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後日譚
後日譚587.事なかれ主義者は別に何とも思ってない
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迎賓館の中でも一番豪華な部屋に案内された僕は、案内がされるがまま豪華な椅子に座った。
ユートがいる所よりも数段高い所に置かれた椅子は玉座のように見えたけれど、そんな物用意したところで使う時なんてそうそうないだろうから気のせいだろう。そう思いたい。
窓の外の景色を見ていたけれど、ドライアドたちが再び跪いたユートにちょっかいを出そうとし始めたので視線を彼らに戻す。
……椅子用意されてないんだけど、このまま話させた方が良いのかな、とジュリウスに視線を向けると彼は静かに頷いた。魔道具の調子は良好なようである。それでも何も合図がないし、ジュリウスが動く気配もないのでユートは僕やレヴィさんに対して悪意は持ってなさそうだ。
……レヴィさんとの付き合いが長いから心を読ませないようにする方法を身につけている可能性もあるから油断はできないけど、とりあえず話を進めよう。
「さてと……手紙は読ませていただきましたが、加護を授かった時の事を詳しく教えてもらえますか?」
「かしこまりました。あれはそう……十月に入って少し経った頃の事です。その日は冒険業は休みにして装備の点検などをする日でした。そしたら唐突に頭の中に声が聞こえたんです。いわゆる『神託』というものなのだと思います。元々加護を授けてくださっていた神々からは一度も話しかけられる事はなかったので驚きましたが、そういう事もあるのだろう、と。ただ、加護を授けてきた神様がシズト様が布教活動をしているまじないの神だった事は想定外でした」
「まあ、そうだろうね」
確か加護を授かっている人に追加で加護を授けようと思うとそれだけ神力の消費が激しくなるんじゃなかったかな。なに無駄遣いしてるんだろうか、あの神様は。
「どうしたものか、と思案しましたが私とシズト様の過去の経緯を考えると、妙に勘繰りをされても困るので絶縁された父に手紙をすぐに出しました。受け取り拒否される可能性が高かったのですが、いくつかに分けて送ったのが功を奏したようで、一週間後には父から返事が来ました。そこから国王陛下へ手紙を出し、移動を開始して今に至ります」
「チャム様は加護を授けた時に何か仰ってましたか?」
「シズト様に『よろしく』と」
後ろに控えていたジュリウスの方から靴音が聞こえた。それを真似してドライアドたちが足音を立て始めた。タップダンスを始める子もいたけど、誰がそんなものを彼女たちに教えたのか謎だ。
ただ、ひとつわかる事は、彼女たちのせいで何かしら伝えようとしてジュリウスが音を出したという事にユートが気づいたという事だ。
「お澄まし。…………これでよし。さてと、お察しの通りですが、今この場で隠し事はしない方が良いと思います。嘘をついているとは思っていませんが、何か隠し事をされてますね?」
「…………シズト様が不快な思いをしないようにと配慮したのですが、余計な事だったようですね」
「はい。ありのままお願いします」
「分かりました。チャム様は色々お話されている様でしたが、その多くが独り言のようでした。正直申しますと、唐突な事だった事と、まじないの神からの神託である事から少なからず衝撃を受けたため一言一句正確には覚えてないです」
「構いません。覚えている限りの事を教えてください」
答え合わせは後ですればいい。まあ、チャム様も自分が言った独り言をすべて覚えているとは思えないけど。
「加護を与えるなら私か、もしくは他国の王女か、難しい決断だった、と。他国の王女であれば嫁をこれ以上増やしたくないと言っているシズトへの嫌がらせになるけど、メリットも少なからずあるはず。それは面白くない。それならば、お前の方が過去の事を考えると面白い事になりそうだ、と」
「…………嫌がらせにしてはどっちも微妙じゃない?」
「私もそう思います」
「いっその事犯罪者とかにしたら面倒な事になったのに」
「流石にそこまでしたら悪名が広まってしまう恐れがあったのかもしれません」
「なるほどなぁ」
まあ、確かにどっかの王女やユートに同じ加護を授けられたら対応しなくちゃいけないから面倒だけど、面倒なだけだ。
