(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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6章もうひとつの悪役令嬢~ダーリン・ハッピーニ編~

7~ダーリン視点~

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ハッピーニの病気が発見された時、死の予告をされて呆然とするハッピーニに僕は何もしてやれなかった。そして、はっとしたかと思うと誰もかもを部屋から追い出して泣き叫ぶ声。

「くそ……っ」

どうしようもできない自分に悔しさばかりが募る。それは僕だけじゃなく、ハッピーニの幸せを願う人々も。その日ハッピーニを大切に想う人たちはただ扉の前でハッピーニの苦しむ叫びを聞いてやることしかできなかった。

だけど決して諦めたわけじゃない。大丈夫だと、必ず助かる術をさがすとか慰めにもならない無責任な言葉を向けたくはなかっただけで必ず死の病を治せる医者を探してやるとハッピーニといる時間をハッピーニの両親と交互に代わりつつ互いの権威を持って探した。

僕は情けないことに父に頼らざる終えなかったけれど王家の次に確かな権威なら探せるんじゃないかと思ったがために頼み込んだ。身勝手なのはわかっていたが、ハッピーニがこの世界で生きていくためならハッピーニを諦めて公爵を継いで他の人と結婚してもいい決意だってした。

だけど父は公爵としてでなく、僕の親としての立場をとってくれた。

「本当に心から愛せる人物と会えるのは世界に何人いるかわからない。お前にとってそれはハッピーニ嬢だったのだろう。それを捨てる気か?公爵なぞお前より優秀な養子にくれてやると当の昔に決めた。勝手に決意してくれるな。医者くらい仕事の片手間にもならん」

「ありがとうございます……っ!父上!」

「男が簡単に泣くな、情けない」

ふんっとばかりに威張る父が厳つい表情が優しくなるところは見たことがない。それでも顔に似合わず実は家族想いであることをこの家の人たちは皆知っている。だからこそ父の子であるのは誇りだった。でもこの時ほどこの人が父でよかったと思った日はなかったかもしれない。

数日後、今後その病が王家にも及べば大変だから治療法は取得しとくべきだと頼んでおいたと父から手紙があった。まさかそこまでしてもらえるとは思わずすぐお礼の手紙を送った。礼はハッピーニの病が完治してから言えとすぐに返事が返ってきたが。

そうこうしてる日突然ハッピーニに異変があった。僕が傍にいるときに。

「久しぶり、ダリィ」

毎日、昨日だって会っているはずのハッピーニが……死の病を告げられてから一言も話さなくなったハッピーニが、今僕に向け話し、久しぶりといった言葉に少し混乱した。

ふんわりと笑うハッピーニは記憶を失う前のハッピーニのようで……いや、あの時のハッピーニそのもので自分を落ち着かせてようやく理解する。

「おかえり、ハピー」

「ただいま、ダリィ」

返ってきた言葉に自分の勝手な理解で正解だったのだとわかる。ハッピーニが命の危機に晒されて久しぶりに僕は笑った気がした。
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