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後日譚
後日譚575.事なかれ主義者は意識した事がない
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ノエルの部屋で魔道具作りのための修行が始まった。修行と言っても、専用のペンを使って綺麗な直線を書いたり円を書いたりする練習である。
コンパスや定規もあるけれど、フリーハンドでササッとかけるようにならないと量産できないからと使わせてもらえなかった。
ただ、それ以前の問題で修業は遅々として進まなかった。
「魔力のコントロールって難しいんだね」
「シズト様はいつもどうやって加護を使ってるんすか?」
「必要な量が勝手に持ってかれるから……。出すのと止めるのだけは意識してた時はあったよ」
「そうっすか。とりあえず、ペンも決して安い物ではないからまずは魔力コントロールの練習からするっす」
「はい」
犠牲になった数本のペンと紙は片付けられたし、机の上や周りの床も綺麗になったので気を取り直して魔力をコントロールする練習をする事になった。
「魔力を込めるのはできるっすよね?」
「魔道具で慣れてるからね」
「それならよかったっす。ここに廉価版の魔動灯があるっす。魔石タイプ以外も作ってみたっすけど、魔力効率が悪すぎたから一般には普及してないっすけど……とりあえずこれに魔力を込めて光量を調節するっす」
「…………魔力を込め過ぎたらまた破裂しない?」
「…………ないとは言い切れないっすけど、ボクが量産できる練習用の魔道具はこれくらいっす」
「あの、私の魔道具を使うのはどうでしょうか……?」
話に割って入ってきたのは部屋の端っこの方でせっせと魔道具を作っていた小柄なエルフ、ジューロちゃんだ。成人済みらしいけどジュリーニと同じく途中で成長が止まってしまい、見た目はエルフの子どものように見える。
ただ、魔道具作成の技量はノエルの次くらいには上手だそうだ。
寿命が長いエルフが研鑽を積めばいつかはダンジョン産の魔道具レベルの物を作れる時が来るのでは、なんて話をこの部屋でエルヴィスやエイロンとしていた事もあったけど、少なくとも今は彼女の研究対象である『回転』の魔道具ですらそういう物は作れていないらしい。
「ほら、回るだけですし。魔力量が増えればそれだけ早く回るので見た目的にも分かりやすいかなって」
「そうっすね。じゃあシズト様、部屋の端っこで魔道具を使って魔力のコントロールをするっす」
「はい」
ジューロちゃん製の駒は僕が以前作った独楽よりは回り辛い。回り辛いけど、大雑把にやったらとてもよく回転した。
これまでは魔力が勝手に徴収される魔道具や、身体強化魔法を付与した服のように意図的に制限が掛けられていたのでペンのように使い物にならなくなるものがなかっただけで、魔力を意識して使ったことがなかったんだなぁって改めて実感させられた。
独楽同士を戦わせるために用意された半球状の土台をいくつも周りに用意してできる限りゆっくり回転するように意識しながら魔道具を起動し続けていると、いつの間にか望愛が僕の近くにいて、当然のように膝の上に乗ってきた。
「旦那様っ! しばらくノア様を見ててくれっ! ほとんど動かないから邪魔じゃないだろっ?」
「いいよ」
子どもが邪魔だなんて思ったことは一度もないし。
構った方が良いのかな、なんて思って後ろから望愛の顔を覗き込んだら、望愛は微睡んでいる最中だった。……よくよく考えたら大体ボーっとしているか微睡んでいるな。寝る子は育つ、って言うけど、ちょっと昼寝し過ぎな気もするし、ちょっと遊ばせた方が良いのか……?
