(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

文字の大きさ
48 / 109
5章(真面目版)悪役令嬢の記憶の鍵

4~タナカ視点~

しおりを挟む
僕は拾われた。そうお嬢様には伝えているが実際は違う。これは僕と旦那様と奥方様との秘密。

僕らは出会う運命だったと思っている。

僕はお嬢様に仕えてからいつもお嬢様が寝静まった頃に旦那様の書斎へと赴く。

「失礼します」

「毎日すまないな」

「いえ、これも僕のお役目ですから」

「本来ならタナカをリアの婚約者にしたいところだが………」

「それはだめですよ。メモーリアの意思を大切にすべきです。今の僕は彼女の傍にいられるだけでも嬉しくて仕方がありませんしね」

これは本音だ。もちろん互いに同じ気持ちになり、婚約者となって将来結婚をして彼女を妻とできるならそれ以上の幸せはないけれど。

今のメモーリアに。だからこそ自分の意思で今の人生を歩めるように今の記憶だけで思い出を、今を作っていってほしいと願う。それは旦那様も奥方様も同じ。

「きっとメモーリアは君を選ぶよ」

「そうだと嬉しいですね。だけど、僕にはわからない前世の記憶を持つ人物がいます。大体予想はつきますが、そうなるとあの中にロイエという人物も………」

メモーリアの心をどこまでも縛る人物。またメモーリアを苦しめる気だろうかと一番警戒すべき人物。

「いる可能性はあるだろう。前世記憶がありそうな人物はフェイト医師、双子の王子と姫、学園の生徒会長、インコ………だったか」

「保健室で話を聞いていた限りでは。彼らは僕は何も関係ないと思っているでしょうね。まあ、知るはずもありませんが」

あのフェイトという医師はまるで確認をするように前世という言葉を出した。後はその言葉に対してあの双子の様子を見れば確信に至り、さらに後に来た生徒会長は自ら母と、インコもまた父だと話していたのを眠るハッピーニを見守りながら聞いていた。

『思い出してほしいと思わないのは私の我が儘でしょうかね』

そんな生徒会長である彼の言葉には殺意を抱いた。あれを思い出せと言うのかと。

それについての報告も旦那様にしてある。あの優しい旦那様も珍しく怒りを顔に浮かべていた。

『新たなる人生の幸せすら願えないのか、リアを苦しめてきたものたちは』

前世など本来思い出すものでもなんでもない。何故新たな人生で関わろうとし、辛い記憶を呼び戻そうとするのか理解できなかった。

思い出すことでどれだけメモーリアが苦しむか、原因を作った本人たちにはわからないのだろうか。

「何はともあれ、わかっている私たちだけでリアの心を守ろう。信用できるのは君と妻だけだからね。何せ君はリアの元婚約者として死ぬまでリアを支え続けた。最後リアが自分を取り戻せたのは君のお陰だ。もう一度リアの親になれたのも、君に出会えたのもこれは決して偶然ではないだろう」

「私もそう思います。メモーリアの幸せは誰にも邪魔などさせません」

例えメモーリアが別の誰かを好きになろうとそれがメモーリアの幸せならば僕は僕の気持ちすら押し殺してメモーリアの幸せを優先する。

だからこそ、それを壊そうとする人物は誰であろうと許さない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

着々とタイトル回収しております。

何となく読めてきましたか?

by作者
しおりを挟む
感想 225

あなたにおすすめの小説

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

処理中です...