悪役令嬢の義弟となるはずだった子は断罪の場でとんでもないことを言い出した

荷居人(にいと)

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悪役令嬢編ー完結ー

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「しょーいえばね、おにいしゃまが……」

「な、なんだ!?何もしてない!してないからな!」

立場逆転というべきか、王太子殿下はリバース殿下がまたしても話し始めればもうやめてくれ!とばかりに何も言っていないのに否定する。

「怪しいですわ………」

「一体これ以上幼い殿下に何を………」

しかし、それにより、より一層軽蔑の眼差しが強くなる。リバース殿下が味方であることがここまで心強いとは。御愁傷様です、殿下。もう私は断罪されない気がしてきて余裕が出てきていた。

だからといって王太子殿下とヒロインを庇う気はない。やってないのにやったと罪を着せようと最初にしてきたのはそちらなのだから、その気持ちをしっかり味わえばいいんだ。と思えるくらいには怒りすら抱けるぐらいには未来への絶望は断ちきれている。

「何の騒ぎだ」

「ち、父上………」

そんな時その場を制すような声で現れたのはこの国の頂点である国王陛下。本来なら悪役令嬢の罪を王太子殿下が伝え、断罪を決定的にするために出てくる人物だが………。

「おとうしゃま!たすけてくだしゃい!ぼく、おにいしゃまにいつもここいっぱいさわりゃれてきもちわるいの!」

「な………っ」

「やややややってない!そんな趣味はない!!!父上!違うのです!」

どうやら断罪されそうなのは王太子殿下な気がする。リバース殿下がここと指した部分はリバース殿下の股の間の男性にとって大事な部分………まあ察してほしい。とんでもないことを言い出した弟にもはやうっすら涙すら浮かべている王太子殿下。もう必死である。こんな大勢の前で軽蔑の眼差しを向けられれば真実でなくとも冷静ではいられないだろう。

「リバーが嘘を吐くとでも?何故、今まで言わなかったんだい?リバー」

リバーとはリバース殿下のこと。陛下は高齢出産で生まれた末っ子であるリバース殿下をそれはそれは大事にしており、可愛がっているのは有名なこと。前世の乙女ゲームではそんな話はなかったが、まあリバース殿下が甘え上手なのもあるためなるべくしてなったとも言える。

それを王太子殿下も理解しているのだろう。顔色が真っ青を通り越して真っ白だ。ヒロインもまたこの状況がまずいと感じているのか血の気が引いているとばかりに顔色がよくない。

「おにいしゃまがいうなって……いったらおねえしゃまにひどいことしゅるっていうから……がまんしてたの」

「おお!なんてことを!気づいてやれなくてすまない!」

「でもね、でもね、がまんしてたのに、おねえしゃまをね、おにいしゃまがいじめようとするからぼくがんばっていったの!えらい?」

「アマリア嬢を助けるために………よくがんばったな。えらいぞ!」

「さすがはリバース殿下!」

「紳士の鏡です!」

ぱちぱちぱちとリバース殿下に向けて周りからの拍手。完全に周囲すらもリバース殿下の味方であるし、リバース殿下の嘘を信じきっているようだ。前世、可愛いは正義なんて言葉があったがこういうことなんだなと今ならわかる。

「本当に、違うんだ……そ、それに証拠も………」

「変態殿下は黙ってください!」

思わずどこぞの令息の言葉に吹きそうになった。変態殿下………いいあだ名だと思います。はい。

「なっ!誰だ!今私を侮辱したのは……」

「侮辱も何も事実でしょう?4歳の子供に証拠を出せなんてバカなんですか?証拠もなしにアマリア嬢がそこの変態娼婦をいじめたと言って婚約破棄を叫ぶくらいですからバカでしたね。これはこれはわかりきったことを失礼いたしましたわ」

もちろん怒りを露にした殿下に立ちふさがったのはご令嬢。確か侯爵家で曲がったことはお嫌いのハキハキ侯爵の次女だったはず。思わずもっと言ってやれってなりました。おほほほと笑って言いたいことだけ言って下がる姿はなんとも上品だ。

「なるほど?婚約破棄に、証拠のないいじめと………随分勝手をしたようだな?変態王子よ」

陛下はハキハキ侯爵令嬢の言葉でだいたいを理解してくれたようだ。怒りで顔が真っ赤なのがわかる。まあ実の息子に対して名前ではなく、変態呼びなのだからもはや廃嫡されてもおかしくはない。

「ち、父上まで!信じてください!私は………!そうだ!アマリア!これは嘘だと言ってくれ!アマリアならわかるだろう?俺がそんな変態ではないことを!」

私が原因?でこんな事態になったと思ってか私に縋るようにして王太子殿下がこちらを見る。ヒロインは寧ろお前のせいだとばかりに睨んでくるけれど。いや、お前の自業自得だよヒロインとしか思わないが。

「私にはわかりかねます………。何せニヤーリカ様とばかり愛し合っていたようですし、私はニヤーリカ様をいじめたとやってもない罪を被せてくれるばかりで………。そんな中、リバース殿下だけが私の癒しでした。でも、まさか………王太子殿下に男の趣味がございましたなんて………。恋愛模様は人それぞれですから、差別などいたしませんが、それを隠したいからと実の幼い弟に手を出すのはいかがなものかと。私も気づいていれば止めていましたものを………リバース殿下申し訳ございません」

少しの真実を混ぜれば意外と嘘とはわかっていても棒読みにならずぺらぺらと話せてしまえるものである。

「ううん、おねえしゃまをまもれてよかった!」

そうして最後のリバース殿下への謝罪に答えてくれた殿下は、にっこりと笑う。その笑顔はとても腹黒いとは思えない純真さに溢れている。

嘘を真実に変えるピュア?な笑顔は最強なのがよく理解できた瞬間だった。
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