「シズト様、手が止まってるっすよ」
「あ、はい」
高速回転している駒は金属製なので手で止めるのは怖いから大きな布をかぶせて無理矢理止める。
そして、タオルをどけて、再び少量の魔力だけを流すのを意識して回すと、まだまだ全然速く回転していた。
独楽同士を戦わせるのなら速く回った方が良いんだろうけど、今は魔力コントロールの練習なのでこれではいけない。
「ちょっとだけ使うのって難しいんだね」
「普通、シズト様ほどの魔力量になるまでコントロールは身につけているっすからね。シズト様は身につけていない状態で膨大な魔力を操ろうとしているからそりゃ難しいのは当たり前っす」
「……あ! もしかして魔法が使えないのもそのせい?」
「いや、コントロールをするのと、魔力を魔法に変換するのは全く違うっす。だからコントロールできたとしても魔法が使えるようになるわけじゃないっすね」
「そっすか」
やる気が一気に減っていくのが分かるけど、ジーッと望愛が回る駒を眺めているので子どもを楽しませるために頑張ろう、と気持ちを切り替えて僕は独楽を回し続けるのだった。
コンパスや定規もあるけれど、フリーハンドでササッとかけるようにならないと量産できないからと使わせてもらえなかった。
ただ、それ以前の問題で修業は遅々として進まなかった。
「魔力のコントロールって難しいんだね」
「シズト様はいつもどうやって加護を使ってるんすか?」
「必要な量が勝手に持ってかれるから……。出すのと止めるのだけは意識してた時はあったよ」
「そうっすか。とりあえず、ペンも決して安い物ではないからまずは魔力コントロールの練習からするっす」
「はい」
犠牲になった数本のペンと紙は片付けられたし、机の上や周りの床も綺麗になったので気を取り直して魔力をコントロールする練習をする事になった。
「魔力を込めるのはできるっすよね?」
「魔道具で慣れてるからね」
「それならよかったっす。ここに廉価版の魔動灯があるっす。魔石タイプ以外も作ってみたっすけど、魔力効率が悪すぎたから一般には普及してないっすけど……とりあえずこれに魔力を込めて光量を調節するっす」
「…………魔力を込め過ぎたらまた破裂しない?」
「…………ないとは言い切れないっすけど、ボクが量産できる練習用の魔道具はこれくらいっす」
「あの、私の魔道具を使うのはどうでしょうか……?」
話に割って入ってきたのは部屋の端っこの方でせっせと魔道具を作っていた小柄なエルフ、ジューロちゃんだ。成人済みらしいけどジュリーニと同じく途中で成長が止まってしまい、見た目はエルフの子どものように見える。
ただ、魔道具作成の技量はノエルの次くらいには上手だそうだ。
寿命が長いエルフが研鑽を積めばいつかはダンジョン産の魔道具レベルの物を作れる時が来るのでは、なんて話をこの部屋でエルヴィスやエイロンとしていた事もあったけど、少なくとも今は彼女の研究対象である『回転』の魔道具ですらそういう物は作れていないらしい。
「ほら、回るだけですし。魔力量が増えればそれだけ早く回るので見た目的にも分かりやすいかなって」
「そうっすね。じゃあシズト様、部屋の端っこで魔道具を使って魔力のコントロールをするっす」
「はい」
ジューロちゃん製の駒は僕が以前作った独楽よりは回り辛い。回り辛いけど、大雑把にやったらとてもよく回転した。
これまでは魔力が勝手に徴収される魔道具や、身体強化魔法を付与した服のように意図的に制限が掛けられていたのでペンのように使い物にならなくなるものがなかっただけで、魔力を意識して使ったことがなかったんだなぁって改めて実感させられた。
独楽同士を戦わせるために用意された半球状の土台をいくつも周りに用意してできる限りゆっくり回転するように意識しながら魔道具を起動し続けていると、いつの間にか望愛が僕の近くにいて、当然のように膝の上に乗ってきた。
「旦那様っ! しばらくノア様を見ててくれっ! ほとんど動かないから邪魔じゃないだろっ?」
「いいよ」
子どもが邪魔だなんて思ったことは一度もないし。
構った方が良いのかな、なんて思って後ろから望愛の顔を覗き込んだら、望愛は微睡んでいる最中だった。……よくよく考えたら大体ボーっとしているか微睡んでいるな。寝る子は育つ、って言うけど、ちょっと昼寝し過ぎな気もするし、ちょっと遊ばせた方が良いのか……?
「シズト様、手が止まってるっすよ」
「あ、はい」
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そして、タオルをどけて、再び少量の魔力だけを流すのを意識して回すと、まだまだ全然速く回転していた。
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「いや、コントロールをするのと、魔力を魔法に変換するのは全く違うっす。だからコントロールできたとしても魔法が使えるようになるわけじゃないっすね」
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