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あれから数日が経った。
アーファ様は執務にも復帰され、十分に休息を取ったおかげで目の下の隈も消えている。
表情も明るくなり、屋敷内の雰囲気もどことなく変化したように感じる。
よく晴れた空。大地に落ちた乾いた葉を踏むと、かさりと音を立てる。
以前、アーファ様と訪れた坑道の奥に、つるはしで掘った小さな穴がある。
そこには時間をかけて水が溜まっていた。
精霊の通り道となっている水脈から湧いた水は、毒素などを含まない清らかなものだ。
その小さな盥ほどの大きさの水たまりに、彼は手を伸ばす。
「おにいさま、それ以上触れてはいけません」
「っ!?」
話しかけられるとは思っていなかったのだろう。おにいさまは弾かれたように振り返った。
奇麗な青い瞳に動揺が見てとれる。
「その水の量では、逆に水脈を歪ませてしまうかもしれません」
私はおにいさまの手に握られた、口の広い小瓶を見やった。その中には青い小さな宝石が入っている。
「どうして、ここにいる?」
「おにいさまが来られるだろうと思い、待っていました」
「待っていた?」
そう口にして、おにいさまは私の足元に敷布や小さなランプ、おやつに食べていた菓子などが並んでいるのを目にして瞠目する。
「こんなところで寛ぐなよ……」
「意外に快適でしたわ」
「だからおまえは、今朝俺のところに煤だらけのペンダントを持ってきたのか」
首肯を返すと、おにいさまは深く息を吐いた。
今朝、私は彼のもとを訪れてこう説明した。
歪んだ精霊がアーファ様の身体を経由してサファイアに宿ろうとした。だから、突発的にペンダントを燃やしてしまった。ペンダントは煤だらけになり、金具が壊れてしまったので修理して欲しい、と。
「おにいさまはお優しいから、歪んだ精霊を一刻も早くどうにかしなくてはと、すぐに行動すると考えました」
彼は私の言葉を耳にして渋面を浮かべる。
「本当は何日か悩みました。でも、これ以上は駄目だと思ったのです。お聞きになりましたか? 町の井戸がまた一つ枯れたそうです」
「……聞き及んでいる」
「おにいさまが私の話を聞いて、アーファ様の安否を問わないわけがありません。だから私はすべてを話したんです。精霊の子が宿る水脈から湧いた水が坑道の中に溜まっている。陛下が精霊の宿る水は清らかで万病に効くと仰っていたので、わらにもすがる思いで、その水を飲ませ歪みを消そうとしたことを」
「おまえが雨の中、馬を走らせたと聞いたときは心臓が止まるかと思ったぞ」
「まあ、申し訳ありません。でも私がおてんばなことは、おにいさまが一番ご存じではありませんか」
「どうして俺がレセプタクルのサファイアを持っていると気付いたんだ?」
「……歪んだ精霊が、おにいさまの名を呼んでいました」
おにいさまは諦めたように笑い、小瓶を視線の高さまで持ち上げて、中の石をからからと揺らした。
◇
ヒュドル伯爵邸の庭には大きな池がある。かつて果樹園だったその場所には、枯れ木が池への小道を挟むように並び、その先に精霊のレセプタクルを祀る祠が建てられている。
池のふちに立っていたアーファ様は、私たちの姿を見て不思議そうに眉を寄せる。
「ペレーネ! ――と、ルイ殿?」
周囲に人の気配がないことを確認して、私はアーファ様に駆け寄った。彼の足元には透き通る水が入った大きな盥が置かれている。
「峠の池の水を汲むよう手配してくださって、ありがとうございます」
「それは構いませんが……、いったい何の」
アーファ様はそこまで告げて息を吞む。
視線の先に見えるのは、おにいさまの手に握られた小瓶。そして、その中に入っている存在に気付いたようだ。
「アーファ様。領地に加護をくださっていた精霊は、今、歪んでいます。洗い清めなくてはいけません」
「えっ、どういう……どうして」
訊ねたいことが泉のように湧くのだろう。声が形にならず、アーファ様は狼狽えている。
おにいさまは大きな池のふちに膝をついた。
小瓶からサファイアを取り出し握りしめて、盥の水の中に手を入れる。
それは短い時間だったけれど、とても長く感じた。
ぶわりと周囲に風が舞い、おにいさまの手が水をすくう形で持ち上がると同時に盥がひっくり返る。
とっさに、アーファ様は私を庇うように腕を伸ばした。
峠の池でも同じようなことがあった。そんな行動が嬉しくて胸が温かくなるけれど、その腕を押して彼から離れる。
「アーファ様、お探しの精霊です」
「えっ!?」
盥の中の水は生き物のように地面を這い、枯れ葉を身に纏わせるように動いて、おにいさまの周りにまとわりつく。
アーファ様は、私とおにいさまを交互に見やった。
「ど、どういうことですか?」
「あの精霊はおにいさまに情を抱いているようです」
おにいさまは困ったような表情で、見えない異形へと手を伸ばす。その手に擦り寄るように、精霊はおにいさまに触れた。
「おまえがいないと困る者がたくさんいる。おまえが気に入っていたサファイアに戻り、俺との繋がりを断ってくれ」
精霊の気配が少々不穏なものに変わった。まるで請うような動きで、おにいさまの腕を撫でる。
「●●、俺はおまえと情を繋げることはできない」
おにいさまは、精霊にしか聞こえない言葉で、精霊の真名を言った。
精霊から動揺や悲しみ、怒りのような感情が伝わってくる。おにいさまにも精霊の思いが感じられているはずだ。
池の水が大きく跳ねた。音につられて振り返ると、波紋を残して水面はゆっくりと凪いでいく。
「……拗ねて、池の水脈からどこかに行ってしまわれましたね……」
手に取るように伝わる感情に少々面食らう。でも、この土地のどこかにはいるようだ。
おにいさまは周りに漂っていた存在が消えた安堵なのか、大きく息を吐いて、手にしていたサファイアを祠の中に置いた。
そして唖然としているアーファ様を振り返る。
「せ、説明をお願いします……」
動揺しているはずなのに、こんなときまでアーファ様の口調は変わらない。いや、冷静であろうと努力しているのかもしれない。
「あの精霊は自らの意思で俺の元に来たんだ」
そうなのだろうと思ったが、私は一つ疑問だったことを訊ねる。
「精霊は別のレセプタクルに移動するわけではなく、サファイアのレセプタクルごと、おにいさまの元に?」
「自分の宝物を置き去りにしてその場を離れたりしないだろう? それと同じだ。精霊にとってレセプタクルは一つしか持てないわけじゃない。宝物が増えていく様を眺め、ほくそ笑みながら加護をくれる精霊だっているんだ……おまえ、陛下から習っただろう?」
おにいさまの口にした棘のある言葉から、彼が精霊に対して抱いている感情が伝わってくる。
「では、ルイ殿は、ずっと精霊とご一緒だったのですか?」
「そういうことになるな」
アーファ様は精霊がレセプタクルに宿ることを知っている。しかし、精霊が自分の意志でレセプタクルから移動できることも知っている。
彼は消えたサファイアを見つけ出しても、そこに精霊が宿っているかどうかを判断できない。
この地を気に入っているはずの精霊が、まだどこかにいるかもしれないと期待して、精霊を感知できる私と婚姻するしかなかった。
「……おにいさまから精霊の気配は感じられませんでした」
「人間をレセプタクルにすると気配を察せないようだ。この二年、陛下や第一王子も気付いていなかった」
「人間を!? では今まで、精霊はおにいさまの身体に宿っていたのですか?」
愕然とする私に、おにいさまはつらそうに頷く。
何もかもが知らない話ばかりだった。そして、おにいさまの語るそれは寄生ではないか。
ぞっとすると同時に、アーファ様が私の隣で焦ったように叫んだ。
「どうして教えてくださらなかったのですか! ルイ殿は僕が精霊を探していることを知っていたはずだ! 加護を失ったこの地が二年かけて衰えていることも、ご相談したはずです!」
「なんて言えばよかったんだ? この領地にいた精霊は寂しさのあまり、俺に惚れてついてきてしまったとでも言えばいいのか?」
「それは……」
おにいさまは皮肉げに笑い、アーファ様から目を逸らした。
アーファ様は執務にも復帰され、十分に休息を取ったおかげで目の下の隈も消えている。
表情も明るくなり、屋敷内の雰囲気もどことなく変化したように感じる。
よく晴れた空。大地に落ちた乾いた葉を踏むと、かさりと音を立てる。
以前、アーファ様と訪れた坑道の奥に、つるはしで掘った小さな穴がある。
そこには時間をかけて水が溜まっていた。
精霊の通り道となっている水脈から湧いた水は、毒素などを含まない清らかなものだ。
その小さな盥ほどの大きさの水たまりに、彼は手を伸ばす。
「おにいさま、それ以上触れてはいけません」
「っ!?」
話しかけられるとは思っていなかったのだろう。おにいさまは弾かれたように振り返った。
奇麗な青い瞳に動揺が見てとれる。
「その水の量では、逆に水脈を歪ませてしまうかもしれません」
私はおにいさまの手に握られた、口の広い小瓶を見やった。その中には青い小さな宝石が入っている。
「どうして、ここにいる?」
「おにいさまが来られるだろうと思い、待っていました」
「待っていた?」
そう口にして、おにいさまは私の足元に敷布や小さなランプ、おやつに食べていた菓子などが並んでいるのを目にして瞠目する。
「こんなところで寛ぐなよ……」
「意外に快適でしたわ」
「だからおまえは、今朝俺のところに煤だらけのペンダントを持ってきたのか」
首肯を返すと、おにいさまは深く息を吐いた。
今朝、私は彼のもとを訪れてこう説明した。
歪んだ精霊がアーファ様の身体を経由してサファイアに宿ろうとした。だから、突発的にペンダントを燃やしてしまった。ペンダントは煤だらけになり、金具が壊れてしまったので修理して欲しい、と。
「おにいさまはお優しいから、歪んだ精霊を一刻も早くどうにかしなくてはと、すぐに行動すると考えました」
彼は私の言葉を耳にして渋面を浮かべる。
「本当は何日か悩みました。でも、これ以上は駄目だと思ったのです。お聞きになりましたか? 町の井戸がまた一つ枯れたそうです」
「……聞き及んでいる」
「おにいさまが私の話を聞いて、アーファ様の安否を問わないわけがありません。だから私はすべてを話したんです。精霊の子が宿る水脈から湧いた水が坑道の中に溜まっている。陛下が精霊の宿る水は清らかで万病に効くと仰っていたので、わらにもすがる思いで、その水を飲ませ歪みを消そうとしたことを」
「おまえが雨の中、馬を走らせたと聞いたときは心臓が止まるかと思ったぞ」
「まあ、申し訳ありません。でも私がおてんばなことは、おにいさまが一番ご存じではありませんか」
「どうして俺がレセプタクルのサファイアを持っていると気付いたんだ?」
「……歪んだ精霊が、おにいさまの名を呼んでいました」
おにいさまは諦めたように笑い、小瓶を視線の高さまで持ち上げて、中の石をからからと揺らした。
◇
ヒュドル伯爵邸の庭には大きな池がある。かつて果樹園だったその場所には、枯れ木が池への小道を挟むように並び、その先に精霊のレセプタクルを祀る祠が建てられている。
池のふちに立っていたアーファ様は、私たちの姿を見て不思議そうに眉を寄せる。
「ペレーネ! ――と、ルイ殿?」
周囲に人の気配がないことを確認して、私はアーファ様に駆け寄った。彼の足元には透き通る水が入った大きな盥が置かれている。
「峠の池の水を汲むよう手配してくださって、ありがとうございます」
「それは構いませんが……、いったい何の」
アーファ様はそこまで告げて息を吞む。
視線の先に見えるのは、おにいさまの手に握られた小瓶。そして、その中に入っている存在に気付いたようだ。
「アーファ様。領地に加護をくださっていた精霊は、今、歪んでいます。洗い清めなくてはいけません」
「えっ、どういう……どうして」
訊ねたいことが泉のように湧くのだろう。声が形にならず、アーファ様は狼狽えている。
おにいさまは大きな池のふちに膝をついた。
小瓶からサファイアを取り出し握りしめて、盥の水の中に手を入れる。
それは短い時間だったけれど、とても長く感じた。
