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第一話
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「はい、お疲れ様でした」
確かに、妄想しすぎて、疲れた。
「ふぅっ」
体を起こしながら、思わず大きなため息。
「クスッ」
黒川さんに笑われてしまった。
妄想しすぎなんて、ばれたらもっと恥ずかしい。
そんなことまで考えたら、自分でも耳まで赤くなってるのがわかるくらいに、体が熱くなった。
「大丈夫? だいぶ顔が赤いけど、熱でもあるかな」
黒川さんが自然に手を額にあててきた。
うわ、予想外の場所に手なんか触れたら……完全に固まる。
「……だいぶ、お疲れみたいだね。」
苦笑いする黒川さん。
――疲れる原因はあなたです。
とは、言えない。
短い髪は、短い髪なりに、気になる部分がある。襟足とか。前髪とか。
全体的なボリュームとか。
けして細い毛ではないうえに、髪の量が多いから、気が付くと頭がぼわっと膨らんでる。襟足もいつのまにかに、ぼさぼさ。毎月行くのは、黒川さんに会いたいせいもあるけど、現実的にぼさぼさなのに我慢できないから。
最近は、会いたい気持ちのほうが大きいけど。
「先にカットしますね」
ハサミが小気味よく、髪を切っていく。
真剣な眼差し。
雑誌も読まずに、彼の手元を追っていく。
私の視線に気づいていても、気にせずに動きを止めない。
「そういえばさ」
シャキシャキ
「はい?」
シャキシャキ
「杏子ちゃんは、髪伸ばさないの?」
シャキシャキ
「んー、面倒くさいし、似合わないし」
実際、肩くらいまで伸ばしたことはある。
髪をアップにしてたこともある。
でも、それはその時好きだった人が、長い髪を好きだったから。
なぜだか、髪を長くすると、こんなに後ろ向きな性格だったっけ、と思うくらい、性格まで変わってしまうのだ。
このままじゃだめだ、と思って、好きだった人の好みではなく、自分のために思い切って髪を切った。
黒川さんにしてみれば、小学生時代の男の子ような髪型の私と、美容室で再会した時の、すでに髪が短い状態だった私しかしらない。
「一度、見てみたいね。短いのが似合うから、長いのもいけると思うけどなぁ」
鏡越しの視線は、私の目を見てるというより、全体をチェックする視線。
「だったらウィッグでもつけますよ」
苦笑いしながら答えると
「お、そうだね。それもいいかも」
背後から、目の前に移動。前髪を切る。
私は目を閉じ、彼の指先を感じる。
シャンプーの時と同じように、一番、彼を近くに感じる瞬間。
動きが止まったので、うっすら目を開ける。
じーっと見つめる彼。
前髪を見てたはずなのに、私とばっちり目があってしまった。
こんなに顔を近くで見るなんて、思わず身をそらしてしまう。
「逃げない」
クスッと笑いながら、ゆっくりと言う黒川さん。
ああ、大人の余裕。黒川さんの苦笑いが、余計に私を引きつらせる。
「い、いや、近いです」
かなり、嬉しいけど。
確かに、妄想しすぎて、疲れた。
「ふぅっ」
体を起こしながら、思わず大きなため息。
「クスッ」
黒川さんに笑われてしまった。
妄想しすぎなんて、ばれたらもっと恥ずかしい。
そんなことまで考えたら、自分でも耳まで赤くなってるのがわかるくらいに、体が熱くなった。
「大丈夫? だいぶ顔が赤いけど、熱でもあるかな」
黒川さんが自然に手を額にあててきた。
うわ、予想外の場所に手なんか触れたら……完全に固まる。
「……だいぶ、お疲れみたいだね。」
苦笑いする黒川さん。
――疲れる原因はあなたです。
とは、言えない。
短い髪は、短い髪なりに、気になる部分がある。襟足とか。前髪とか。
全体的なボリュームとか。
けして細い毛ではないうえに、髪の量が多いから、気が付くと頭がぼわっと膨らんでる。襟足もいつのまにかに、ぼさぼさ。毎月行くのは、黒川さんに会いたいせいもあるけど、現実的にぼさぼさなのに我慢できないから。
最近は、会いたい気持ちのほうが大きいけど。
「先にカットしますね」
ハサミが小気味よく、髪を切っていく。
真剣な眼差し。
雑誌も読まずに、彼の手元を追っていく。
私の視線に気づいていても、気にせずに動きを止めない。
「そういえばさ」
シャキシャキ
「はい?」
シャキシャキ
「杏子ちゃんは、髪伸ばさないの?」
シャキシャキ
「んー、面倒くさいし、似合わないし」
実際、肩くらいまで伸ばしたことはある。
髪をアップにしてたこともある。
でも、それはその時好きだった人が、長い髪を好きだったから。
なぜだか、髪を長くすると、こんなに後ろ向きな性格だったっけ、と思うくらい、性格まで変わってしまうのだ。
このままじゃだめだ、と思って、好きだった人の好みではなく、自分のために思い切って髪を切った。
黒川さんにしてみれば、小学生時代の男の子ような髪型の私と、美容室で再会した時の、すでに髪が短い状態だった私しかしらない。
「一度、見てみたいね。短いのが似合うから、長いのもいけると思うけどなぁ」
鏡越しの視線は、私の目を見てるというより、全体をチェックする視線。
「だったらウィッグでもつけますよ」
苦笑いしながら答えると
「お、そうだね。それもいいかも」
背後から、目の前に移動。前髪を切る。
私は目を閉じ、彼の指先を感じる。
シャンプーの時と同じように、一番、彼を近くに感じる瞬間。
動きが止まったので、うっすら目を開ける。
じーっと見つめる彼。
前髪を見てたはずなのに、私とばっちり目があってしまった。
こんなに顔を近くで見るなんて、思わず身をそらしてしまう。
「逃げない」
クスッと笑いながら、ゆっくりと言う黒川さん。
ああ、大人の余裕。黒川さんの苦笑いが、余計に私を引きつらせる。
「い、いや、近いです」
かなり、嬉しいけど。
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