(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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5章(真面目版)悪役令嬢の記憶の鍵

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何故私は聞いてしまったのだろう?

気がついた時には意識が途絶えていた。










意識を失う少し前、タナカに用だと訪ねて来た双子の王子様とお姫様。父も母も同席すると聞いてなんだか仲間外れにされてるようで嫌だなと思い私もと言ったが、タナカも父も母も部屋で待つように言われたため同席は叶わなかった。

使用人は見張りとばかりに置かれ………まあ、私のためであるのはわかっているけど。それでも私の従者であるタナカのことなのに何故私はだめなのだろうと拗ねる仕草をとる。なんとかせめて部屋から抜け出せないかと考えながら。

「ねぇ、庭で散歩したいわ」

「タナカが戻り次第そのように」

「今がいいのだけど………」

「旦那様の言いつけを破るおつもりで?」

しかし、中々やり手の使用人。言うと思いましたとばかりににこやかな返しだ。

「破ってでも聞かないといけない気がするのよ………」

「お嬢様………?」

拗ねた仕草をしたところで使用人が仕方ないなぁとなる様子もない。どう抜け道を探したところで無理な気がして早々に諦めて素直な気持ちを伝える。

あの集まりは私を遠ざける辺り私に関すること。何よりタナカが私をあの双子から遠ざけようとしたことからタナカが指名されたのだから簡単にわかる話。

でもそれに父も母も参加することがどうにも引っ掛かった。最初からそう決めていた様子に。

それからなんで私だけと思いながらも何か大事なことを忘れているような、でも知りたくないものも知ってしまうような恐怖が私の心の中を渦巻いている。

「私は………」

「お嬢様?」

座っていたベッドから降りてふらふらとカーテンがかかった窓へ近づいてカーテンをばっと開ければ眩しい日差しに顔ごと手で隠す。

「お嬢様!何を!」

慌てたように使用人がこちらに向かいカーテンを閉めようとするのが眩しさで少ししか開けない目で確認し、不安定な視界の中で走り出す。

「お嬢様!」

「「お嬢様!?」」

ドアを開け、驚くドア前にいた兵士たちも無視して走る。慌てたように追いかけてくる大人たち。体力のない私は既に息を切らしつつある。

そして目指すはタナカたちがいるだろう客間。なんとかあちこち隠れながらも距離はとったもののすぐ突き止められて捕まるだろうことを予測しながらタナカたちがいる部屋の隣部屋になんとか侵入して聞き耳を立てる。

途切れ途切れで話の内容がわかりづらかったが、王子様の驚く声だけははっきりと聞こえた。

「レヴェリーが三度目の人生を歩んでいるだと!」

レヴェリー………三度目…………何のこと?そう普通なら思っただろう。なのに私は知っている。

それを、知っている。引っ掛かっていたものが今思い出すときだとばかりに頭を駆け巡る。

「あぁああぁぁぁっ!」

キーワードは揃ったとばかりに記憶の鍵が開けられたその情報はあまりに多く、叫び声と共に私の意識は…………。
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