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後日譚
後日譚550.酒乱元奴隷は酒の勢いで解決したい
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狼人族の女性シンシーラはシズトの元奴隷であり、現在はシズトの側室の一人だ。
町で暮らしている奴隷の中でも特に獣人族の女性から憧れの的となっている彼女は、二人目を妊娠してから五ヶ月ほどが経過していた。
二人目という事や、毎日欠かさずに大地の神を祀る教会に通い、祈りを捧げると共に寄進している結果、とても安定している。
ストレスのない生活を心掛け、規則正しい生活を繰り返していた彼女だったが、真の誕生日パーティーでのスピーチではストレスを感じていたようだ。
「酔ってれば何ともないのに……今度からはタイミングを考える事にするじゃん」
「それ、最初は良くても増えれば増えるほど難しくなるんじゃないかしら」
談話室の机に突っ伏しているシンシーラの目の前にカップを置きながら呆れた様子で言ったのは狐人族のエミリーである。
彼女はシンシーラとは違う理由で奴隷になっていたのだが、彼女と同じシズトの側室という立場を手に入れた獣人族という事でシンシーラと同様に憧れの的となっていた。
「計画的に同じ月に産むように努力するじゃん」
「加護を授かっていないと前後する事もあるんだから難しいって」
「より多く寄進すれば耳を傾けて貰えるかもしれないじゃん」
「流石にそこまでは無理なんじゃないかしら」
二人がそんなやり取りをしていると、窓が突然開かれ、小柄な女性が中に入ってきた。その後に続いて数人のドライアドも入ろうか、と顔を覗き込んでいたが、シンシーラたちの視線を受けて入ってくる事はなかった。
「窓から入るなって何度言えば分かるのかしら」
「窓から入る方がすぐ着くデス。なんで遠回りしなくちゃいけないデスか?」
「普通、窓は出入り口として使われないからよ」
そうデスかね、と小鳥のように首を傾げたのは黒い翼が特長的な翼人族の女性パメラである。
エミリーやシンシーラとは違う理由で奴隷になった彼女は、二人と同じくシズトの側室の座を手に入れる事ができた。ただ日頃町で遊び回っている結果、彼女の事を知る機会が多いからか、憧れよりも「なぜシズト様はパメラ様と結婚されたのか」と疑問を持たれる事が多い女性だった。
そんな彼女は空いていた席に座ると、机の上に置かれていたお菓子に手を伸ばした。だが、その手を叩いたエミリーは真っ白な毛を逆立たせて「手を洗ってきなさい」と注意した。
「しょーがないデスね~。手を洗ってくるから、パメラの分も取っておいて欲しいデス」
「…………時々頭を小突きたくなるのは私だけかしら?」
エミリーがそう問いかけたが、体を起こしたシンシーラは肩を竦めるだけだった。
パメラが戻ってくると、早速彼女は焼き菓子に手を伸ばした。外で遊んできて小腹が空いたようだ。
そんな彼女の事を放っておいて、先程の話に話題が戻った。
「次はお披露目会よね? そっちの練習は順調なの?」
「順調だったら酒に頼りたい気持ちが湧いてくるわけないじゃん」
「……まあ、そうよね」
「シーラは気にし過ぎデス。ただお話しするだけデスよ?」
「貴族向けの話し方をしなくちゃいけないじゃん。気にしないなんて無理じゃん」
「そうデスか? パメラは全然気にしてないデス。早くパーティーを開きたいくらいデスよ」
「話す内容は覚えたの?」
「?」
「…………こんなにも記憶力がないのにどうして自信満々でいられるのかしら?」
「失敗してもくよくよする事も出来ないからな気がするじゃん」
「記憶力がないのは悪い事ばかりじゃないのね」
エミリーはカップに入れられた紅茶を飲み干すと、ティーポットに手を伸ばしてお代わりを淹れ始めた。シンシーラは無言でカップを彼女の近くに移動させ、パメラは元気よく「お代わりくださいデス!」と言って羽をバサバサ動かしている。
そんなパメラに対して注意するエミリーを見ながらシンシーラは小さくため息を吐いた。
「……そんなに気乗りしないのなら、妊娠している事を理由に不参加にしてもいいんじゃないかしら? ストレスは良くないって言うし」
