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「ふーん、中々悪くないわね。元々素材はよさそうな気がしていたけど」
「美的センサーさすがです。お嬢様」
「あんた、バカにしてない?」
この二人、これが通常運転なのだろうか?すぐ喧嘩っぽくなるが、どうしてかカレン様が本気で怒ってるようには見えないし、鏡で後ろにいる使用人は表情を変えずに淡々としているものの、なんだか雰囲気が楽しそうな………?
気のせいだろうか?
「バカになんてとんでもございません。それより終わりましたよ」
「ご苦労様。そうだ、貴女自己紹介はしたの?」
「まだですね。急ぐことでもありませんから」
「そこら辺適当よね……。まあいいわ。クロ、この生意気なメイドはミドリよ」
「カレン様がつけた名前?」
「あら、よくわかったわね」
カレン様が何故か僕が気づいたことに満足げにしたが、僕に髪が黒だからクロとつけた人だからなぁ。大方、ミドリという女性は目が緑だからという理由なのは想像がつく。でも、カレン様がつけたということはこのミドリも僕のように何か名前がない事情でもあったのだろうか。
「名前がない事情としましては、私、幼い頃から殺し屋として育てられましたので、名前がコロコロと変わりまして、自分の名前というものがなかったのです」
「口に出してたかな………?」
「いいえ、殺し屋としての家庭から逃げたときに情報屋に拾われ、情報屋として働いた経験もあるので、そういった人の心を察するのに長けているのです。情報屋もやはり偽名を使いながら情報を探したりするので、ここでも名前はコロコロ変わりましたね」
ミドリという女性は聞いているだけでも僕とは違った大変な人生を送っているようだ。
「ちなみに私は男性です」
「え?」
また心を読まれたと思う以上の衝撃。だけど、これはさすがに冗談ですと来ると思ったら………
「これこそ冗談に思えるけど本当よ」
「え」
こんなに驚いたのは人生で始めてかもしれない。いや、カレン様に会ってから初めてだらけだが。
「女性だと油断されやすいからやりやすいんですって」
「………」
何を……とは聞かなかった。元殺し屋、情報屋にしてもそこまでの経歴がありながら、何故今はカレン様に仕えているのか。僕が勝手にそう変にある知識故に考えてしまうだけで、案外カレン様に仕えた方が待遇がよかったりするのかもしれない。
「大丈夫ですよ。ペット様もその内お嬢様のよさがわかります」
もう心を察するレベルじゃない気がする。なんだろう、悪魔の子である自分がちっぽけな存在に思えてきた。ミドリの方が悪魔になれそうな……さすがに失礼か。
「ミドリが悪魔に見えるのはわかるわ」
「………」
もしかしなくても僕がわかりやすいのだろうか?話さなくても会話がお嬢様と成立してしまってそう思えてきた。まあ、構わないが。
「まあ、悪魔だなんて………」
「その姿で男をどれだけ弄んできたと思ってるの?」
「さあ?数えるのも面倒で」
「男が男を弄ぶ………?」
よくわからないが、ミドリが女なら知識として男を金づるとして弄ぶ……みたいなのがあるのは知っている。なんでこんな知識まであるのかは浮かび上がる知識の基準がわからないからともかく……。
男が男を弄ぶのはよくわからない。五百年も時代が流れればそういうのもまた新しい常識なのだろうか?ミドリが女性に見えるからと言ってミドリが男を弄ぶ………?
「おじいちゃん……知らなくていいことはあるわ」
「ペット様、世の中には覚えてはならないものもございます」
カレン様にはまたしてもおじいちゃん呼びされ、ミドリと共にこれを知ろうとするなとばかりの圧を感じた。
まあ確かに知りたくなかったという知識もあることは確か。二人がここまで言うなら必要のない知識なのかもしれない。
「わかった」
そう言えば二人の圧は一瞬にして消えた。二人から話し出したことなのに、なんとも不思議なことだ。
「まあ夜も遅いし、顔も見れたからそろそろ寝るわ。ミドリは気がつけばどこにでもいるから、本邸に行くまでの教育係の先生とするといいわ。わからないことはミドリに聞きなさい。どこまで知識があるかわからないしね」
気がつけばどこにでもいる辺りがよくわからないけど、まあ、カレン様に仕えるために必要なことをミドリが教えてくれるということは理解した。
「うん、わかった。ありがとう」
「ミドリ、最低限でいいから余計なことは教えないようにね」
「もちろんです。任せてください」
「不安だけれど……ここで信用できるのは貴女だけだからね。任せたわ」
「はい」
ここはカレン様の屋敷のはずなのに何故信用できるのがミドリだけなのか不思議だが、その辺りは人間関係として色々あるのかもしれない。僕を虐げて来た人たちも一気団結して殺しに来たのかと思えば、失敗に終わり喧嘩になっているのも見たことがあるし。
どうせ僕は死なないから喧嘩することもないだろうに、殺せないからと何故か言い合って、目の前で喧嘩が始まった時は不思議で仕方なかった。
なんでこんな意味のないことで喧嘩するのだろうか?と。
そんな変わった人たちもいるのだから、全員が全員カレン様とうまくいくわけではないのだろう。そう僕は勝手に解釈した。
「美的センサーさすがです。お嬢様」
「あんた、バカにしてない?」
この二人、これが通常運転なのだろうか?すぐ喧嘩っぽくなるが、どうしてかカレン様が本気で怒ってるようには見えないし、鏡で後ろにいる使用人は表情を変えずに淡々としているものの、なんだか雰囲気が楽しそうな………?
気のせいだろうか?
「バカになんてとんでもございません。それより終わりましたよ」
「ご苦労様。そうだ、貴女自己紹介はしたの?」
「まだですね。急ぐことでもありませんから」
「そこら辺適当よね……。まあいいわ。クロ、この生意気なメイドはミドリよ」
「カレン様がつけた名前?」
「あら、よくわかったわね」
カレン様が何故か僕が気づいたことに満足げにしたが、僕に髪が黒だからクロとつけた人だからなぁ。大方、ミドリという女性は目が緑だからという理由なのは想像がつく。でも、カレン様がつけたということはこのミドリも僕のように何か名前がない事情でもあったのだろうか。
「名前がない事情としましては、私、幼い頃から殺し屋として育てられましたので、名前がコロコロと変わりまして、自分の名前というものがなかったのです」
「口に出してたかな………?」
「いいえ、殺し屋としての家庭から逃げたときに情報屋に拾われ、情報屋として働いた経験もあるので、そういった人の心を察するのに長けているのです。情報屋もやはり偽名を使いながら情報を探したりするので、ここでも名前はコロコロ変わりましたね」
ミドリという女性は聞いているだけでも僕とは違った大変な人生を送っているようだ。
「ちなみに私は男性です」
「え?」
また心を読まれたと思う以上の衝撃。だけど、これはさすがに冗談ですと来ると思ったら………
「これこそ冗談に思えるけど本当よ」
「え」
こんなに驚いたのは人生で始めてかもしれない。いや、カレン様に会ってから初めてだらけだが。
「女性だと油断されやすいからやりやすいんですって」
「………」
何を……とは聞かなかった。元殺し屋、情報屋にしてもそこまでの経歴がありながら、何故今はカレン様に仕えているのか。僕が勝手にそう変にある知識故に考えてしまうだけで、案外カレン様に仕えた方が待遇がよかったりするのかもしれない。
「大丈夫ですよ。ペット様もその内お嬢様のよさがわかります」
もう心を察するレベルじゃない気がする。なんだろう、悪魔の子である自分がちっぽけな存在に思えてきた。ミドリの方が悪魔になれそうな……さすがに失礼か。
「ミドリが悪魔に見えるのはわかるわ」
「………」
もしかしなくても僕がわかりやすいのだろうか?話さなくても会話がお嬢様と成立してしまってそう思えてきた。まあ、構わないが。
「まあ、悪魔だなんて………」
「その姿で男をどれだけ弄んできたと思ってるの?」
「さあ?数えるのも面倒で」
「男が男を弄ぶ………?」
よくわからないが、ミドリが女なら知識として男を金づるとして弄ぶ……みたいなのがあるのは知っている。なんでこんな知識まであるのかは浮かび上がる知識の基準がわからないからともかく……。
男が男を弄ぶのはよくわからない。五百年も時代が流れればそういうのもまた新しい常識なのだろうか?ミドリが女性に見えるからと言ってミドリが男を弄ぶ………?
「おじいちゃん……知らなくていいことはあるわ」
「ペット様、世の中には覚えてはならないものもございます」
カレン様にはまたしてもおじいちゃん呼びされ、ミドリと共にこれを知ろうとするなとばかりの圧を感じた。
まあ確かに知りたくなかったという知識もあることは確か。二人がここまで言うなら必要のない知識なのかもしれない。
「わかった」
そう言えば二人の圧は一瞬にして消えた。二人から話し出したことなのに、なんとも不思議なことだ。
「まあ夜も遅いし、顔も見れたからそろそろ寝るわ。ミドリは気がつけばどこにでもいるから、本邸に行くまでの教育係の先生とするといいわ。わからないことはミドリに聞きなさい。どこまで知識があるかわからないしね」
気がつけばどこにでもいる辺りがよくわからないけど、まあ、カレン様に仕えるために必要なことをミドリが教えてくれるということは理解した。
「うん、わかった。ありがとう」
「ミドリ、最低限でいいから余計なことは教えないようにね」
「もちろんです。任せてください」
「不安だけれど……ここで信用できるのは貴女だけだからね。任せたわ」
「はい」
ここはカレン様の屋敷のはずなのに何故信用できるのがミドリだけなのか不思議だが、その辺りは人間関係として色々あるのかもしれない。僕を虐げて来た人たちも一気団結して殺しに来たのかと思えば、失敗に終わり喧嘩になっているのも見たことがあるし。
どうせ僕は死なないから喧嘩することもないだろうに、殺せないからと何故か言い合って、目の前で喧嘩が始まった時は不思議で仕方なかった。
なんでこんな意味のないことで喧嘩するのだろうか?と。
そんな変わった人たちもいるのだから、全員が全員カレン様とうまくいくわけではないのだろう。そう僕は勝手に解釈した。
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