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本編完結(年齢制限無し)
前世の記憶と後悔
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俺はクレット国第一王子リーアベル・クレット。親に似ず平凡そのもので勉強も運動もできなくはないが、できすぎるわけもなく次期王と言われながらも我が儘放題で周囲を困らせていた。
そんな俺は弟が生まれたと聞いて向かう途中、階段で足を滑らせ意識を失う。幸い怪我はないものの頭を強く打ったために安静。
ちなみに意識を失った直後、俺は前世の記憶を思い出し、ここが幼馴染みがよく語ってくるゲームの世界であること、俺がその悪役に転生していることを理解した。
だからこの後、親に似ず、代々伝えられし赤い瞳と黒髪の弟が次期王の継承権を得ることを俺は知っている。正直平凡な俺もそうだが、この世界の遺伝子がどうなってるのかよくわからない。
とりあえずこれで、俺が前世を知らずに生きていれば次期王の継承権もとられ、親の愛を奪われたと怒り狂ったリーアベルは弟や弟の周囲に嫌がらせを開始する。まあ、平凡故に天才とも言われる優秀な弟を上回ることができず失敗の数々になるわけだが。
それで諦めればいいものの、諦めだけは悪いリーアベルは弟が惚れた人物、ゲームでいうヒロインに、これが成功すればとばかりに手を出してついに殺しかけたため、キレた弟により処刑される。殺しかけた時、既にヒロインは弟の婚約者で未来の王妃に暗殺未遂ということでの処刑。つまりは死ぬわけである。
リーアベルが亡くなった後は唯一弟が心を開き、愛したヒロインと幸せに暮らしてめでたしという話。
なぜ、ヒロインに唯一心を許したのかという疑問だが、この弟は優秀すぎて兄の嫌がらせが気にならないくらい命は狙われるわ、男女問わず媚びへつらわれ、リーアベルは弟が愛されていると感じたようだが、優秀故に親がこれぐらいできるだろうと期待に期待を重ね、さらには黒髪、赤い瞳というだけで話せる頃から厳しく接し、愛を知らずに育ったのだ。
ちなみに幼いとはいえ、親に言われようが我が儘放題の時点でリーアベルは親に見放され、自業自得である。
でも、リーアベルをバカにする権利は俺にない。きっと弟が生まれた日に前世の記憶が蘇り、これに転生したのは前世の弟への後悔故だろう。
前世の俺の弟は体が弱く、親はまだ幼い俺を放ったらかしで弟に構うばかり。それが悔しくてにこにこと笑う弟にいたずらばかりした。
それでも弟はにこにこで、入院した時に寄れば親よりも俺を見つけて名前を呼び、嬉しそうにした。いたずらばかりする兄を何故慕うのかわけがわからず、相変わらず親を独占する弟が俺に口にした言葉。
『母さんや父さんよりも、兄さんが来てくれるのが一番嬉しい』
二人が席を外している時に言われた言葉。悪意はないんだろう。よくわからないが弟は何故か俺を慕う。でも、欲しくて欲しくて仕方なかった親の愛を下に見る弟に怒りが湧いた。
『俺はお前に会いに来たくねーよ!さっさと死んじまえ!』
『に、兄さん?僕、なんか怒らせるようなこと言った?』
『…………』
『兄さん、待って!ごめんなさい!謝るから行かないで!兄さん!』
必死な声を出す弟に背を向けて病室を出てから1週間、親に誘われても弟の見舞いには行かなかった。結果、弟は病気などではなく自ら命を絶った。
弟は遺書も書いていた。そのほとんどが俺宛で、俺が原因で自殺したのがわかった。
【兄さん、怒らせてごめんなさい。兄さんに会えないの辛くて、許してもらえないのも怖かった。だから死のうと思う。兄さんが望んでくれたことだから。死んだから許してくれる?嫌いにならない?兄さんだけが僕の体を気にせず遊んでくれた。兄さんだけが僕を気遣うことなく接してくれた。兄さんがいるから僕は僕でいられたよ、ありがとう】
だいたいの内容はこれ。たくさんのいたずらは親に叱られたけど、弟にとって親が気遣ってしてくれない遊びで、乱暴な言葉との会話は心配されるばかりの弟にとっては自分になれる唯一の会話で、俺は親の愛に固執しすぎたせいで弟を見れていなかった。
本当に大事にすべきものを見誤ったのだ。親は俺を責めなかったし、弟相手にそう望ませてしまったことを謝ってきた。親は今まで構えなかった分、亡くなった弟の分とばかりに俺にかかりきりになってくれたが、最後まで俺を気にした弟を死なせてしまったことで親はどうでもよくなってしまっていた。
毎日遺書を読み、本来弟の部屋だった場所に引きこもり励ますように、時に関係ない話など織り混ぜて親や幼馴染みが扉の向こう側で語りかけてくる毎日。
その幼馴染みがよく話していたゲームが今の現実で、リーアベルが羨ましいと感じてしまった。弟に殺されるのだから。その話を聞いて弟が俺を殺しに来ないだろうか、次はたくさん構ってやりたいと夢物語を馳せたものだ。
このゲームのいいところは俺が悪役になれば弟がヒロインと幸せになるということ。ならばすることは決まっている。
でも、ヒロインがいない間はどうせ失敗はする嫌がらせだし、弟の負担は減らしたい。前世可愛がれなかった分、弟違いとはいえ今の弟を可愛がっても問題ないよな?
