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ロジータ、隣国を目指す
第42話 船から下りる
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カジャダインの街の港に、船が接岸しました。
すでに日も落ちて、川のほうは真っ暗だったのですが。
「うわ、凄い」
船上から見える街は、やたらと明るくてびっくりしました。
――もしかして、街灯?
アーカンスの街も大きくて立派でしたが、夜はちょっと薄暗く、路地に入ってしまうとグッと暗くなっていました。特にスラム街近くは危険だと、院長先生に注意されたものですが、このカジャダインの街は暗いところがあるのか、というくらい明るいです。それだけ、領主がこの街を上手く治めているのでしょう。
続々と多くの人たちが下船していて、ガヤガヤととても賑やかです。
「ほら、さっさと降りろぉ」
そろそろ移動させようかと思っていたところに、馬車をみていてくれた腕章を付けたおじさんが声をかけてきました。
「急がないと、街に入れなくなるぞ」
「え」
「あそこの門を通らないと街に入れないんだ。今日はこの船が最後だからな。さっさと行かないと受付も終わって門が閉まっちまうぞ」
「あ、ありがとうございます」
先に進んでいた馬車の護衛に、甲板で声をかけてくれたおじさんがついていたようで、御者台に乗っていた私に気付いたのか、手を振りながら船から降りていきました。
大きな馬車が出ていったので、その後についていくようにダーウィの手綱を握って前に進むように促しましたが、結局、船を降りるのが一番最後になってしまいました。
なんとか門まで進み、カジャダインの街の入街料を払いました。オジマーと同じ、子供一人、銅貨四枚、合計銅貨八枚。銀貨一枚を渡して、おつりを受け取りながら、受付をしてくれたお兄さんに、宿屋のことを聞きます。
「もう、この時間じゃあ、どこの宿屋もいっぱいだろう」
「特に今日は行商人の集団が多かったからな」
「あー、ロフタールの王太子の結婚式が近いからな」
ロフタールとは、隣の王国のことで、その先に双子の祖国のレインデルス王国や、『フロリンダ』の隠れ家のある旧アークライ王国のあった大森林があります。
もしかしたら、あの護衛のおじさんが護衛していた馬車の集団も、ロフタールに向かったのかもしれません。
「そういや、ジェイムズさん、あんたんとこの妹夫婦のとこはどうだ」
受付のお兄さんが裏のほうにいた男性に声をかけました。
「あ、なんだ?」
ちょっと怖そうな顔の中年男性がのっそりと出てきました。
「いや、このお嬢ちゃんが泊まれる宿を探しているっていうからさ」
「ああ?……嬢ちゃんだけか」
「いいえ、私と子供二人です」
そう言って馬車の方を示すと、窓から双子がこっちを見ている。私が手を振ると、嬉しそうに双子も振り返してきた。
「わかった。ちょっと待ってろ」
そう言うと男性は奥の方に戻っていったかと思ったら、小さなメモを片手に戻ってきました。
「ほら、これがうちの妹のところの宿屋だ。街の中でも外れにある」
メモには街の中のざっくりした地図と、宿の名前(『水馬の居眠り亭』)と、おじさんの名前が書いてあります。
「あ、ありがとうございます」
この地図でちゃんと行けるのか不安があるものの、せっかく頂いたので私は頭を下げて、すぐに街の中へと馬車を進めました。
すでに日も落ちて、川のほうは真っ暗だったのですが。
「うわ、凄い」
船上から見える街は、やたらと明るくてびっくりしました。
――もしかして、街灯?
アーカンスの街も大きくて立派でしたが、夜はちょっと薄暗く、路地に入ってしまうとグッと暗くなっていました。特にスラム街近くは危険だと、院長先生に注意されたものですが、このカジャダインの街は暗いところがあるのか、というくらい明るいです。それだけ、領主がこの街を上手く治めているのでしょう。
続々と多くの人たちが下船していて、ガヤガヤととても賑やかです。
「ほら、さっさと降りろぉ」
そろそろ移動させようかと思っていたところに、馬車をみていてくれた腕章を付けたおじさんが声をかけてきました。
「急がないと、街に入れなくなるぞ」
「え」
「あそこの門を通らないと街に入れないんだ。今日はこの船が最後だからな。さっさと行かないと受付も終わって門が閉まっちまうぞ」
「あ、ありがとうございます」
先に進んでいた馬車の護衛に、甲板で声をかけてくれたおじさんがついていたようで、御者台に乗っていた私に気付いたのか、手を振りながら船から降りていきました。
大きな馬車が出ていったので、その後についていくようにダーウィの手綱を握って前に進むように促しましたが、結局、船を降りるのが一番最後になってしまいました。
なんとか門まで進み、カジャダインの街の入街料を払いました。オジマーと同じ、子供一人、銅貨四枚、合計銅貨八枚。銀貨一枚を渡して、おつりを受け取りながら、受付をしてくれたお兄さんに、宿屋のことを聞きます。
「もう、この時間じゃあ、どこの宿屋もいっぱいだろう」
「特に今日は行商人の集団が多かったからな」
「あー、ロフタールの王太子の結婚式が近いからな」
ロフタールとは、隣の王国のことで、その先に双子の祖国のレインデルス王国や、『フロリンダ』の隠れ家のある旧アークライ王国のあった大森林があります。
もしかしたら、あの護衛のおじさんが護衛していた馬車の集団も、ロフタールに向かったのかもしれません。
「そういや、ジェイムズさん、あんたんとこの妹夫婦のとこはどうだ」
受付のお兄さんが裏のほうにいた男性に声をかけました。
「あ、なんだ?」
ちょっと怖そうな顔の中年男性がのっそりと出てきました。
「いや、このお嬢ちゃんが泊まれる宿を探しているっていうからさ」
「ああ?……嬢ちゃんだけか」
「いいえ、私と子供二人です」
そう言って馬車の方を示すと、窓から双子がこっちを見ている。私が手を振ると、嬉しそうに双子も振り返してきた。
「わかった。ちょっと待ってろ」
そう言うと男性は奥の方に戻っていったかと思ったら、小さなメモを片手に戻ってきました。
「ほら、これがうちの妹のところの宿屋だ。街の中でも外れにある」
メモには街の中のざっくりした地図と、宿の名前(『水馬の居眠り亭』)と、おじさんの名前が書いてあります。
「あ、ありがとうございます」
この地図でちゃんと行けるのか不安があるものの、せっかく頂いたので私は頭を下げて、すぐに街の中へと馬車を進めました。
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