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1章悪役令嬢の秘密
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ヒロイン様に婚約の解消について伝えられたあの日から一週間後、コーカイ様から呼び出された。人気のない中庭に。この時ばかりは踏ん張らなければと杖なしにひそかに汗を流しながら向かった。
あくまでコーカイ様には杖はいじめに使う道具という見せかけだから。
「君と婚約を解消したい」
着いた先で戸惑いもなくはっきりと言われた言葉。きっと一週間も時間をかけたのは迷わず言い切るために練習したのかもしれない。
コーカイ様のことだからすぐに言い出すには迷ったのだろう。あれだけ悪さをし、そのように見せかけたのにどこまでも優しいお人だ。
「はい、承知いたしました」
声が震えないように毅然とした態度で返事を返す。胸が張り裂けそうだけどそれをコーカイ様に見せてはいけない。
何の迷いなく承諾した私にコーカイ様の目が見開く。きっと嫉妬に狂っていじめたという噂があるからだろう。
狂ったかはわからないけれど、少なからず嫉妬は気づかないフリをしていただけであったかもしれない。
それでも今更気づいたところでこの覚悟を無駄にする気はない。
目の前にいるのは私の初恋の人で最後の恋となる人、その相手は私の婚約者。今その立場がなくなろうとしている。
理由はわかっているし、私がそう仕向けたこと。本当は叫びたい。まだ貴方が好きで仕方ないと。貴方しか私にはいないのだと。
それでも私は貴方を幸せにはできないから、この恋は諦めるの。
そう心に言い聞かせる。
「最後にひとつ聞きたい。何故あんなことを?」
あんなことなんてヒロイン様をいじめた件だろう。きっと少しばかり彼は混乱しているに違いない。
「私、貴方がずっと大嫌いでしたから嫌がらせですわ」
私、貴方がずっとこれからも大好きです。
心と言葉に矛盾を持って泣き叫ぶ心の悲鳴は見てみぬふり。私の言葉に傷ついたような表情をしたコーカイ様は私の幻覚で、これは間違っていない選択。
どうか、あの子とお幸せに。
(本当は私が幸せにしたかった)
本当の望みの声は心の奥に鍵をして涙も最後まで見せない。
私の望みはコーカイ様が私を忘れて愛する人と幸せになる未来。
(私を忘れないで)
これも鍵を
(いやだ、ひとりで死にたくない)
これにも鍵を
(コーカイ様が好き、大好き、愛してるの!)
これには大きく頑丈な鍵を。
溢れる想いに鍵だらけになっていく心。
「そんなに僕は嫌われていたの?」
「さようなら」
その問いに答えず去る私。もう心さえもが限界だった。そして身体もまた限界を越えてしまっていた。
その日、私は学園からもいなくなり屋敷の自室のベッドで眠りにつく。役目は終わったとばかりに。
それから婚約を解消された3日後に私はようやく死を迎えた。学園を卒業することすらできずに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1章あとがき
前世編終了です。実はあまり感想なく読む人少なかったらタイトル変えてここで短編完結予定でした。完結ならもう少し終わり方変えてましたがね。
が、意外に好評?のようなので来世編も今から考えます(今日7月8日は前世編のみで更新終了です)
日曜日の夜にかけて平日なのに感想くださった方々、お読みになっている読者様ありがとうございます。まだ二日目にしてHOTランキング6位………気がつけば3位になってるのも皆様のおかげです!
来世でもときどき前世話はでる予定です。アイ嬢たちは一体どんな転生を遂げるのかお楽しみに!人によっては人間とは限らないとだけ言っておきましょう。
by貧血で死んでる作者より
あくまでコーカイ様には杖はいじめに使う道具という見せかけだから。
「君と婚約を解消したい」
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コーカイ様のことだからすぐに言い出すには迷ったのだろう。あれだけ悪さをし、そのように見せかけたのにどこまでも優しいお人だ。
「はい、承知いたしました」
声が震えないように毅然とした態度で返事を返す。胸が張り裂けそうだけどそれをコーカイ様に見せてはいけない。
何の迷いなく承諾した私にコーカイ様の目が見開く。きっと嫉妬に狂っていじめたという噂があるからだろう。
狂ったかはわからないけれど、少なからず嫉妬は気づかないフリをしていただけであったかもしれない。
それでも今更気づいたところでこの覚悟を無駄にする気はない。
目の前にいるのは私の初恋の人で最後の恋となる人、その相手は私の婚約者。今その立場がなくなろうとしている。
理由はわかっているし、私がそう仕向けたこと。本当は叫びたい。まだ貴方が好きで仕方ないと。貴方しか私にはいないのだと。
それでも私は貴方を幸せにはできないから、この恋は諦めるの。
そう心に言い聞かせる。
「最後にひとつ聞きたい。何故あんなことを?」
あんなことなんてヒロイン様をいじめた件だろう。きっと少しばかり彼は混乱しているに違いない。
「私、貴方がずっと大嫌いでしたから嫌がらせですわ」
私、貴方がずっとこれからも大好きです。
心と言葉に矛盾を持って泣き叫ぶ心の悲鳴は見てみぬふり。私の言葉に傷ついたような表情をしたコーカイ様は私の幻覚で、これは間違っていない選択。
どうか、あの子とお幸せに。
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本当の望みの声は心の奥に鍵をして涙も最後まで見せない。
私の望みはコーカイ様が私を忘れて愛する人と幸せになる未来。
(私を忘れないで)
これも鍵を
(いやだ、ひとりで死にたくない)
これにも鍵を
(コーカイ様が好き、大好き、愛してるの!)
これには大きく頑丈な鍵を。
溢れる想いに鍵だらけになっていく心。
「そんなに僕は嫌われていたの?」
「さようなら」
その問いに答えず去る私。もう心さえもが限界だった。そして身体もまた限界を越えてしまっていた。
その日、私は学園からもいなくなり屋敷の自室のベッドで眠りにつく。役目は終わったとばかりに。
それから婚約を解消された3日後に私はようやく死を迎えた。学園を卒業することすらできずに。
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前世編終了です。実はあまり感想なく読む人少なかったらタイトル変えてここで短編完結予定でした。完結ならもう少し終わり方変えてましたがね。
が、意外に好評?のようなので来世編も今から考えます(今日7月8日は前世編のみで更新終了です)
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