私の夫はストーカー~私は恋も愛も知りません~

荷居人(にいと)

文字の大きさ
26 / 51
4章

夫婦生活の恋模様?1

しおりを挟む
あの日、頬が熱くなり、胸が高鳴るようなよくわからない感覚を知った日から、何故か私の夫、星影時雨が私と接触する回数が増えた。

「時雨・・・?」

「どうしたの?」

時雨の方を向こうとすればあまりにも顔の近いその距離。私が時雨の膝の上に乗っているのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど、何故こうなっているのか訳がわからない。

「これは、なんだか落ち着かないわ」

「そう?僕は楽しいよ」

「楽しい・・・?」

ただ私が時雨に乗っているそれの何が楽しいのか、私はテレビに集中できないし、先程からドキドキと胸がうるさく感じるというのに。

「ほら、テレビ見ないの?僕は美世の顔ずっと眺めていたいけど」

「変な人」

なんだか顔を見られたくなくて前へ向き、テレビを見るが、内容が入って来ることはない。あの妙な感覚を知ってから寝るときですらうまく寝付けない気がする。

熱もないし、風邪かと思い放っていれば治るかとも思ったが、酷くなる一方だ。時雨がお風呂に行ったりして一人になると落ち着くのも不思議でならない。

『僕だって男だからね?』

あの時の言葉が頭から離れない。時雨を別に女だったと思っていたわけではないし、男だってこともわかっている。何を今更とすら思う言葉に、何故か酷く頭に響いた言葉。

なんとなく、なんとなくだけど、今の私の状態に似たものを私は知っている。瑠璃と共に見た少女漫画。その主人公の女の子のようなそれが今の私と似ているような気がするのだ。

でもそれは即ち恋をしたと言うこと。誰に?恐らく時雨に。瑠璃は恋は落ちるものだと言った。これが恋に落ちるということなのだろうか?

少女漫画の女の子は幸せそうで、でも、悲しそうな時もあったし、辛そうな時もあった。私はただ、ドキドキと胸を高鳴らせ、頬が熱くなるような時があるだけ。

幸せかと聞かれればわからないし、悲しいかと言えば、別に悲しくはないと思う。辛いかと言えば胸が苦しいのは確か。

でも人の気持ちがわからない私だ。ただ似ているからと言っても、少女漫画の女の子の気持ちを私が理解しきれているかもわからない。それに勘違いかもしれない。

思考で頭がぐらつく。ああ、息するのも辛い。頭も痛くて、頬どころか顔も熱いし、視界もぼやけて、身体も・・・だるい?あら?

「美世?」

「はぁ・・・はぁ・・・時雨、なんだか・・・寒いわ」

「まさか・・・ごめん!気づかなかった!すごい熱だよ!」

片手を私の腰に回したまま、時雨の生ぬるい手が私の額に当てられる。慌てた時雨は素早く私を抱き抱え、ベットへと連れていってくれた。

やっぱり風邪だったのね、熱が出る前兆だったんだわ。と、やはり恋を知るのはまだまだ先だなんて思いながら私は重くなる瞼を閉じた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

処理中です...