「でも、ルウはするって言ってるじゃん。私だけ逃げるわけにはいかないじゃん」
「妊娠の症状は個人差がある事は多くの人が理解してるでしょうし、そこは気にしなくてもいいんじゃないかしら?」
「私が気にするじゃん。とにかく、参加しないという事は無しじゃん」
「じゃあ練習しまくるしかないわね。……暇だし、今この場で練習する?」
「…………そうするじゃん」
「じゃあパメラは観客をするデスよ」
「観客って言うかただ食べてるだけでしょ」
エミリーは再び呆れた様子でパメラに行ったのだが、彼女は特に気にした様子もなくケーキに手を伸ばしている。
そんな自由奔放な女性は参加者にはいないだろうな、なんて事を考えながらもシンシーラはエミリーの前で姿勢を正し、カンペをちらちらと確認しながらスピーチの練習をするのだった。
町で暮らしている奴隷の中でも特に獣人族の女性から憧れの的となっている彼女は、二人目を妊娠してから五ヶ月ほどが経過していた。
二人目という事や、毎日欠かさずに大地の神を祀る教会に通い、祈りを捧げると共に寄進している結果、とても安定している。
ストレスのない生活を心掛け、規則正しい生活を繰り返していた彼女だったが、真の誕生日パーティーでのスピーチではストレスを感じていたようだ。
「酔ってれば何ともないのに……今度からはタイミングを考える事にするじゃん」
「それ、最初は良くても増えれば増えるほど難しくなるんじゃないかしら」
談話室の机に突っ伏しているシンシーラの目の前にカップを置きながら呆れた様子で言ったのは狐人族のエミリーである。
彼女はシンシーラとは違う理由で奴隷になっていたのだが、彼女と同じシズトの側室という立場を手に入れた獣人族という事でシンシーラと同様に憧れの的となっていた。
「計画的に同じ月に産むように努力するじゃん」
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「流石にそこまでは無理なんじゃないかしら」
二人がそんなやり取りをしていると、窓が突然開かれ、小柄な女性が中に入ってきた。その後に続いて数人のドライアドも入ろうか、と顔を覗き込んでいたが、シンシーラたちの視線を受けて入ってくる事はなかった。
「窓から入るなって何度言えば分かるのかしら」
「窓から入る方がすぐ着くデス。なんで遠回りしなくちゃいけないデスか?」
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そうデスかね、と小鳥のように首を傾げたのは黒い翼が特長的な翼人族の女性パメラである。
エミリーやシンシーラとは違う理由で奴隷になった彼女は、二人と同じくシズトの側室の座を手に入れる事ができた。ただ日頃町で遊び回っている結果、彼女の事を知る機会が多いからか、憧れよりも「なぜシズト様はパメラ様と結婚されたのか」と疑問を持たれる事が多い女性だった。
そんな彼女は空いていた席に座ると、机の上に置かれていたお菓子に手を伸ばした。だが、その手を叩いたエミリーは真っ白な毛を逆立たせて「手を洗ってきなさい」と注意した。
「しょーがないデスね~。手を洗ってくるから、パメラの分も取っておいて欲しいデス」
「…………時々頭を小突きたくなるのは私だけかしら?」
エミリーがそう問いかけたが、体を起こしたシンシーラは肩を竦めるだけだった。
パメラが戻ってくると、早速彼女は焼き菓子に手を伸ばした。外で遊んできて小腹が空いたようだ。
そんな彼女の事を放っておいて、先程の話に話題が戻った。
「次はお披露目会よね? そっちの練習は順調なの?」
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「そうデスか? パメラは全然気にしてないデス。早くパーティーを開きたいくらいデスよ」
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「?」
「…………こんなにも記憶力がないのにどうして自信満々でいられるのかしら?」
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