(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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7章もうひとりの悪役令嬢と~ダーリン編2~

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「それでアイ……いや、ハッピーニ嬢はどうなったんだ……?」

ハッピーニの前世の途中までの話を真剣に聞く二人。きっと今意識を失っているハッピーニは記憶を取り戻しつつあるかもしれない。

急に物音がしたときはまさかとは思ったけれどハッピーニが気にして扉の外にいたのも仕方ないだろう。記憶が甦った様子はなかったけれど、それでも何かを感じていた雰囲気はあったのだから。

でもそれでも記憶を取り戻せば……まだ前世ならいい。だけど、辛い記憶だけしか思い出さない可能性すらある。それを危惧してハッピーニが気にしようと聞かせないつもりだった。そのために見張りをつけたが、無駄に終わった。

今はハッピーニが中途半端な記憶を取り戻しておかしくならないことを祈るしかない。身体に異常はないようなので今は信じる信じないはともかく僕の前世の話をしている最中だ。

まあこの目の前の人物たちはアイの記憶があるだけに前世の話を信じるだろうが。

そうに関しては。

「見つけましたよ……治療方法は」

「助かったのか?」

「……治療方法は見つかりました。見つかりましたが、助かる確率は半分。まだ完全に治すには医学の進歩が足りませんでした」

「まさか」

「その前にお聞きします。もうひとりの自分であり、そうではない存在がいると言えば信じますか?王子様」

「どういう意味だろうか?」

信じられない話かもしれない。僕も最初は混乱した。だけどこれは事実で僕が導いた答えであり、だからこそ目の前の存在が許せない。

それが例えとそうわかってはいても。もうひとりの自分と理解しているからこそ、目の前のアイのことを見捨てたコーカイだった存在を今このとき殴るだけでは気が済まないほどに許せない。

「これから話すことを信じようが信じまいが構いません。ただひとつ聞かせてください。は本当にアイの病気を知らなかったんですか?」

「それ、は……」

やはり、と思う。気づかないはずはない。気づかない方がおかしいのだから。それが愛する人なら尚更に。

このコーカイだった人物はアイの病気を知りながらアイを見捨てた。ただそれをアイが気づかなかっただけで。いや、気づかれたくなかったがためにそう自分の都合のいいように思い込んでいるだけかもしれないけれど。

「例え私ののアイだったとしても、私はアイという存在を幸せにする術を怠ったコーカイ自分がいたという事実が許せません。だからこそお前をハピーに近づけさせたくないんだ」

「何を言って……」

怒りを、憎しみを、殺意を込めた目で見てやればたじろぐ王子。先程から黙り込んでいる姫もまた青ざめた様子だ。

いくら殺したいくらいの相手でも話くらいはしてやる。それを聞いてどうするか、それ次第で僕は過ちを犯してもおかしくはないだろう。それほどに僕はもうひとりの僕に前世から許せない想いを抱いてきた、前世あの日からずっと。
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