(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

2章(真面目版･名前変更に伴い話修正もあり)悪役令嬢の転生先

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「異常はありません」

「本当か？何かあったら………」

「お父様、大丈夫だからやめてください」

あれから呼ばれた医師によって診察をされたが異常はなかった。だから言ったのにとは思わなくもなかったけれど、私を心配してのことだから強くは責められない。その気持ちは確かに嬉しいのだから。

「リアがそう言うならば………」

「お父様？私はレヴェリーですよ？」

自然と訂正するように言った名前にはっとすれば、父が首を傾げて私を見る。

「レヴェリー？」

「あ、ちが、リア、メモーリアです」

何故自分の名前を間違ったのか、慌てて訂正すれば父の表情が険しくなった。ありえない間違いにきっと心配させてしまったに違いない。

「やっぱり何か様子がおかしい……。もう少し診てくれ」

ああ、もうなんで私は自分の名前を言い間違えたのか。医師の表情も険しくなった。たかが名前を間違えたそれだけだというのに。

「お父様、本当に私は………」

「そうですね。メモーリア嬢、ご面倒かけますがもう一度診察を」

「はい………」

面倒だけど仕方ないと諦めることにした。だが、当然診察をしても結果が変わるはずもなく熱があるわけでもない。

何度しても同じ結果と理解したのか父はそわそわしながらも結果に一応納得はしたようだ。というより、納得する他ない。

医師は医師でどこか考えるような仕草が見受けられたが別に私の身体に異常はないと言う以外に言葉はなかった。だが、帰り際医師から変な質問をされた。

「メモーリア嬢は前世を信じますか？」

「え？」

「………いえ、なんでもありません」

そう言って質問の答えを聞くこともなく医師は去った。父と二人顔を合わせて首を傾げたものの医師の問いかけの意味がわかるはずもない。

ただ前世という言葉に私は引っ掛かりを覚えた。引っ掛かりを覚えただけで何かがあるわけじゃないけれど。頭にもやがかかったようなそんな不思議な感覚。

「リア、また何か痛むとこや気分が悪いところがあるならすぐに言いなさい」

「だから………はぁ、わかりました」

大丈夫と言っても無駄だろうともう諦めた。

「そうだ！大事なことを忘れていた！学園に着ていく服だが、問い合わせたところリアは特注することを許されてな。ようやく完成品が届いたんだ」

「そうなんですね、それは楽しみですわ」

「学園の入学式は私も仕事を放って何がなんでも行こう！だが、サランは………」

サラン･シンフーは私の母。今は妊婦で安静にするよう言われている。だからこそこの場にいるのが父だけなのだ。

「妊婦を無理させるわけにはいきませんでしょう？」

「すまない」

当然の返答を言えば申し訳なさそうにする父。別に構わないというのに。

「でも仕事はちゃんと終わらせて来てください」

「うぐ………っ努力しよう」

父のその様子に思わずくすくすと笑ってしまいながらも学園のことに話が逸れて、医師の不思議な問いについて私はすっかり忘れてしまい前世への引っ掛かりも頭の隅へ追いやってしまったのだった。