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後日譚
後日譚576.事なかれ主義者は他の味も試したかった
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独楽をただひたすら回し続けてもそうそう簡単に上達はしない。でもノエルは基本放置だし、魔道具作成班は仕事をしているのでそれを止めてコツを聞くのも違うから黙々と取り組んだ。
単純作業は得意なのかもしれない。気が付いたらお昼の時間になっていて、エミリーが呼びに来た。
「シズト様、お昼はここでお食べになるんですか?」
「ん? あ、もうそんな時間か。予定通り食堂で食べるよ」
「旦那様っ! ノア様はこっちで預かるぞっ!」
「いいの?」
「いつもの事だから気にすんなっ!」
ニカッと笑ってそう言ったエルヴィスに望愛を渡そうとしたときに気付いたけど、望愛はいつの間にかすやすやと眠っていた。
「えっと……どうしようか」
「……大丈夫だっ! その状態なら何されてもそうそう起きないからなっ! まあ、起きててもほとんど動かずに過ごしてるから大差ないんだけどなっ!」
大きな声で笑うエルヴィス。子どもの成長には適度な運動も必要だと思うんだけど、望愛はそこら辺大丈夫なんだろうか。
あんまり動きたがらない性格なのか、それとも別の理由があるのかは分からないけど少しは望愛を動かす時間を設けてもいいかもしれない。
そんな事を考えながらノエルの部屋を後にした僕は、エミリーと一緒に食堂へと向かった。
食堂にはレヴィさんやセシリアさんの姿はなかった。どうやら外でピクニックをするらしい。
室内にいたのはさっき起きたばかりっぽい雰囲気のシンシーラに、珍しく昼間に戻ってきたらしいパメラ、ホムラ、ユキの四人だった。
「パメラはまたお金がなくなったの?」
「またじゃないデスよ! 久しぶりにデス!」
「久しぶりだとしてもまたはまたでしょ。ホムラとユキは本当に仕事を中抜けしてきたんだ? 大丈夫なの?」
「正直お店の方は町の子たちでほとんど回せる状況になっているから何も問題ないわ、ご主人様」
「マスターよりも優先すべき事案は何もございませんでした」
「そっか」
エミリーに促されるまま空いている席に座る。いつものお誕生日席ではなく、長い机の真ん中あたりだった。正面にはパメラ、その両脇にはエミリーとシンシーラが座っている。僕の両隣には当然のようにホムラとユキがいて、給仕はバーンくんがしてくれるようだ。
でっかい肉の塊がテーブルの中央に置かれた。ローストビーフではなく、ローストワイバーンらしい。お肉ならレモンをかけてもいいと解釈しているのだろうレモンちゃんがレモレモ言っているのを落ち着くように促している間に机の上に料理が並んだ。
魔法がある世界でも、某映画のように机の上に魔法で一気に料理が並ぶ、なんて事はない。転移魔法を使えばあるいは、と思ったけど転移魔法が使えるような優秀な魔法使いは厨房に入ったり給仕をしたりはしないそうだ。
「シズト様、早くご飯を食べたいデス!」
「ご主人様は今、大事な事をお考えになられてるのです。口を慎みなさい」
「え、そんな事ないよ。パメラの言う通り、とりあえずいただきますしよっか」
手を合わせるように促すと皆慣れた様子で手を合わせる。全員が手を合わせたところで食前の挨拶をして食事が始まった。
パメラは真っ先にローストワイバーンをバーンくんに切り分けて貰っていた。以前までは自分で身を乗り出して切っていたけど、パメラも成長しているらしい。
「もっと大きな塊にしてほしいデス!」
「じゃあこのくらいはどうですか? 知らんけど」
「もっともっとデス!」
「あの、この料理は薄い方が良いやつなんですけど……知らんけど」
「肉は分厚いのが正義デス!」
それはそうかもしれないけど、だったら事前にステーキを希望しておけばいいのに。
……想定以上にお金がなくなったからたまたま帰ってきただけで帰ってくる予定はなかったのかもしれないけど。
「ご主人様、服が汚れているけど、何をしてたの?」
「……魔力を帯びた液体……ノエルが何か粗相をしたのですか、マスター?」
「いや、ノエルのせいじゃないよ。バーンくん、パメラの分が終わったら僕の分も用意してもらっていい? ソースは要らないから」
「れもれも」
「ほら、ジュリウスがいないから町に出る事も他の所に行くわけにもいかないじゃん? それに、加護を使わないから魔力が余っちゃうからどうしようかなって相談したら魔道具作りはどうかって言われたんだよ。それでやってみたんだけど……ペンが壊れちゃってインクが飛び散ったんだよ。その時についたんじゃないかな」
