72 / 109
3章悪役令嬢とそれぞれの出会い
2~???視点~
しおりを挟む
「すみません!部屋を暗くしてベットを………!」
今日は入学式、騒がしい一日になりそうだと思えばそんな日から早々何かあったらしい。ひとりの少年が顔を隠した人物を抱き上げて保健室へと入ってくる。
幼い割に鍛えているのかなんて落ち着きを見せる私だが、どうしたものかと思う。何せその少年の後ろからはあの有名な双子の王子と姫が。何故この二人がと思うが、まずはぐったりと気を失っているだろう子を診るのが先だろう。
「ん?ハッピーニ嬢!」
白い髪にようやく気づいて先日診察したハッピーニ嬢だと理解した。顔をこれだけ隠している時点で気づくべきだったが、双子の存在に気をとられてしまった。こんなにもすぐ会えることになるとは。だがそれよりもと慌てて部屋を暗くし、ハッピーニ嬢を受け取ってベッドに寝かせては顔や頭に身に付けたものをとる。
ハッピーニ嬢が入学するのはわかっていたため、いつでも室内を暗くできるよう早くからカーテンを変えたり色々したかいがあったというものだ。
三人が何故ハッピーニ嬢を知って?と言う顔をするが、今問うべきではないと理解しているのだろう。診察を静かに待つ。
どうやら気を失っているだけのようだ。だけど、少しばかり涙の跡に気を失った原因はまさかと考える。あの日、ハッピーニ嬢はアイ・ハート嬢の生まれ変わりではと考えたが故に。
その原因は前世に関係することだろうと推測する。日に焼けたわけでも苦しそうな様子もなく、息も安定しているハッピーニ嬢が倒れることが不思議なくらいだ。
私はいつしか御披露目の時に見た周囲からは氷の双子と言われる王子の方の感じたそれが間違いではなかったと思って口をした。
「ツグナイ・スベーキ王子は前世を信じますか?」
あの時ハッピーニ嬢と同じ問いかけをすれば全く感情が動かないとされる王子とその隣の姫が目を見開く姿。ハッピーニ嬢を運んだ少年だけは首を傾げている。
なるほど、姫の方も誰かの生まれ変わりなのか。そう理解した瞬間だった。
「あの、よくわかりませんがお嬢様は………」
「大丈夫です。気を失っているだけですよ」
「そうですか………」
ほっとした様子の少年は聞いていた彼女の補佐役の従者だろう。いきなり仕える人が倒れればそれは心配する。何があってもアイ嬢………いや、ハッピーニ嬢を二度も寿命以外で死なせる気はないが。
「お名前を聞いても?」
そう言ったのツグナイ王子、恐らく前世で私の息子だと思う生まれ変わり。だからこそ私は姫に気づかず王子には気づいたのだと思っている。今は血ひとつ違うあくまで前世の息子だが。
私の友人にも会えば気づける自信はあるが残念ながらまだわからない。前世の友人の娘がここにいるというのに友人は何をしているというのか。
しかし、今はそんなことを思っていても仕方ない。
「私はハッケンと申します。家名はありませんが、代々医師を継いできた家系の生まれです。………前世ではお前の父だと認識している。久しぶりだな、コーカイ」
「ち………っ!?」
ぼそっと耳元で言えば驚きの声をあげそうになる今やひとりの王子に向けて、静かにと口許に指一本を立てる。慌ててツグナイ王子は口を手で塞ぐ。
どうやら私は間違っていなかったようだ。隣の姫様はわからないが、恐らく私にとってあまり思い入れのない前世の子なのかもしれない。
しかし、それはどうでもいい。今は元息子コーカイとの出会いに素直に喜ぶこととしよう。自分よりも地位の高い元息子というのも不思議なものだが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやく歯車が回り始めました。感想にもありましたが、ダリィを名前からコーカイと勘違いした方は何人いたのか。医師をコーカイ父と見破った人がいるのか、知りたいところです!
