(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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4章(真面目版)悪役令嬢の知らない想いと記憶~アムール(ロイエ)編~

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「ティア、悪いのは君じゃない。僕だ」

「! そんな、ロイエ様は何も」

「知っていたんだ。レヴェリーのこと」

そうはっきり告白するとティアだけでなく親たちも動揺を見せる。何故、いつからというばかりに。この人たちは最後まで隠し通すつもりだったのだろうか。最後僕が立ち会ったことをどう思っていたのだろう。

最後の最後で僕をレヴェリーに会わせてくれたのは今更知らぬままに死なせることに何か感じることがあったのか、壊れたレヴェリーを見て何か考えが変わったのかわからない。

でも最初から知っていれば僕はレヴェリーを裏切ることがなかったかと言えばそうじゃない。実際逃げたのは事実。親たちには僕の弱さが見抜かれていたのかもしれない。

一番最初に動揺した様子から立ち直ったのはティアですぐ涙にうるむ目で僕を睨み付け、ぱしんとティアの手が僕の頬を叩いた。

「レヴェリー様がどれだけ苦しんでいたかおわかりですか!?」

「わからないよ、レヴェリーは僕に弱味を見せようとはしなかったから」

ティアの前ではレヴェリーは弱味を見せたのだろうか。苦しんでいたときなど僕は最後の三日間しか見ていない。

「甘えないでください!レヴェリー様が見せようとしなかったから?ならば思わず弱味を見せてしまうくらい傍に寄り添って支えてあげればよかったでしょう?弱味を見せない………それは強がっているだけでレヴェリー様は心配をかけたくないという思いやりに他なりません。強がっているほどに、強がらないといけないくらい辛いと何故わからないのですか?私が言えたことではないのはわかっています。だけどロイエ様貴方は最低です!」

「……………」

黙ることしかできないのは正にティアが言う通りであるから。

「ティア嬢といったか。ロイエがいつから知っていたのかは知らないが私たちがロイエに隠してきたことに一番の責任がある。悪いのは大人である私たちだ」

父がティアを咎めることなく、ただ僕を庇うために口を出せばティアが見たこともない冷たい目を見せる。

「それでもロイエ様が知っていたことは事実です。私は先程自分を責めましたが、ロイエ様がレヴェリー様のことを知っていたことを聞いて動揺と共に頭が冷えたようです。レヴェリー様は死ぬ間際までここにいる誰ひとりその瞳に映すことはありませんでした。それは全てを拒絶するほどに自分を想ってくれる人がいないと思っていたからでは?今思えばレヴェリー様が自分を大切にしようとなさらないのは自分の価値を低く見ていたからだと思います。貴方たちはレヴェリー様にどう接していたのですか?」

身分差に怖がることなく僕から視線を逸らして親たちを睨みつけるティアは確信しているかのように言う。たじろぐ大人たち。

僕の知らないところでティアはレヴェリーの苦しむ姿を見ていたのかもしれない。自分を責めたティアは他が逃げることなど許さないとばかりに親たちの答えを待つ姿は誰よりも勇ましかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ティアの方がロイエよりヒーロー感漂う不思議………。

by作者
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