60 / 95
第8章
55
しおりを挟む
へリウスに抱えられて走ること、三日。ようやく、少し大きめな町に到着した。
「くそっ、風呂に入りてぇ!」
わかる。すげー、わかる!
クリーンの魔法をかけても、なんか残ってる感じがして、すっきりしないのだ。
「しかし、問題は風呂付の宿があるかどうかだなぁ」
「う、やっぱ、そういうのは高いよね」
そんな宿は、たいがいお貴族様用らしく、この町にそういう宿があるかは微妙。あっても、当然、高いんだろうな、という予想がつく。
俺たちはまず、冒険者ギルドに向かった。何せ、へリウスが移動中に色々と倒したもんで、へリウスのマジックバッグがいっぱいになっているのだ。俺のバッグにも入れてくれ、と言われ、結局、俺のもいっぱいになってるのだ。
どうも冒険者不足なのか、解体窓口のおじさんには、かなり喜ばれた。
この町自体、高ランクの魔物が出ている場所から離れているらしく、町に留まる冒険者はあまり多くないようだ。それでも、周辺に現れる魔物の数は少なくはないし、また、討伐がされないせいで肉や素材が足りなくなってきているらしい。
「しばらく乗合馬車も行商人も来ないもんだから、他の物資もなかなか届かなくてなぁ」
この町の手前にあった村も、なかなかいい具合に寂れてたのを思い出す。
あのブラックヴァイパーたちのせいなんだろうなぁ、とは思うけど、もう、あれもいないし、少しずつ流通も生き返るはずだ。
ほくほく顔のおじさんから、解体の明細をもらい、受付窓口に行く。へリウスの顔つきを見ると、かなりいい金額で引き取ってもらえたようだ。
そこで、風呂付きの宿屋がないか聞いてみたが、やっぱり、この町では無理だった模様。
「この次のトリアデンであれば、かなり大きな街だから、そこならあるんじゃないかな」
「なんだ、もうトリアデンまで来てたのか」
何やら、へリウスはその地名を知っているらしい。
「あの街なら行ったことがあるんだ。あそこの町の宿は、風呂があったはずだ。」
「やったね」
「あ、あのっ! で、できれば少し、討伐依頼をお願いできませんでしょうかっ」
「あ?」
二人で気分よく話しているところに、受付のおじさんが割って入ってくる。
へリウス、顔、恐いぞ。受付のおじさんも、ビビってるし。
「も、申し訳ありませんっ、し、しかし、今、この町にいる者では荷が勝ちすぎておりまして」
掲示されている討伐依頼に目を向けるへリウス。確かに、高ランクの物がかなり残っているっぽい。渋い顔になるへリウス。
「俺たちも急いでいるんだがな」
それでも、ハッキリと断れないでいるへリウス。人が良すぎるぞ。
思わず、俺の方が溜息をついてしまう。
聞けば、護衛でついて行ったこの町のB級やC級の冒険者たちが、いまだに戻ってこないという。残っている連中では、なかなか討伐するには厳しいらしい。
「……やってあげれば?」
俺の呆れたような声に、へリウスがへにょりと耳を曲げる。
「しかしなぁ、お前をつれて行くのは厳しいぞ」
「あ、あの、でしたら、ギルド内でお預かりしますっ!」
突如、受付のおじさんの後ろから現れた女の人。十代後半くらいのその人は、キラキラした目で俺を見つめてくる。
「……ハル、留守番できるか?」
「仕方ないじゃん。でも、それ、明日以降でいいよね?」
「え?」
「俺たち、今、この町に着いたばっかりなの。宿、決めて、少し休みたいんだけど」
不機嫌そうな俺の声。子供らしさの欠片もない言い方になっちゃったけど、それいくらいの文句は言ってもいいと思うんだ。
「くそっ、風呂に入りてぇ!」
わかる。すげー、わかる!
クリーンの魔法をかけても、なんか残ってる感じがして、すっきりしないのだ。
「しかし、問題は風呂付の宿があるかどうかだなぁ」
「う、やっぱ、そういうのは高いよね」
そんな宿は、たいがいお貴族様用らしく、この町にそういう宿があるかは微妙。あっても、当然、高いんだろうな、という予想がつく。
俺たちはまず、冒険者ギルドに向かった。何せ、へリウスが移動中に色々と倒したもんで、へリウスのマジックバッグがいっぱいになっているのだ。俺のバッグにも入れてくれ、と言われ、結局、俺のもいっぱいになってるのだ。
どうも冒険者不足なのか、解体窓口のおじさんには、かなり喜ばれた。
この町自体、高ランクの魔物が出ている場所から離れているらしく、町に留まる冒険者はあまり多くないようだ。それでも、周辺に現れる魔物の数は少なくはないし、また、討伐がされないせいで肉や素材が足りなくなってきているらしい。
「しばらく乗合馬車も行商人も来ないもんだから、他の物資もなかなか届かなくてなぁ」
この町の手前にあった村も、なかなかいい具合に寂れてたのを思い出す。
あのブラックヴァイパーたちのせいなんだろうなぁ、とは思うけど、もう、あれもいないし、少しずつ流通も生き返るはずだ。
ほくほく顔のおじさんから、解体の明細をもらい、受付窓口に行く。へリウスの顔つきを見ると、かなりいい金額で引き取ってもらえたようだ。
そこで、風呂付きの宿屋がないか聞いてみたが、やっぱり、この町では無理だった模様。
「この次のトリアデンであれば、かなり大きな街だから、そこならあるんじゃないかな」
「なんだ、もうトリアデンまで来てたのか」
何やら、へリウスはその地名を知っているらしい。
「あの街なら行ったことがあるんだ。あそこの町の宿は、風呂があったはずだ。」
「やったね」
「あ、あのっ! で、できれば少し、討伐依頼をお願いできませんでしょうかっ」
「あ?」
二人で気分よく話しているところに、受付のおじさんが割って入ってくる。
へリウス、顔、恐いぞ。受付のおじさんも、ビビってるし。
「も、申し訳ありませんっ、し、しかし、今、この町にいる者では荷が勝ちすぎておりまして」
掲示されている討伐依頼に目を向けるへリウス。確かに、高ランクの物がかなり残っているっぽい。渋い顔になるへリウス。
「俺たちも急いでいるんだがな」
それでも、ハッキリと断れないでいるへリウス。人が良すぎるぞ。
思わず、俺の方が溜息をついてしまう。
聞けば、護衛でついて行ったこの町のB級やC級の冒険者たちが、いまだに戻ってこないという。残っている連中では、なかなか討伐するには厳しいらしい。
「……やってあげれば?」
俺の呆れたような声に、へリウスがへにょりと耳を曲げる。
「しかしなぁ、お前をつれて行くのは厳しいぞ」
「あ、あの、でしたら、ギルド内でお預かりしますっ!」
突如、受付のおじさんの後ろから現れた女の人。十代後半くらいのその人は、キラキラした目で俺を見つめてくる。
「……ハル、留守番できるか?」
「仕方ないじゃん。でも、それ、明日以降でいいよね?」
「え?」
「俺たち、今、この町に着いたばっかりなの。宿、決めて、少し休みたいんだけど」
不機嫌そうな俺の声。子供らしさの欠片もない言い方になっちゃったけど、それいくらいの文句は言ってもいいと思うんだ。
7
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
モブっと異世界転生
月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。
ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。
目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。
サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。
死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?!
しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ!
*誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる