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1章ー幼少期ー
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「魔女かどうかはまだ確定ではありませんが、本来誘拐で運命の出会いとやらをするらしかったので誘拐で同じく会わせてみました。ひひっ」
「それはエリーナが?」
「ひっひっひっ昨日聞きまして……ならばこちらで誘拐の段取りをしようかと思いましてね」
「なるほどです!」
エリーナのために繋がる誘拐なら仕方ありません。ヒロインさんは変態さんの餌食にしちゃいましたが、果たしてこれは運命の出会いにされちゃわないでしょうか?僕は運命の出会いをするならやっぱりエリーナがいいなぁ。
「そんなことだろうと薄々思ったが私まで何故巻き込んだ」
「ひひっ敵を知っていただこうと思いまして」
「敵も何も少女だろう?」
「エリーナ嬢から話を聞く前からミューズ家は誘拐の段取りを秘密裏にしてましたからあえて先手を打ちました。この誘拐、ミューズ家の自作自演にしようかと思いましてひひっ」
「先生の父、ラパン伯爵が関わっているが?」
「そこはたまたま見かけた父が女の子を助けたということで……しかし、キリアス殿下たちまでは助けに至らなかったというシナリオです」
「どう見ても犯罪者の顔だったが………?」
父上が正気か?とばかりに先生の顔を真顔で見る。先生の父親ってあの先生に似た変態さん?先生の父親らしき人で関わっているとなればあの人しか思いつかない。それにそれなら父上の言うように助けたというより誘拐犯と言われた方がしっくりくる人だった。
先生には申し訳ないけど………。というかあれが伯爵で大丈夫なんだろうか?
「おいおい、勝手に話進めんな。俺らを誘拐犯に仕立てて捕まえる気かぁ?」
「ひひっ仕立てるも何も現に誘拐したじゃないですか。王族を」
「う……っだが、依頼したのはあんたなんだろうが」
「ひっひっひっそうですね。心配しなくともミューズ家の依頼で誘拐を本当に働こうとした者たちは捕まえてますから問題ありませんよ」
「だが、俺たちの顔は口元を布で隠してるとはいえ見られている。あんな堂々と誘拐したわけだしな」
「ひひっ問題ありませんよ。口裏を合わすように手配しましたので。私は誘拐した事実がほしくて誘拐してもいい許可をわざわざとったんですよ。元王族とはいえ悪いようにはしません」
全部が全部先生のシナリオ通りということかな?誘拐犯を先生の教え通り調教を頑張るつもりだったのに少し残念だなぁ。でも、エリーナを怖がらせる魔女を知れたのはよかったかもしれない。
敵知らずしてエリーナを安心させるのも難しい話だし、ヒロイン……リリアーヌ嬢の家は本当の悪者みたいだから。
「おっかねぇ……」
「で、貴方たちはキリアス殿下の専属騎士に任命もいたしましたひひっ」
「はぁ!?」
「では、私コミュ障なんでこれ以上は厳しいです。騎士たちは殿下を無事送り届けるように。ひひっ」
先生は爆弾を落とすように言ってまるで最初からいませんでしたとばかりに消えてしまった。父上もリーダーの人も固まってしまっている。
「いや、コミュ障なめんな!めっちゃ話せてただろうが!」
しかし、しばらくしてリーダーの人が地団駄を踏むようにして洞窟にはツッコミが響き渡るのだった。その後ちゃんと僕たちは城に送り届けられ、誘拐犯だった人たちも出迎えられそれに戸惑っている間に僕の専属騎士団扱いにされていた。全ては先生の思惑通り。
僕は初めての自分の騎士団を持てて嬉しいしでとってもいい誘拐経験でした!
でも後日、ミューズ家の当主は誘拐犯の黒幕として告訴され、王族を狙う誘拐として処刑。男爵家は当時のミューズ家当主の独断とされ潰れず代替わりで済み、娘であったリリアーヌ嬢はまだ幼いのもあって被害者のひとりとして罰はなかったそうな。
だからまだまだ油断はできない。エリーナの怖い未来の中心は存在しているのだから。
「それはエリーナが?」
「ひっひっひっ昨日聞きまして……ならばこちらで誘拐の段取りをしようかと思いましてね」
「なるほどです!」
エリーナのために繋がる誘拐なら仕方ありません。ヒロインさんは変態さんの餌食にしちゃいましたが、果たしてこれは運命の出会いにされちゃわないでしょうか?僕は運命の出会いをするならやっぱりエリーナがいいなぁ。
「そんなことだろうと薄々思ったが私まで何故巻き込んだ」
「ひひっ敵を知っていただこうと思いまして」
「敵も何も少女だろう?」
「エリーナ嬢から話を聞く前からミューズ家は誘拐の段取りを秘密裏にしてましたからあえて先手を打ちました。この誘拐、ミューズ家の自作自演にしようかと思いましてひひっ」
「先生の父、ラパン伯爵が関わっているが?」
「そこはたまたま見かけた父が女の子を助けたということで……しかし、キリアス殿下たちまでは助けに至らなかったというシナリオです」
「どう見ても犯罪者の顔だったが………?」
父上が正気か?とばかりに先生の顔を真顔で見る。先生の父親ってあの先生に似た変態さん?先生の父親らしき人で関わっているとなればあの人しか思いつかない。それにそれなら父上の言うように助けたというより誘拐犯と言われた方がしっくりくる人だった。
先生には申し訳ないけど………。というかあれが伯爵で大丈夫なんだろうか?
「おいおい、勝手に話進めんな。俺らを誘拐犯に仕立てて捕まえる気かぁ?」
「ひひっ仕立てるも何も現に誘拐したじゃないですか。王族を」
「う……っだが、依頼したのはあんたなんだろうが」
「ひっひっひっそうですね。心配しなくともミューズ家の依頼で誘拐を本当に働こうとした者たちは捕まえてますから問題ありませんよ」
「だが、俺たちの顔は口元を布で隠してるとはいえ見られている。あんな堂々と誘拐したわけだしな」
「ひひっ問題ありませんよ。口裏を合わすように手配しましたので。私は誘拐した事実がほしくて誘拐してもいい許可をわざわざとったんですよ。元王族とはいえ悪いようにはしません」
全部が全部先生のシナリオ通りということかな?誘拐犯を先生の教え通り調教を頑張るつもりだったのに少し残念だなぁ。でも、エリーナを怖がらせる魔女を知れたのはよかったかもしれない。
敵知らずしてエリーナを安心させるのも難しい話だし、ヒロイン……リリアーヌ嬢の家は本当の悪者みたいだから。
「おっかねぇ……」
「で、貴方たちはキリアス殿下の専属騎士に任命もいたしましたひひっ」
「はぁ!?」
「では、私コミュ障なんでこれ以上は厳しいです。騎士たちは殿下を無事送り届けるように。ひひっ」
先生は爆弾を落とすように言ってまるで最初からいませんでしたとばかりに消えてしまった。父上もリーダーの人も固まってしまっている。
「いや、コミュ障なめんな!めっちゃ話せてただろうが!」
しかし、しばらくしてリーダーの人が地団駄を踏むようにして洞窟にはツッコミが響き渡るのだった。その後ちゃんと僕たちは城に送り届けられ、誘拐犯だった人たちも出迎えられそれに戸惑っている間に僕の専属騎士団扱いにされていた。全ては先生の思惑通り。
僕は初めての自分の騎士団を持てて嬉しいしでとってもいい誘拐経験でした!
でも後日、ミューズ家の当主は誘拐犯の黒幕として告訴され、王族を狙う誘拐として処刑。男爵家は当時のミューズ家当主の独断とされ潰れず代替わりで済み、娘であったリリアーヌ嬢はまだ幼いのもあって被害者のひとりとして罰はなかったそうな。
だからまだまだ油断はできない。エリーナの怖い未来の中心は存在しているのだから。
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