バーンくんが切り分けてくれたローストワイバーンには当然のようにレモンちゃんがどこから取り出したのか謎なレモンを絞って汁をかけてから僕はそれを口にした。
「……ちょっとレモンかけすぎじゃないかな?」
「れ? れんもれもれも」
その後、レモンちゃんは意識してくれたのかちょっとかける量は少なくなったけど、他のソースを代わりにかけるのは許してもらえなかった。
単純作業は得意なのかもしれない。気が付いたらお昼の時間になっていて、エミリーが呼びに来た。
「シズト様、お昼はここでお食べになるんですか?」
「ん? あ、もうそんな時間か。予定通り食堂で食べるよ」
「旦那様っ! ノア様はこっちで預かるぞっ!」
「いいの?」
「いつもの事だから気にすんなっ!」
ニカッと笑ってそう言ったエルヴィスに望愛を渡そうとしたときに気付いたけど、望愛はいつの間にかすやすやと眠っていた。
「えっと……どうしようか」
「……大丈夫だっ! その状態なら何されてもそうそう起きないからなっ! まあ、起きててもほとんど動かずに過ごしてるから大差ないんだけどなっ!」
大きな声で笑うエルヴィス。子どもの成長には適度な運動も必要だと思うんだけど、望愛はそこら辺大丈夫なんだろうか。
あんまり動きたがらない性格なのか、それとも別の理由があるのかは分からないけど少しは望愛を動かす時間を設けてもいいかもしれない。
そんな事を考えながらノエルの部屋を後にした僕は、エミリーと一緒に食堂へと向かった。
食堂にはレヴィさんやセシリアさんの姿はなかった。どうやら外でピクニックをするらしい。
室内にいたのはさっき起きたばかりっぽい雰囲気のシンシーラに、珍しく昼間に戻ってきたらしいパメラ、ホムラ、ユキの四人だった。
「パメラはまたお金がなくなったの?」
「またじゃないデスよ! 久しぶりにデス!」
「久しぶりだとしてもまたはまたでしょ。ホムラとユキは本当に仕事を中抜けしてきたんだ? 大丈夫なの?」
「正直お店の方は町の子たちでほとんど回せる状況になっているから何も問題ないわ、ご主人様」
「マスターよりも優先すべき事案は何もございませんでした」
「そっか」
エミリーに促されるまま空いている席に座る。いつものお誕生日席ではなく、長い机の真ん中あたりだった。正面にはパメラ、その両脇にはエミリーとシンシーラが座っている。僕の両隣には当然のようにホムラとユキがいて、給仕はバーンくんがしてくれるようだ。
でっかい肉の塊がテーブルの中央に置かれた。ローストビーフではなく、ローストワイバーンらしい。お肉ならレモンをかけてもいいと解釈しているのだろうレモンちゃんがレモレモ言っているのを落ち着くように促している間に机の上に料理が並んだ。
魔法がある世界でも、某映画のように机の上に魔法で一気に料理が並ぶ、なんて事はない。転移魔法を使えばあるいは、と思ったけど転移魔法が使えるような優秀な魔法使いは厨房に入ったり給仕をしたりはしないそうだ。
「シズト様、早くご飯を食べたいデス!」
「ご主人様は今、大事な事をお考えになられてるのです。口を慎みなさい」
「え、そんな事ないよ。パメラの言う通り、とりあえずいただきますしよっか」
手を合わせるように促すと皆慣れた様子で手を合わせる。全員が手を合わせたところで食前の挨拶をして食事が始まった。
パメラは真っ先にローストワイバーンをバーンくんに切り分けて貰っていた。以前までは自分で身を乗り出して切っていたけど、パメラも成長しているらしい。
「もっと大きな塊にしてほしいデス!」
「じゃあこのくらいはどうですか? 知らんけど」
「もっともっとデス!」
「あの、この料理は薄い方が良いやつなんですけど……知らんけど」
「肉は分厚いのが正義デス!」
それはそうかもしれないけど、だったら事前にステーキを希望しておけばいいのに。
……想定以上にお金がなくなったからたまたま帰ってきただけで帰ってくる予定はなかったのかもしれないけど。
「ご主人様、服が汚れているけど、何をしてたの?」
「……魔力を帯びた液体……ノエルが何か粗相をしたのですか、マスター?」
「いや、ノエルのせいじゃないよ。バーンくん、パメラの分が終わったら僕の分も用意してもらっていい? ソースは要らないから」
「れもれも」
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