予想外の展開を書きたいですが、バレバレだったりしましたかね?姫様は恐らく予想されちゃう。姫様の存在は誰よりもパターンを考えました。
ダリィはコーカイと勘違いさせるダーリン詐欺師でした。ハッピーニという名を読者から提示された瞬間から思い付いた存在、それがそれまで存在すらなかったはずのダリィだという真相。
感想はやる気の源です!感想くださってる方々本当にありがとうございます!2話の人物はまだ正体を表してはいませんが、わかる人いたらすごいと思います。ヒントはアイと呼び捨てられる人物。たくさん考えてください!
by今日は大丈夫なはずの作者
今日は入学式、騒がしい一日になりそうだと思えばそんな日から早々何かあったらしい。ひとりの少年が顔を隠した人物を抱き上げて保健室へと入ってくる。
幼い割に鍛えているのかなんて落ち着きを見せる私だが、どうしたものかと思う。何せその少年の後ろからはあの有名な双子の王子と姫が。何故この二人がと思うが、まずはぐったりと気を失っているだろう子を診るのが先だろう。
「ん?ハッピーニ嬢!」
白い髪にようやく気づいて先日診察したハッピーニ嬢だと理解した。顔をこれだけ隠している時点で気づくべきだったが、双子の存在に気をとられてしまった。こんなにもすぐ会えることになるとは。だがそれよりもと慌てて部屋を暗くし、ハッピーニ嬢を受け取ってベッドに寝かせては顔や頭に身に付けたものをとる。
ハッピーニ嬢が入学するのはわかっていたため、いつでも室内を暗くできるよう早くからカーテンを変えたり色々したかいがあったというものだ。
三人が何故ハッピーニ嬢を知って?と言う顔をするが、今問うべきではないと理解しているのだろう。診察を静かに待つ。
どうやら気を失っているだけのようだ。だけど、少しばかり涙の跡に気を失った原因はまさかと考える。あの日、ハッピーニ嬢はアイ・ハート嬢の生まれ変わりではと考えたが故に。
その原因は前世に関係することだろうと推測する。日に焼けたわけでも苦しそうな様子もなく、息も安定しているハッピーニ嬢が倒れることが不思議なくらいだ。
私はいつしか御披露目の時に見た周囲からは氷の双子と言われる王子の方の感じたそれが間違いではなかったと思って口をした。
「ツグナイ・スベーキ王子は前世を信じますか?」
あの時ハッピーニ嬢と同じ問いかけをすれば全く感情が動かないとされる王子とその隣の姫が目を見開く姿。ハッピーニ嬢を運んだ少年だけは首を傾げている。
なるほど、姫の方も誰かの生まれ変わりなのか。そう理解した瞬間だった。
「あの、よくわかりませんがお嬢様は………」
「大丈夫です。気を失っているだけですよ」
「そうですか………」
ほっとした様子の少年は聞いていた彼女の補佐役の従者だろう。いきなり仕える人が倒れればそれは心配する。何があってもアイ嬢………いや、ハッピーニ嬢を二度も寿命以外で死なせる気はないが。
「お名前を聞いても?」
そう言ったのツグナイ王子、恐らく前世で私の息子だと思う生まれ変わり。だからこそ私は姫に気づかず王子には気づいたのだと思っている。今は血ひとつ違うあくまで前世の息子だが。
私の友人にも会えば気づける自信はあるが残念ながらまだわからない。前世の友人の娘がここにいるというのに友人は何をしているというのか。
しかし、今はそんなことを思っていても仕方ない。
「私はハッケンと申します。家名はありませんが、代々医師を継いできた家系の生まれです。………前世ではお前の父だと認識している。久しぶりだな、コーカイ」
「ち………っ!?」
ぼそっと耳元で言えば驚きの声をあげそうになる今やひとりの王子に向けて、静かにと口許に指一本を立てる。慌ててツグナイ王子は口を手で塞ぐ。
どうやら私は間違っていなかったようだ。隣の姫様はわからないが、恐らく私にとってあまり思い入れのない前世の子なのかもしれない。
しかし、それはどうでもいい。今は元息子コーカイとの出会いに素直に喜ぶこととしよう。自分よりも地位の高い元息子というのも不思議なものだが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやく歯車が回り始めました。感想にもありましたが、ダリィを名前からコーカイと勘違いした方は何人いたのか。医師をコーカイ父と見破った人がいるのか、知りたいところです!
予想外の展開を書きたいですが、バレバレだったりしましたかね?姫様は恐らく予想されちゃう。姫様の存在は誰よりもパターンを考えました。
ダリィはコーカイと勘違いさせるダーリン詐欺師でした。ハッピーニという名を読者から提示された瞬間から思い付いた存在、それがそれまで存在すらなかったはずのダリィだという真相。
感想はやる気の源です!感想くださってる方々本当にありがとうございます!2話の人物はまだ正体を表してはいませんが、わかる人いたらすごいと思います。ヒントはアイと呼び捨てられる人物。たくさん考えてください!
by今日は大丈夫なはずの作者
0
あなたにおすすめの小説
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる