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十一空間目
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しおりを挟むさっき別れたばかりだというのに、今すぐにも会いたくて堪らない気持ちだ。何をするわけでもなく、ただベッドの上でゆっくり横になって抱き合いたい。そして更に欲を言うのであれば、頭や背中とかを撫でてもらってヨシヨシされたい。だけど今はそれを妄想することしかできないため、俺は自分の枕をギュッと抱きしめて寂しさを堪えた。
「……神田さん」
『どうした?』
「早く会いたいです」
『……ああ。俺もだ』
忙しい身の神田さんにこんな我儘を言うのは迷惑なだけかもしれないけれど、言わずにはいられなかった。だけどそれでも俺の言葉に同意してくれた神田さん。それが嬉しくて、俺は握っていたスマホに擦り付いた。
『有希の学校が終わるのは、だいたい16時くらいか?』
「そうですかね。日によって違いますけど、それくらいだと思います」
『……そうか。流石に未成年をこれ以上夜遅くに家に帰らせるのは駄目だしな』
俺の帰宅時間を聞いて神田さんは考える素振りを見せる。どうやら次に会える時間を上手く調整してくれているようだ。俺のために考えてくれているこの間を待つだけでも、なんだか幸せに感じてしまう。そりゃあ、そうだよな。だって俺なんかが神田さんと話せているんだ。付き合えているんだ。本当に今更ながら現実味がなさすぎてどうしようもなくなる。さっきまでは帝とのやりとりで色々とナイーブになっていたけれど、一瞬で神田さんへの感情を上書きされてしまった。
『……あー、一番早くて来週の火曜日だな』
来週の火曜日となると、今日は木曜日だから五日後ということか。超売れっ子で休みという休みなんてなさそうなのに、思っていた以上に早めに会えることにテンションが上がってしまう。
『有希は大丈夫そうか?』
「はい、大丈夫だと思います」
『……悪いな。中々会う時間を作れなくて』
「いえ、十分過ぎますよ。わざわざありがとうございます」
『もういっそ一緒に暮らせればいいんだがな』
神田さんの突然の言葉に驚いたのと同時に、一瞬にして喜びで頬が緩んでしまった。だってそれほど俺のことを考えてくれている証拠なんだ。
『お前が卒業したら一緒に暮らすか』
「…………、え?」
『嫌なのかよ?』
「い、嫌じゃないですっ!嬉しいです!」
嫌なわけあるものか。すごく嬉しいことを全面的に伝えれば、電話越しで神田さんが笑ったのが分かった。
『まあ、まずは色々と二人でゆっくり過ごしたいよな』
「そうですね」
『泊まれる日でもあれば、いつでも俺の家にでも泊まりに来い。迎えに行く』
「はい、ありがとうございます」
こんなにも明日が楽しみだと、未来が楽しみだと思ったのは初めてかもしれない。本当に神田さんと出会ってから色々な初めてを味わせてもらっているような気がする。
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