ぶわりと周囲に風が舞い、おにいさまの手が水をすくう形で持ち上がると同時に盥がひっくり返る。
とっさに、アーファ様は私を庇うように腕を伸ばした。
峠の池でも同じようなことがあった。そんな行動が嬉しくて胸が温かくなるけれど、その腕を押して彼から離れる。
「アーファ様、お探しの精霊です」
「えっ!?」
盥の中の水は生き物のように地面を這い、枯れ葉を身に纏わせるように動いて、おにいさまの周りにまとわりつく。
アーファ様は、私とおにいさまを交互に見やった。
「ど、どういうことですか?」
「あの精霊はおにいさまに情を抱いているようです」
おにいさまは困ったような表情で、見えない異形へと手を伸ばす。その手に擦り寄るように、精霊はおにいさまに触れた。
「おまえがいないと困る者がたくさんいる。おまえが気に入っていたサファイアに戻り、俺との繋がりを断ってくれ」
精霊の気配が少々不穏なものに変わった。まるで請うような動きで、おにいさまの腕を撫でる。
「●●、俺はおまえと情を繋げることはできない」
おにいさまは、精霊にしか聞こえない言葉で、精霊の真名を言った。
精霊から動揺や悲しみ、怒りのような感情が伝わってくる。おにいさまにも精霊の思いが感じられているはずだ。
池の水が大きく跳ねた。音につられて振り返ると、波紋を残して水面はゆっくりと凪いでいく。
「……拗ねて、池の水脈からどこかに行ってしまわれましたね……」
手に取るように伝わる感情に少々面食らう。でも、この土地のどこかにはいるようだ。
おにいさまは周りに漂っていた存在が消えた安堵なのか、大きく息を吐いて、手にしていたサファイアを祠の中に置いた。
そして唖然としているアーファ様を振り返る。
「せ、説明をお願いします……」
動揺しているはずなのに、こんなときまでアーファ様の口調は変わらない。いや、冷静であろうと努力しているのかもしれない。
「あの精霊は自らの意思で俺の元に来たんだ」
そうなのだろうと思ったが、私は一つ疑問だったことを訊ねる。
「精霊は別のレセプタクルに移動するわけではなく、サファイアのレセプタクルごと、おにいさまの元に?」
「自分の宝物を置き去りにしてその場を離れたりしないだろう? それと同じだ。精霊にとってレセプタクルは一つしか持てないわけじゃない。宝物が増えていく様を眺め、ほくそ笑みながら加護をくれる精霊だっているんだ……おまえ、陛下から習っただろう?」
おにいさまの口にした棘のある言葉から、彼が精霊に対して抱いている感情が伝わってくる。
「では、ルイ殿は、ずっと精霊とご一緒だったのですか?」
「そういうことになるな」
アーファ様は精霊がレセプタクルに宿ることを知っている。しかし、精霊が自分の意志でレセプタクルから移動できることも知っている。
彼は消えたサファイアを見つけ出しても、そこに精霊が宿っているかどうかを判断できない。
この地を気に入っているはずの精霊が、まだどこかにいるかもしれないと期待して、精霊を感知できる私と婚姻するしかなかった。
「……おにいさまから精霊の気配は感じられませんでした」
「人間をレセプタクルにすると気配を察せないようだ。この二年、陛下や第一王子も気付いていなかった」
「人間を!? では今まで、精霊はおにいさまの身体に宿っていたのですか?」
愕然とする私に、おにいさまはつらそうに頷く。
何もかもが知らない話ばかりだった。そして、おにいさまの語るそれは寄生ではないか。
ぞっとすると同時に、アーファ様が私の隣で焦ったように叫んだ。
「どうして教えてくださらなかったのですか! ルイ殿は僕が精霊を探していることを知っていたはずだ! 加護を失ったこの地が二年かけて衰えていることも、ご相談したはずです!」
「なんて言えばよかったんだ? この領地にいた精霊は寂しさのあまり、俺に惚れてついてきてしまったとでも言えばいいのか?」
「それは……」
おにいさまは皮肉げに笑い、アーファ様から目を逸らした。
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