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五空間目
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しおりを挟む「………」
「………」
互いに無言のまま(俺は異を唱えたかったのだが、黙れと言われた以上口答えできなくなった)、数分経っただろうか。足の指から始まり、太腿も、贅肉たっぷりな腹も、脇の下も、濡れている箇所を徹底的に拭かれた。
酷使され続けた身体は悲鳴を上げていて、自分で拭けない以上、拭いてもらえるのは有り難いのだが、…非常に複雑だ。背後からは物凄い威圧を感じるし、何より乱暴した本人から優しくされるとどう反応すればいいのか困る。
それにこんなことは、幼い頃でもされた記憶がない。
それを肉親でもない赤の他人で、しかも超有名人にされているという状況が、あまりにも非現実的過ぎて頭がパンクしそうだ。
「…っ、あ…、」
そして今度は俺の鞄の中から取ってきたのであろう下着を、背後から穿かされるという羞恥プレイ。幼子がされるだろうことをさも当たり前のようにされて恥かしくて堪ったものじゃない。
「じ、自分で、穿けます、からっ」
「………」
「……ぅ、っ」
必死に搾り出した声は震えていて。だけどそれでも、俺の意見は華麗に無視された。
まずは右足から通され、次は左足に通される。そして俺の身体をそのご自慢の筋肉を使って軽く持ち上げると、パンツは綺麗に穿かされた。
……こんなに落ち着かない着衣は初めてだ。
「………」
「………」
そしてそのままの流れで、ズボンとシャツを神田さんから着させてもらった俺。
正直、気まずくて仕方がない。
…なんで、何も喋ってくれないんだろうか。
俺に、怒ってる?それとも、呆れてる?どういう心境に至って、ご丁寧にこんなことまでしてくれたのか分からないが、流石に喋ってくれないのは辛い。というより、無言のままされると、より恥かしくて途中何回が死にたくなった。
…どうせならば、馬鹿にされたり、からかわれた方が良かったようにも思える。
「……あ、あの…」
濡れた身体も拭いてもらえた。服も着させてもらえた。
それならばこれ以上こんな体勢で居る必要はない。だけど下腹部に回された腕で俺の身体はガッチリとホールドされているため、退くことも動くことも出来ない。
「…なんで、黙ってるんですか?」
怒っているのならば、わざわざこんな真似はしないと思うのだが。
俺には神田さんの真意は分からない。
「とりあえず、退いてくれます?」
「いやだ」
「……いやだ、って」
駄々をこねる子供のように言われても…困る。
それに可愛さなど微塵も感じない。神田さんのファンならば鼻血物かもしれないけれど…。
「怒っているんですか?」
俺が面倒な奴で。見た目も性格も可愛くない奴で。
それなのに性欲がたまっていたせいで、俺のようなデブに手を出してしまったことに、もしかしたら苛々しているのかもしれない。
…そんな八つ当たりをされても困るけれども。怒りたいのは俺の方だ。
何だか色々有り過ぎた上に疲れているので、乱暴されたこともどうでも良くなりつつ自分が居る。
「……?別に怒ってねえけど?」
「嘘だ…」
「嘘じゃねえよ」
「それなら、…なんで、黙ってるんですか?」
俺が喋ったら「黙れ」って言って、怒った風だったじゃないか。
怒ってないとか言われても、そんなこと信じられない。
後ろを振り向いてジロリと睨んでやれば、神田さんは眉間に皺を寄せた後、「こっちを見るな」と言ってきた。
……ほらな。やっぱり。
「怒ってるじゃないですか」
今更そんな気を遣わなくていいのに。それにそんな変な嘘を吐いてまで気遣ってくれるのならば、もっと他のことに気を遣って欲しかった。
ブスはブスらしく、ブスッとしながら、言われた通りに前を向く。
「……ハァ」
すると、背後から深い溜息を吐かれた。
「…お前って、本当に馬鹿だよな」
「……はぁっ?」
しかもなぜか馬鹿呼ばわりまでされてしまい、俺はムッとして、再度睨み付けてやる。そうすれば神田さんは苦笑しながら、「だからこっち見んなって、馬鹿」と言ってくるものだから流石に仏の有希と言われた俺ですらもキレ掛けてしまった(…本当は言われたことなんてないけれど)。
「それとも分かって煽ってんのか?」
「……あお、る?」
「こっちは必死に我慢してるんだよ」
「なに、を…?」
意味不明だ。そんな断片的なことを言われても俺は馬鹿なんだから分からない。
馬鹿な俺にも分かるように説明してくれ。
「…俺は極力何も考えずに、頭の中を無にしてだな」
「………?」
「ハァ……、だから、つまり、」
「わ、っ!?」
神田さんの低いハスキーボイスが、より近くで聞こえるなと肩を竦めていると。
「今でもお前のことを犯したくて、堪らねえんだよ」
……急にギュッと、力強く抱き締められた。
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