(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

2章悪役令嬢の転生先

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日に日に近づく学園の入学式。本来楽しみにするはずの私より父の方が楽しみな様子でご機嫌だ。私も楽しみにしたいがそれよりも不安が大きい。私のための特注制服はできるだけ日が当たらないよう春夏用にも薄手の長袖、帽子とフェイスカバー、サングラスの着用も認められた。

着たりしては見たが明らかに不審者で、学園生活が不安でしかない。

また、学園生活でひとりになるかもしれない………また？

「…………？」

またも何も私の学園生活は始まってもいないと言うのに私は何を？やっぱりあの夢で泣いた日から何かがおかしい。知らない何かが私の頭の中をぐるぐるとしているようなそんな感じ。

触れたいような触れたくないようななんとも言えないそれを私は無視し続けている。

無視しないと私が壊れてしまいそうで怖くて。なんて気分がだんだん落ちてきたところで部屋のドアがノックされた。

「ハニーいいかな？」

「………どうぞ」

落ち込んだ気持ちは心の奥へ追いやり、学園入学までにその呼び方なんとかならないものかと思いながら父の言葉に招き入れる言葉を返す。

父はその言葉と共に部屋に入ってきたものの相手はひとりじゃなく、もう一人私と同じくらいの少年が父の後ろから入ってきた。

「お茶を飲んでいたんだね」

「少し考え事をしてまして」

「考え事？」

「大したことではありません。それよりもそちらの方は？」

学園に行くのが不安だと言えばこの父はまた暴走することだろうから言う気はない。それにさっきからじっと不思議そうに私を見つめる少年が気になる。

やはりこの白い髪と赤い瞳は人として珍しいのかもしれない。自分だけが違う存在と見られているようでなんだか悲しくなる。顔には決して出したりはしないけれど。

「ああ、そうだった。この子はハニーと同じ年のダーリンと言う子だ」

「ダーリン………？」

「………本名です」

「えっと………ごめんなさいね？」

さっきまで私を見ていた視線が逸らされ、少年、いやダーリンが頬を赤く染めてムッとした表情になる。また父が私のように変な愛称をと思ったが、わざわざ聞き返してしまって悪いことをしただろうか。思わず謝ってしまった。

「なんだか運命を感じてね。拾ってきた」

「拾ってきた？」

どうしましょう。意味がわからない。拾ってきた少年を私に見せてどうしようと言うのか。というか拾ってきたってどこから？父のことだから誘拐では………ないはずだけれど。ないわよね？

「ダーリンを君の従者として学園に入学手続きをしてきたから仲良くね」

「え？」

「よろしく、お願いします」

何がどうなってそうなったのか理由を知らされることなく、ただ父が拾って私の従者となったダーリンは名前の名残かまだ頬に赤みを残しながら驚きで唖然とする私に礼をするのだった。