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十一空間目
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しおりを挟む「お、おい……帝?」
「なんだよ?」
「……なんだよ、って」
それは間違いなく俺の台詞だ。だけどこんな状況で振り払うこともできずに、ただ繋がれた手をジッと見つめれば、帝は繋いだ手を更にギュッ握り締めて俺に視線を寄越してきた。
「………………、少しくらいいいだろ?」
……なんだろうか。
俺には人の気持ちを読む能力なんてないはずなのに、帝のその表情と言葉を吐き出すまでの間も相まって、その言葉の前にはもう一言隠されているような気がする。……俺には『最後に少しくらいいいだろ?』と言っているようにしか聞こえなかったのだ。
「―――いいよ」
だから断ることなんてできるわけもなく、冷たく大きな手を握り返してやったのだった……
♢♢♢
あれから俺たちは特に言葉を交わすことなく家に着いた。だからといって気まずいというわけでもなく、俺はその瞬間くらいでしか感じられないであろう弟の温もりを噛み締めていた。考えていたことは違っただろうけど、それでも貴重な一時だったと思う。……帝も少しでもそう想ってくれていたら嬉しい。
そして自分の部屋に入るなり、俺はボフンと勢いよくベッドに寝転んだ。
「……あ、そうだ。神田さんに連絡しないとな」
先程頼んでおいた出前が届くまで暫く時間が掛かる。一人でゆっくり過ごせる今の内に、無事に帰宅できたことを連絡しておくべきだろう。想像していた以上に連絡が遅くなってしまったことに、もしかして神田さんは心配しているかもしれない。そう思った俺はすぐさまスマホを手に取り、『ただいま家に着きました』とメッセージを送信する。
そうすればすぐさま既読が付いた。もしかすると神田さんも、もう家に着いているのかもしれない。
「……わっ……」
そんなことを考えていたら、突如音を立てて着信が掛かってきたものだから少し驚いてしまった。俺は急いで電話に出る。
「……もしもし?」
『随分と遅かったな。なにかあったのかと心配した』
「す、すみません。ちょっと遅くなってしまいました」
『…………大丈夫か?』
「え?」
『声に元気がないように聞こえる』
「…………」
電話越しであれば気付かれないかと思っていたのだが、どうやら神田さんは俺のわずかな異変にさえも気付いてしまったようだ。俺のことをよく分かっているからなのか、それとも愛してくれているからなのか分からないが、そのことに少し嬉しく思いながらも、上手く隠せず変に心配をさせてしまったことに少し申し訳なく感じる。
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