私の夫はストーカー~私は恋も愛も知りません~

荷居人(にいと)

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4章

夫婦生活の恋模様?6~夫視点~

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美世が寝ている間、ふと思ったこと。浮かれていた頭が冷めたことで、冷静になった結果とも言える。僕が美世に意識されていると気づいたから意識させる行動に出ていたが、果たして美世がそこから僕に愛を築くことができたのだろうか?と。

美世の人の気持ちがわからないのは自分の気持ちも理解できないから。結局美世がわからなければ、意識するだけで終わるのでは?

なんなら、美世は気持ちを理解できずして、自分が傷ついたことすらわからず放置してきていそうだ。傷ついたことを癒さず、わからないと放っておけばいつか積み重なったそれに美世が耐えきれなくなってもおかしくない。

傷つくことを知らないから堂々としていられるならそればかりがいいことだとは限らない。

そう思うと、嬉しいことや悲しいこと、怒ることや、喜ぶこと、どこまで美世は知って、知らないのか、それを知らずにして僕は美世を幸せにできるのかと考えた。

だから美世がそろそろ起きるだろうとおかゆを用意し、食べさせた後、どこか穏やかな表情をする美世に質問した。美世はなんでそんな質問をと疑問に思うように首を傾げたけれど、素直に言ってくれて、それが幸せだと僕も美世といると幸せに感じることを表す言葉を言えば、ひそかに微笑んだ美世。

それに美世は気づいていただろうか?

僕が美世といることで幸せを感じることに美世は喜んでくれているのでは?と思う。それは僕と同じように、美世も僕の幸せを願ってくれており、自身が幸せにしてあげられていることに対しての喜びじゃないだろうかとまた浮かれそうになる。

だけど今は浮かれている場合ではないし、それが絶対そうだと断言もできない。今はただ美世の想うその気持ちが僕にとってはどういうものかを教えていかなければ。

男と意識されたぐらいで浮かれていてはいけない。それが恋に落ちた確証はないし、ただ男について意識したことがなく、僕が下手に発言したことで、男を意識するだけのきっかけを与えた可能性もある。

それはつまり僕以外の男でも意識してしまうかもしれないということ。今のところ秘書くらいしか美世と男性の関わりはない。秘書と言っても美世の希望を叶えるために動かす程度。大して会話もしてないことも知っている。

でもこの先、美世を監視しているとはいえ、自由にすることで男性との関わりが出てくる可能性だってないとは言えない。さすがに見ず知らず相手には嫌悪のひとつでもあってほしいけど、どう思うかなんてその時にならないと・・・いや、その前に、僕は嫉妬でその男性を社会的抹消してしまわないかが心配だ。

「時雨?」

「え?あ、どうしたの?美世」

「急にぼんやりして顔が色々忙しそうだったわ」

「ああ、ごめん。美世にこれから気持ちをどう教えようかなって考えてたらついね」

「そう・・・考えがまとまったなら、服を着替えたいのだけど」

「あ、ああ、ごめん。すぐ用意するよ」

「ええ」

美世の目の前で考え事しても仕方ない。着替えくらいすぐ思い付くことだろうに僕は何をやっているんだ。

まあこのままジャージの方が美世は楽でいいだろうと、下着と共にクローゼットから抜き取る。別にやましい気持ちなんてない。ないったらない。

「時雨、なんだか変な感じなの。画面越しとはいえ、こちらを見ないでほしいのだけど・・・」

「ご、ごめん」

癖でついスマホ越しに動画で美世の着替えを見ようとしてしまうとまだ熱の名残か、照れか、頬を赤らめて気まずそうに美世が言う。それを見て、なんだか僕まで顔が熱くなって美世に背を向けた。

美世のこの姿を見て僕は何故熱に気づく前、平気でいられたんだろう?随分と思った以上に浮かれていたことを今更理解する。

これで美世に愛を向けられたなら僕はまず顔が合わせられるかが不安になってきた。こうも僕は愛する人に余裕がないなんて情けない夫にも程がある。

何度も聞いているはずの、後ろから聞こえる美世の着替える音に、つい鼻を抑えてしまう自分。思春期の子供か!となんだか子供に逆戻りした気分になったことに、さらに情けなさが募ったのは言うまでもない。
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