王女相手だったら何とか結婚しなくていい道を探すし、ユート相手でも僕個人は彼に対して嫌な記憶があるだけでそれ以上でもそれ以下でもない。
布教活動の邪魔をするような人だったらなにかしら決断しなくちゃいけない事もあったかもしれないけど、今の彼はあの時と比べるとだいぶ大人しい。
チャム様には期待通りにならなくて残念だったね、とでも言ってやろうかな。
そんなどうでもいい事を考えながら、ジュリウスの方をチラッと見ると彼は静かに控えていた。
嘘も隠し事も何もないのならこのまま話を続けよう。
ユートがいる所よりも数段高い所に置かれた椅子は玉座のように見えたけれど、そんな物用意したところで使う時なんてそうそうないだろうから気のせいだろう。そう思いたい。
窓の外の景色を見ていたけれど、ドライアドたちが再び跪いたユートにちょっかいを出そうとし始めたので視線を彼らに戻す。
……椅子用意されてないんだけど、このまま話させた方が良いのかな、とジュリウスに視線を向けると彼は静かに頷いた。魔道具の調子は良好なようである。それでも何も合図がないし、ジュリウスが動く気配もないのでユートは僕やレヴィさんに対して悪意は持ってなさそうだ。
……レヴィさんとの付き合いが長いから心を読ませないようにする方法を身につけている可能性もあるから油断はできないけど、とりあえず話を進めよう。
「さてと……手紙は読ませていただきましたが、加護を授かった時の事を詳しく教えてもらえますか?」
「かしこまりました。あれはそう……十月に入って少し経った頃の事です。その日は冒険業は休みにして装備の点検などをする日でした。そしたら唐突に頭の中に声が聞こえたんです。いわゆる『神託』というものなのだと思います。元々加護を授けてくださっていた神々からは一度も話しかけられる事はなかったので驚きましたが、そういう事もあるのだろう、と。ただ、加護を授けてきた神様がシズト様が布教活動をしているまじないの神だった事は想定外でした」
「まあ、そうだろうね」
確か加護を授かっている人に追加で加護を授けようと思うとそれだけ神力の消費が激しくなるんじゃなかったかな。なに無駄遣いしてるんだろうか、あの神様は。
「どうしたものか、と思案しましたが私とシズト様の過去の経緯を考えると、妙に勘繰りをされても困るので絶縁された父に手紙をすぐに出しました。受け取り拒否される可能性が高かったのですが、いくつかに分けて送ったのが功を奏したようで、一週間後には父から返事が来ました。そこから国王陛下へ手紙を出し、移動を開始して今に至ります」
「チャム様は加護を授けた時に何か仰ってましたか?」
「シズト様に『よろしく』と」
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ただ、ひとつわかる事は、彼女たちのせいで何かしら伝えようとしてジュリウスが音を出したという事にユートが気づいたという事だ。
「お澄まし。…………これでよし。さてと、お察しの通りですが、今この場で隠し事はしない方が良いと思います。嘘をついているとは思っていませんが、何か隠し事をされてますね?」
「…………シズト様が不快な思いをしないようにと配慮したのですが、余計な事だったようですね」
「はい。ありのままお願いします」
「分かりました。チャム様は色々お話されている様でしたが、その多くが独り言のようでした。正直申しますと、唐突な事だった事と、まじないの神からの神託である事から少なからず衝撃を受けたため一言一句正確には覚えてないです」
「構いません。覚えている限りの事を教えてください」
答え合わせは後ですればいい。まあ、チャム様も自分が言った独り言をすべて覚えているとは思えないけど。
「加護を与えるなら私か、もしくは他国の王女か、難しい決断だった、と。他国の王女であれば嫁をこれ以上増やしたくないと言っているシズトへの嫌がらせになるけど、メリットも少なからずあるはず。それは面白くない。それならば、お前の方が過去の事を考えると面白い事になりそうだ、と」
「…………嫌がらせにしてはどっちも微妙じゃない?」
「私もそう思います」
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