ、美味しいです!」
手で口を隠しながら味を楽しんでいると、夫は呆然とした顔で私を見つめている。
「アーファ様?」
「本当に召し上がるとは思わなかったので……」
戸惑う夫を見ながら、はっと気付いて青ざめる。
「はしたない真似をして申し訳ありません!」
「あ、い、いいえ。そういう意味ではなく――」
「?」
「僕の食べかけを口にするのは嫌ではないのですか?」
「食べかけ……」
アーファ様はわずかに目元を赤らめている。妙な沈黙が二人の間に落ちた。
「え、ええと……」
言葉が上手く出てこない。気まずくて視線を彷徨わせていると、アーファ様はふっと吹き出して笑い始めてしまう。
「わ、笑わないでください!」
「ペレーネだって、僕のことを笑いました」
「それは!」
灰色の瞳を愉快そうに細めてアーファ様はひとしきり笑う。
笑いが収まると、私たちはなんとなく池を眺めながら、静かに昼食を続けた。
「精霊はどうなったのですか?」
「この中にいらっしゃいます」
何事もなかったかのように静かに凪いでいる池を指差す。
夫は困惑の色を宿す瞳で池を見つめているが、さきほど被った水が髪の先から滴っていて寒々しい。
「アーファ様、そのままでは風邪をひいてしまいます。こちらへどうぞ」
離れた場所に置かれたバスケットに駆け寄り、持参していた荷物から敷布を取り出して、草の上に敷いた。
「さあ、どうぞ。髪を拭きましょう」
「は、はい……」
夫はためらいを見せつつも、素直に腰を下ろす。
私は袋の中に手を入れて厚手の手巾を取り出したが、その間もアーファ様の視線を感じて少し落ち着かない。
不自然に目を逸らしながら、膝立ちで彼の頭へ手を伸ばした。
「じ、自分でやります……」
「アーファ様は横着そうなので、きちんと拭けますか?」
「横着!?」
気恥ずかしさを押し込んで、がしがしと彼の頭を拭くと、アーファ様は一瞬顔を持ち上げようとして、すぐに俯いてしまう。
「ペレーネ! む、胸が近いので離れてください!」
「え?」
アーファ様は私の手首を掴み、頬を赤くした顔で私を睨むように見上げた。
「手布を貸してください。自分で拭きます」
「あ……、は、はい」
素直に手布を渡すと、彼は私から顔を背けて髪を拭き始める。
拭くのに夢中で気付かなかったが、アーファ様の顔の前に胸を突き出している状態だったらしい。
私たちは夫婦としての営みもしているのに、そんな初心な反応をされるとは思いもしなくて、こちらまで恥ずかしくなってしまう。
「私、昼食の準備をいたしますね」
この雰囲気を変えたくて、昼食の入ったバスケットの蓋を開けた。案の定、中はぎっしりと詰まっていて、思わず頬が緩む。
「短時間でたくさん作ってくれたみたいですね」
アーファ様は同じように中を覗き込んで苦笑する。
「……作りすぎですね」
「ええ、でもアーファ様が一緒に来てくださったので助かりました」
サンドウィッチを紙に包んで差し出すと、彼は頷いて、それを受け取った。
私たちはしばらくのあいだ、目の前の景色を眺めながら無言で食べ進む。
太陽の下で食べるご飯は美味しい。
「さきほどの精霊について、教えていただけますか?」
「ああ……、そうでしたわね」
のんびりとした時間を楽しみすぎてしまった。
もぐもぐと口内に残っていたものを咀嚼して飲み込むと、アーファ様は無言で果実水を注いでくれた。
「ありがとうございます」
片手で口を隠しながら礼を伝え、喉を潤す。
そして、もう一度、水面を輝かせる小さな池へ視線を向けた。
「あの池にいたのは、この領地に加護を与えていた精霊の子です」
「子……? 子供!?」
「はい。精霊は子孫を残すとき分裂します。ちょうど二、三年前が分裂期だったのでしょう。年齢もそのくらいのようです」
「精霊の加護が無くなった頃ですね……」
「ええ。そして鉱山が発見されたのは一年前のこと。精霊は水で命を生み、大地で命を育みます。鉱物は精霊が分裂した子を育てるため、用意していたものでしょう。この領地の精霊はよほどサファイアが気に入っているのですね」
「この山にどれだけの鉱物が眠っているのでしょうか……」
「それは分かりません。領地は広く、所持している山もここだけではないでしょう? もしかしたら他の山にもあるかもしれません」
アーファ様もそのあたりの可能性は考えているだろう。
父と共に、例の坑道だけでなく、この山中や近隣の山々を調査することになるはずだ。
「あの精霊の子は親がいなくて大丈夫なのでしょうか?」
「あの子は分裂してからほとんどの時を一人で過ごしているせいで、私と会話ができませんでした。本来、精霊は、私のような人間と会話が可能なのです」
「必要な教えを得られていない――ということですね」
アーファ様は悲しそうな表情で池の方角を見つめている。
両親を早くに亡くした彼には、何か思うところがあるのかもしれない。
「では以前坑道に入った際、貴女は精霊の気配を感じたということですか?」