そんな俺は弟が生まれたと聞いて向かう途中、階段で足を滑らせ意識を失う。幸い怪我はないものの頭を強く打ったために安静。
ちなみに意識を失った直後、俺は前世の記憶を思い出し、ここが幼馴染みがよく語ってくるゲームの世界であること、俺がその悪役に転生していることを理解した。
だからこの後、親に似ず、代々伝えられし赤い瞳と黒髪の弟が次期王の継承権を得ることを俺は知っている。正直平凡な俺もそうだが、この世界の遺伝子がどうなってるのかよくわからない。
とりあえずこれで、俺が前世を知らずに生きていれば次期王の継承権もとられ、親の愛を奪われたと怒り狂ったリーアベルは弟や弟の周囲に嫌がらせを開始する。まあ、平凡故に天才とも言われる優秀な弟を上回ることができず失敗の数々になるわけだが。
それで諦めればいいものの、諦めだけは悪いリーアベルは弟が惚れた人物、ゲームでいうヒロインに、これが成功すればとばかりに手を出してついに殺しかけたため、キレた弟により処刑される。殺しかけた時、既にヒロインは弟の婚約者で未来の王妃に暗殺未遂ということでの処刑。つまりは死ぬわけである。
リーアベルが亡くなった後は唯一弟が心を開き、愛したヒロインと幸せに暮らしてめでたしという話。
なぜ、ヒロインに唯一心を許したのかという疑問だが、この弟は優秀すぎて兄の嫌がらせが気にならないくらい命は狙われるわ、男女問わず媚びへつらわれ、リーアベルは弟が愛されていると感じたようだが、優秀故に親がこれぐらいできるだろうと期待に期待を重ね、さらには黒髪、赤い瞳というだけで話せる頃から厳しく接し、愛を知らずに育ったのだ。
ちなみに幼いとはいえ、親に言われようが我が儘放題の時点でリーアベルは親に見放され、自業自得である。
でも、リーアベルをバカにする権利は俺にない。きっと弟が生まれた日に前世の記憶が蘇り、これに転生したのは前世の弟への後悔故だろう。
前世の俺の弟は体が弱く、親はまだ幼い俺を放ったらかしで弟に構うばかり。それが悔しくてにこにこと笑う弟にいたずらばかりした。
それでも弟はにこにこで、入院した時に寄れば親よりも俺を見つけて名前を呼び、嬉しそうにした。いたずらばかりする兄を何故慕うのかわけがわからず、相変わらず親を独占する弟が俺に口にした言葉。
『母さんや父さんよりも、兄さんが来てくれるのが一番嬉しい』
二人が席を外している時に言われた言葉。悪意はないんだろう。よくわからないが弟は何故か俺を慕う。でも、欲しくて欲しくて仕方なかった親の愛を下に見る弟に怒りが湧いた。
『俺はお前に会いに来たくねーよ!さっさと死んじまえ!』
『に、兄さん?僕、なんか怒らせるようなこと言った?』
『…………』
『兄さん、待って!ごめんなさい!謝るから行かないで!兄さん!』
必死な声を出す弟に背を向けて病室を出てから1週間、親に誘われても弟の見舞いには行かなかった。結果、弟は病気などではなく自ら命を絶った。
弟は遺書も書いていた。そのほとんどが俺宛で、俺が原因で自殺したのがわかった。
【兄さん、怒らせてごめんなさい。兄さんに会えないの辛くて、許してもらえないのも怖かった。だから死のうと思う。兄さんが望んでくれたことだから。死んだから許してくれる?嫌いにならない?兄さんだけが僕の体を気にせず遊んでくれた。兄さんだけが僕を気遣うことなく接してくれた。兄さんがいるから僕は僕でいられたよ、ありがとう】
だいたいの内容はこれ。たくさんのいたずらは親に叱られたけど、弟にとって親が気遣ってしてくれない遊びで、乱暴な言葉との会話は心配されるばかりの弟にとっては自分になれる唯一の会話で、俺は親の愛に固執しすぎたせいで弟を見れていなかった。
本当に大事にすべきものを見誤ったのだ。親は俺を責めなかったし、弟相手にそう望ませてしまったことを謝ってきた。親は今まで構えなかった分、亡くなった弟の分とばかりに俺にかかりきりになってくれたが、最後まで俺を気にした弟を死なせてしまったことで親はどうでもよくなってしまっていた。
毎日遺書を読み、本来弟の部屋だった場所に引きこもり励ますように、時に関係ない話など織り混ぜて親や幼馴染みが扉の向こう側で語りかけてくる毎日。
その幼馴染みがよく話していたゲームが今の現実で、リーアベルが羨ましいと感じてしまった。弟に殺されるのだから。その話を聞いて弟が俺を殺しに来ないだろうか、次はたくさん構ってやりたいと夢物語を馳せたものだ。
このゲームのいいところは俺が悪役になれば弟がヒロインと幸せになるということ。ならばすることは決まっている。
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