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番外編・本編その後
帝の葛藤
しおりを挟む【十一空間目9辺りの帝視点のお話です】
家に着くなり俺たちは繋いだ手を離した。それはおそらく兄貴の方からで、俺は離れてしまった手の温もりと、その柔らかな感触がなくなってしまったことに酷く虚しい気持ちに襲われた。
―――きっと俺が下心を持って兄貴に触れられるのは、これが最後なのだろう。
そう考えると余計に色々な感情が爆発してしまいそうになるのだが、俺はそれを兄貴に悟られないように必死に感情を抑え込んですぐさま自分の部屋へと入った。
「…………クソっ……!」
そして俺は情けなくも泣きそうになりながら、ベッドへと寝転ぶ。誰も見ていないはずなのだから多少声を出そうが泣こうが誰にも気付かれないはずなのに、それは最後の自分のプライドが許せず、俺は血が出てしまいそうなほど拳を強く握って必死にやり過ごす。
――――分かっていた。兄貴が誰かに恋をしていることは。
男同士だからとか兄弟だからとかそういう理由だけではなく、俺が自分の気持ちを伝えるよりも先に、兄貴の心の中には俺以外の誰かがすでに居たのだ。それは俺が自分の気持ちを伝えた時からなんとなく分かっていた。
……だってあの馬鹿兄貴は、むかつくほどに分かりやすいのだ。
「………はぁっ、クソ。本当にむかつく」
俺以外を好きになった兄貴も。兄貴が好きになったその相手も。
―――そして、過去の俺自身さえも。
だって俺が兄貴に対してあんな幼稚で酷い行為をしなければ、兄貴は俺を避けて距離を置くこともなくわだかまりさえもなく良好な関係を築けていたのだ。……そしてきっと、兄貴がその相手と出会ったであろうあの夏の日も、家から逃げ出すように住み込みのアルバイトをすることもなかったのだ。
「…………俺のせいじゃねえか……」
大きなきっかけを作り出してしまった自分の愚かな行為に、どれだけ後悔してもしきれない。過去に戻れるのなら戻ってやり直したいくらいだ。……だけどそんな能力を持ち合わせていなければ、夢のような奇跡が起こることもあり得ないため、もう俺には兄貴を諦めるか、兄貴の意志を無視してでも自分の気持ちを押し付けて監禁するようなことしかできないのだ。
「―――んなこと、できるわけねえだろ」
これ以上嫌われるような真似は絶対にしたくない。無理やりにでも自分のものにしたい気持ちは勿論あるけれど、俺は兄貴を不幸せにしたいわけではないのだ。できることなら、今まで苦しめてしまった分、人並み以上に幸せになってもらいたいと思っている。
「………………クソ兄貴……」
できることならその幸せを俺が一生を掛けて隣で与えたかったのだが、それは叶わぬ未来だと思い知って、俺は知りもしない兄貴の好きな相手という奴を心から憎み――、そして羨ましく思ったのだった……
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