(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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6章もうひとつの悪役令嬢~ダーリン・ハッピーニ編~

8~ダーリン視点~

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「まずはダリィ、私を愛し続けてくれてありがとう」

ああ、僕の知っているハッピーニだ……と泣きそうになるもぐっと泣くのを堪える。どんな時も好きな人に情けない姿を見せたいとは思わないから。

「お礼なんていらないよ。僕が君を諦めきれなかっただけだから……」

「そんな貴方がいたから私ももう一度ハッピーニとして出てこられたわ」

「出てこられた……」

記憶を思い出したではなく、出てこられたという言葉に思い付くのはアイと言う名前。ハッピーニは二重人格か何か精神的な病も持ち合わせているのだろうかと考える。

「ダリィ、私今から変な話をするわ。信じられない話かもしれない。信じなくてもいいからお願いがあるの」

そう言うハッピーニの瞳は真剣でありながらどこか不安そうだった。

「信じるよ、どんな話でも。誰が信じなくても僕は君を信じる」

考える必要もない返しの言葉。だけどそれは本心で決して嘘じゃない。それこそハッピーニが信じてくれるかはわからないけれど。

「ありがとう……」

ほっとした様子のハッピーニを見てハッピーニも信じるといった僕を信じてくれているのだと嬉しくなる。今までハッピーニの傍に居続けたことが報われたような気さえした。

それからハッピーニが語ったことはアイという人物の話。ハッピーニがハッピーニでなくなった時に何度と言われたアイと言う名。それはハッピーニの前世の人物の名であり、そのアイが歩んだ人生はとてもじゃないが許しがたい話だった。

「それがハピーの前世なの?」

「ええ、アイを通じて前世の私だって変な感覚なんだけどわかるの。でも意識はどちらも違うけれどお互いの考えはわかるみたいで……だからこの話をしたことアイにも伝わると思う。今は感情が荒ぶってて気がついてないけどアイがずっと私に謝るの。私のせいでごめんなさいって……」

「ハピー……」

「アイがね、そのまま消えそうなの……っ助けてほしいと叫びたいくらいに辛いのにそれが言えないくらいの罪悪感が邪魔してて、不安と孤独の恐怖に押し潰されそうで……なんて言っていいかわからないけど、こんなの狡いかもしれないけど私を好きでいてくれるなら前世のアイも幸せにしてほしいの。あんな想いを抱えたままアイに消えてほしくない……っ」

悲痛な表情をするハッピーニ。そんな懇願するかのように頼まなくても僕の答えは決まっているのに。

「アイも君だと言うなら僕は君に願われなくとも愛すし、幸せにするよ」

したいなんて希望でしかない言葉は使わない。必ずハッピーニの病は治すし、アイ共々愛しつくして最後の時まで世界中の誰よりも幸せにするんだ。

「……っ声に出てます、ダリィ」

「え?あ、わ、わざとだよ!決意するためにね!」

「そ、そう」

……くそ、格好がつかないなぁ、もう。

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