47 / 109
5章(真面目版)悪役令嬢の記憶の鍵
3
しおりを挟む
どうにもおかしい………そんなことを思うのはあれから数日フェイト先生ではなく家では別の医師が担当することになったこと。
学園内では仕方ないにしてもフェイト先生とタナカは雰囲気の悪さが半端じゃなく、それはフェイト先生でなく双子の王族や生徒会長に対してもだった。
「あなた方はお嬢様の負担となります。学園ではあまり近づかないでください。あなた方と仲良くしたい方は多いようですから。生徒会長、あなたもです。人望があることを悪いとは言えませんが時にそれは害悪さえ生みますから」
「………っ」
「そう、ですね。危険に晒したいわけではありませんし………」
「ならせめてインコだけでもメモーリア嬢のお側につけてはだめですか?賢いインコですのでお役に立つと………」
王子は何も言えないとばかりに唇を噛み締め、お姫様は残念そうに眉を下げたが、生徒会長だけは諦め悪くインコを私の方に差し出す。タナカが前に立って阻止されたけれど。
「お嬢様の傍には常に私がいますのでインコは必要ありません。保健室の先生がインコを欲しがるような欲の目で見ていたようですし、他人に差し上げられるものならフェイト先生とやらにあげては?」
今有名人三人のせいで注目の的。しかし、タナカのおかげで目立つだろう私が少しだけ霞む気がした。私だけでこの三人を相手するならば参っていただろう。
私は伯爵令嬢として失格かもしれないけれど人と関わることが苦手だから。
「フェイトセンセイハチョット………」
タナカの言葉に反応したのは生徒会長が差し出す手に乗ったトリニー。正直フルネームは覚えてない。言葉を理解しているインコとは確かに生徒会長が言うように賢いのだろう。
この賢いインコに遠慮されるフェイト先生は何なのだろう?タナカにも嫌われているし、私の知らないところでフェイト先生に何か秘密でもあるのだろうかと疑ってしまいそうだ。
「これ以上注目されてはたまりません。何よりお嬢様の体に障るかもしれませんから二度と話しかけないでください」
そんな思考ばかりしていればタナカの厳しい言葉。いくら身分は関係ないという学園とはいえ、王族相手にすら怯えず意見を言うタナカの強さは一体どこから来るのか。それでも私の身体を思ってやってくれているのだろうタナカを叱ろうなんて思えない。
『タナカは素晴らしい拾いものだ!必ずリアの盾となる。相手が誰だろうとね』
父が母と入れ替わるようにして私の様子を見に来たときに言った言葉がふと頭を過る。母もタナカを信用しているように思えた。今更だけどタナカは何者なのだろう?
そう考えている間に、何か言おうとする三人を無視してタナカが私を手招くように手を引っ張ってその場から連れ出してくれる。
そんなタナカの背中を見たらタナカが何者でもいいような気がした。タナカはどこまでも私の味方でいてくれる、そんな感じがしたから。
何の味方かって言われれば困ってしまうけれど、タナカの傍はとても安心できる。まだそう月日は経ってないはずなのに、タナカは大丈夫だと思う自分がいた。
学園内では仕方ないにしてもフェイト先生とタナカは雰囲気の悪さが半端じゃなく、それはフェイト先生でなく双子の王族や生徒会長に対してもだった。
「あなた方はお嬢様の負担となります。学園ではあまり近づかないでください。あなた方と仲良くしたい方は多いようですから。生徒会長、あなたもです。人望があることを悪いとは言えませんが時にそれは害悪さえ生みますから」
「………っ」
「そう、ですね。危険に晒したいわけではありませんし………」
「ならせめてインコだけでもメモーリア嬢のお側につけてはだめですか?賢いインコですのでお役に立つと………」
王子は何も言えないとばかりに唇を噛み締め、お姫様は残念そうに眉を下げたが、生徒会長だけは諦め悪くインコを私の方に差し出す。タナカが前に立って阻止されたけれど。
「お嬢様の傍には常に私がいますのでインコは必要ありません。保健室の先生がインコを欲しがるような欲の目で見ていたようですし、他人に差し上げられるものならフェイト先生とやらにあげては?」
今有名人三人のせいで注目の的。しかし、タナカのおかげで目立つだろう私が少しだけ霞む気がした。私だけでこの三人を相手するならば参っていただろう。
私は伯爵令嬢として失格かもしれないけれど人と関わることが苦手だから。
「フェイトセンセイハチョット………」
タナカの言葉に反応したのは生徒会長が差し出す手に乗ったトリニー。正直フルネームは覚えてない。言葉を理解しているインコとは確かに生徒会長が言うように賢いのだろう。
この賢いインコに遠慮されるフェイト先生は何なのだろう?タナカにも嫌われているし、私の知らないところでフェイト先生に何か秘密でもあるのだろうかと疑ってしまいそうだ。
「これ以上注目されてはたまりません。何よりお嬢様の体に障るかもしれませんから二度と話しかけないでください」
そんな思考ばかりしていればタナカの厳しい言葉。いくら身分は関係ないという学園とはいえ、王族相手にすら怯えず意見を言うタナカの強さは一体どこから来るのか。それでも私の身体を思ってやってくれているのだろうタナカを叱ろうなんて思えない。
『タナカは素晴らしい拾いものだ!必ずリアの盾となる。相手が誰だろうとね』
父が母と入れ替わるようにして私の様子を見に来たときに言った言葉がふと頭を過る。母もタナカを信用しているように思えた。今更だけどタナカは何者なのだろう?
そう考えている間に、何か言おうとする三人を無視してタナカが私を手招くように手を引っ張ってその場から連れ出してくれる。
そんなタナカの背中を見たらタナカが何者でもいいような気がした。タナカはどこまでも私の味方でいてくれる、そんな感じがしたから。
何の味方かって言われれば困ってしまうけれど、タナカの傍はとても安心できる。まだそう月日は経ってないはずなのに、タナカは大丈夫だと思う自分がいた。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる