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心象世界
廃墟探索
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「ちょと、真梅雨! 何を?」
焦る舞田峰子の言葉は、ぽつんと空に取り残された。落下していき、そして、あろうことか無傷で着地した小崎真梅雨を、峰子はただ見下ろす。途中で発生した靄のようなものが、“死念”なのだろうと理解する。
「ほう。“死念”のこんな使い方は、資料には記載されていなかったが。能力への理解の造詣が深まったことで、憑依者として、できると直感したのだろう。大方、“死念”に触れたものを静止させる能力の延長といったところだろうか」
峰子は、テスト開始のスイッチとは、逆のポケットに入れておくよう江藤海斗に頼んでおいた煙草の箱を取り出すと、火を点ける。ちょうどその時、下の方で銃声が聞こえた。戦闘がはじまったのだろう。ゆっくりと吐き出した紫煙は、少しの間揺蕩うと、空気に浸透していくかのように消える。子供の頃、父の吸う煙草の煙が白いのを見て、なぜ紫煙というのか疑問に思ったことがあったのを、ふと思い出した。煙草の煙が少し青みがかっているのを知ったのは、自分が吸うようになってからで、妙に納得したのを覚えている。
「にしても、ぶっつけ本番で飛び降りるか、普通。慎重なんだか、大胆なんだか。末恐ろしい子だよ、本当に」
たった今、躊躇う素振りも見せずに一人目を撃破した真梅雨の背を見つめ、一人呟く峰子。
私の――代々、小崎の血に伝わってきた能力では、とてもではないが飛び降りるなんて芸当は出来ない。紫煙に混ぜて、自嘲気味な笑いを漏らす。峰子は、踵を返し塔屋の方へと歩を進め、夢の中でもコイツの味がするのは喜ばしいと、まだ火のついたままの煙草を捨てた。
焦る舞田峰子の言葉は、ぽつんと空に取り残された。落下していき、そして、あろうことか無傷で着地した小崎真梅雨を、峰子はただ見下ろす。途中で発生した靄のようなものが、“死念”なのだろうと理解する。
「ほう。“死念”のこんな使い方は、資料には記載されていなかったが。能力への理解の造詣が深まったことで、憑依者として、できると直感したのだろう。大方、“死念”に触れたものを静止させる能力の延長といったところだろうか」
峰子は、テスト開始のスイッチとは、逆のポケットに入れておくよう江藤海斗に頼んでおいた煙草の箱を取り出すと、火を点ける。ちょうどその時、下の方で銃声が聞こえた。戦闘がはじまったのだろう。ゆっくりと吐き出した紫煙は、少しの間揺蕩うと、空気に浸透していくかのように消える。子供の頃、父の吸う煙草の煙が白いのを見て、なぜ紫煙というのか疑問に思ったことがあったのを、ふと思い出した。煙草の煙が少し青みがかっているのを知ったのは、自分が吸うようになってからで、妙に納得したのを覚えている。
「にしても、ぶっつけ本番で飛び降りるか、普通。慎重なんだか、大胆なんだか。末恐ろしい子だよ、本当に」
たった今、躊躇う素振りも見せずに一人目を撃破した真梅雨の背を見つめ、一人呟く峰子。
私の――代々、小崎の血に伝わってきた能力では、とてもではないが飛び降りるなんて芸当は出来ない。紫煙に混ぜて、自嘲気味な笑いを漏らす。峰子は、踵を返し塔屋の方へと歩を進め、夢の中でもコイツの味がするのは喜ばしいと、まだ火のついたままの煙草を捨てた。
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