「あのときは確信が持てなかったのです。山の中に作られた水脈を通り道として移動していたようですが、水の中にいる状態の精霊は気配が小さくて……。あの子の年齢ですと、本来ならばすでに大地に移動していなければなりません」
「水で生まれ、大地に移動して育てられる前に、親が消えてしまったということでしょうか?」
私が首を縦に振ると、アーファ様は唇を噛んだ。
「それでは立つことの出来ない赤子と同じではありませんか……」
「この件は陛下にお伝えしようと思います」
「陛下に!?」
「親のいない精霊をこのままにしておくわけにはいきません」
「そ、そういうものなのですね」
「そういうものというより、精霊は寂しさが限界に達すると歪んでしまいますから、早々に対処したほうがいいのです」
アーファ様は私の言葉を静かに待っているが、なんとなくこの先を伝えることが憚られる。
そもそも他言していい話でもない。ただ、きっと、この領地にいた精霊のいなくなった理由もそのあたりなのだと思う。
「精霊は長命なせいかとても寂しがり屋です。わざわざレセプタクルに宿り、人間に間接的に加護を与える形で関わりを持っているのは、一人ではいられないからです。誰かが自分の存在を意識していると感じられるから加護を……想いをくださいます」
人間はその分かりづらい感情を察せられないから、精霊は拗ねて家出をしてしまうことがある。
けれど、暮らしていた土地や人々に飽きて去ったとしても、そのうちにまた恋しくなって慣れた場所に戻ってくる。
そんな利己的なところが人間に似ていて、精霊自身も、他の生き物ではなく人間に関わることを選んでしまうのだろう。
「あの幼い精霊は、人間との関わり方が分からないから、『歪んでしまう』のですか?」
「はい。でも詳しくは知りません。私たちも精霊の性質全てを把握しているわけではないので……」
「でも悪影響を及ぼす可能性があるいうことですね」
「その通りです。ちなみに、今お話しした精霊の生態についてですが、精霊を感じられる者以外には知らせてはならない機密なので、くれぐれも他言しないでください」
「機密!?」
私がわざとらしく微笑むと、彼は驚愕の表情で離れた場所で休憩をとる護衛たちを振り返る。
「だから彼らはあんなにも離れて……」
「はい。知ってはいけないことを知る危険を冒す者たちではありません」
「公爵閣下の選んだ騎士ですから、そのあたりも優れていそうですね」
アーファ様の言い方がおかしくて、つい笑ってしまうと、彼は怫然とした態度で昼食を再開した。
おかわりのサンドウィッチを頬張りながら、眉間の皺をますます深くしている。
(今日のアーファ様は拗ねた顔ばかりで、なんだか可愛らしいわ)
私も彼と同じようにもう一つサンドウィッチを取り出し、ぱくりとかじった。
「んっ!? こ、これ……」
二個目に食べたサンドウィッチの味に驚き、噛んだ断面を凝視する。
「何かありましたか?」
「この根菜のピクルス、とても美味しいです!」
「え?」
私はアーファ様にサンドウィッチの中のピクルスを見せた。
「食欲をそそる絶妙な酸っぱさです!」
「酸っぱい食べ物がお好きですか?」
「いえ、そこまで好きというわけでもないのですが、このピクルスは美味しいと思います」
「……僕はこのピクルスが苦手です」
「あら、そうなのですね」
「息を止めて飲み込んでいたところです」
「そんなにも!?」
「そんなにもです」
驚く私に、彼は真剣な面持ちで頷く。
(ああ、駄目。また笑ってしまいそう……)
必死に笑いを噛み殺し、私は努めて自然な笑みを浮かべながら言った。
「では、ピクルスの部分だけ私が食べてあげます」
「え……、食べ……?」
「いただけますか?」
「ど、どうぞ……」
アーファ様は、ピクルスの飛び出す断面を私のほうに差し出した。私はそのまま顔を近づけて、ぱくりと一口かじる。
「んんっ、美味しいです!」
手で口を隠しながら味を楽しんでいると、夫は呆然とした顔で私を見つめている。
「アーファ様?」
「本当に召し上がるとは思わなかったので……」
戸惑う夫を見ながら、はっと気付いて青ざめる。
「はしたない真似をして申し訳ありません!」
「あ、い、いいえ。そういう意味ではなく――」
「?」
「僕の食べかけを口にするのは嫌ではないのですか?」
「食べかけ……」
アーファ様はわずかに目元を赤らめている。妙な沈黙が二人の間に落ちた。
「え、ええと……」
言葉が上手く出てこない。気まずくて視線を彷徨わせていると、アーファ様はふっと吹き出して笑い始めてしまう。
「わ、笑わないでください!」
「ペレーネだって、僕のことを笑いました」
「それは!」
灰色の瞳を愉快そうに細めてアーファ様はひとしきり笑う。
笑いが収まると、私たちはなんとなく池を眺めながら、静かに昼食を続けた。
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