(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

4章(真面目版)悪役令嬢の知らない想いと記憶～アムール(ロイエ)編～

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あの眠りについた日から毎日見るようになったのはレヴェリーが死ぬ夢。学園を卒業して結婚もして一緒に暮らしていく日々を想像していたが、それはレヴェリーの余命によって壊されていく。

レヴェリーを好きになることが怖くなった。

好きになればなるほどレヴェリーを失えば僕はおかしくなってしまいそうで、今更ながら侯爵が僕にレヴェリーを遠ざけようとした意味を理解した。覚悟もなしにレヴェリーに近づけばそれだけショックは大きいだろうし、僕は生涯それを背負って生きることになるだろう。

枯れる花にすら涙する優しいレヴェリーが好きだ。

楽しそうに笑うレヴェリーが好きだ。

僕に会う時嬉しそうにする彼女を誰よりも愛している。

「く、そ…………っ！」

思い出の数だけ愛しさがあり、情けないことに涙を流すことしかできない僕はレヴェリーのために何の力にもなってやれない。

レヴェリーがあの日表情がなかったのは短くなっていく余命に生きることを諦めたんじゃ？そう思えてしまう。未来がある僕に彼女の気持ちをわかってあげることはできない。

生きることを諦めないでほしいなんて簡単に言える。そう簡単に言えるだけだ。

諦めないからと言って希望があるわけでもないそれはレヴェリーを追い詰めることでしかない。僕に言わないのはそれがわかってるからじゃないのか。

でもそれでもレヴェリー自ら僕にすがりついてほしいなんて烏滸がましいだろうか？

『生きたい………っ！』

そうレヴェリーが僕に泣きながらでも言ってくれるのならば僕は人生をだめにしてでも彼女のためだけに生きる人生を決意できる。

だが、現実は………彼女は僕になんでもないと言った。大事なことを言わずしてなんでもないと。

レヴェリーにとって僕はそれだけの存在でしかないのかもしれないとも思う。

言いたいけど言えない。僕は君の生きる理由にはならないのか？って。

「レヴェリー…………」

ああ、今僕は最低な考えをしている。きっとこれはレヴェリーを傷つけてしまう最低で最悪な行為。そんなことしてはだめだ。レヴェリーに聞いてしまったことを話して二人で短いかもしれない時間だけでも幸せになればいい。

ああ、でも拒絶されたら？絶対何かあるのになんでもないと言われたあの日を思い出す。

隠していたのは余命のこと。何かあったどころではない。レヴェリーが僕をどう想っているのかわからなくなった。

もっと他にできたことはあったはずだ。あったはずだというのに僕はレヴェリーを傷つける選択をしてしまった。レヴェリーの余命に怯えて、レヴェリーの拒絶に恐怖して…………結果残ったのは二人の女の子を傷つけ、最愛の婚約者だった子をひとりで死なせるという最悪の結果だった。