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第七章
間一髪
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「あーあ。クライアントごと潰れちゃったみたい…」
重力魔法が収まった頃合いを見計らい、パーネは発掘現場であった空間を通路から覗いた。
リエルに追い詰められた時、たまたま手元にあった魔法のロッド。一発逆転を狙って振るってみれば発動したのは強力な重力を広範囲に発生させる未知の魔法であった。肝心のロッドは魔法が発動した直後に砕け散り、失われてしまった。
魔法の効果はあまりにも強力であり、発掘現場はいまやがれきの山と化した。そこにいた者達は発掘したアイテム諸共がれきの下敷きとなり、何の音沙汰もない。
「まだ前金しかもらってなかったのに…まぁいいか」
悪びれる様子もなくパーネはそそくさと通路の奥へと消えていった。
――――
ほどなくして、がれきの山の一区画から光の刃が飛び出した。刃によって大きな三角形状に斬られた破片は勢いよく吹き飛び、その中から折れた剣を手にした少女――リエルが姿を現した。
「あ、危なかった…」
破片を蹴飛ばし、がれきの山から抜け出したリエルはほっと胸をなでおろした。そして、折れた聖剣に短めの光の刃を纏わせて照明代わりにして辺りを探った。
「ビオラ!アズキ!トニー!あと、えっと…」
「ハガーだよ」
「オーカワだぜ」
リエルの叫びに応えるようにがれきの下から二人の少年の声が聞こえた。そして、大きな両腕ががれきを押し上げ、大柄なドワーフが姿を現した。
「安心しな。皆無事だぜ」
がれきをどかしながらオーカワが穴から出るとそれに続くようにビオラとアズキ、ハガーとトニーが這い出てきた。
「あ、ありがとうございます」
「なぁに。この程度の落盤、ここじゃよくあることよ!」
「そうだぜ!ドワーフにとっちゃこのくらいのがれき、ハッポール(超軽量の素材)も同然よ!ガハハ!」
礼を述べるアズキに対し、ハガーとオーカワは豪快に笑いながら答えた。
「それに、礼を言うのは俺らだ。ダチ公を助けてくれてありがとな!」
ハガーは親指を立てた。
「よせやい。大したことあるぜ」
「あんたは何もしてないでしょうが!」
偉そうにふんぞり返るトニーの頭にビオラは杖を叩き付けた。
「おいおい。今回はお前に言われたかねぇな。せいぜい俺のクッションになっただけじゃねえか」
「うっさいわね!今回は魔法が使えなかったからしゃーないでしょーが!」
腹立つ表情を作るトニーに対し、反論するビオラ。その様子を見てリエルは思わず小さく吹き出した。
「あんたも何笑ってんのよ。降参なんかするからびびったじゃないのよ!」
ビオラはリエルの方に振り向き、彼女に文句をつけた。
「ご、ごめん。でも、『敵をだますなら味方もだませ』ってメイリスさんに教わったじゃない」
「んなこと言ってたわね。はぁ、まんまとだまされちゃったわ」
やれやれと溜息をつきながらビオラは肩を竦めた。
「でも、あの魔法の中でよく無事でしたね。僕達はこの人達のおかげで助かりましたけど…」
「ホントね。やっぱり聖剣の力ってヤツ?」
パーネが使用したアイテムによる強力な重力にくわえ、天井から落下してきた大量のがれき。普通なら助かるはずなどない。アズキとビオラがそんな疑問を持つのは当然であった。
「うん…そう…なのかな…」
手にした聖剣を見つめながらリエルは不明瞭に答えた。
重力魔法が収まった頃合いを見計らい、パーネは発掘現場であった空間を通路から覗いた。
リエルに追い詰められた時、たまたま手元にあった魔法のロッド。一発逆転を狙って振るってみれば発動したのは強力な重力を広範囲に発生させる未知の魔法であった。肝心のロッドは魔法が発動した直後に砕け散り、失われてしまった。
魔法の効果はあまりにも強力であり、発掘現場はいまやがれきの山と化した。そこにいた者達は発掘したアイテム諸共がれきの下敷きとなり、何の音沙汰もない。
「まだ前金しかもらってなかったのに…まぁいいか」
悪びれる様子もなくパーネはそそくさと通路の奥へと消えていった。
――――
ほどなくして、がれきの山の一区画から光の刃が飛び出した。刃によって大きな三角形状に斬られた破片は勢いよく吹き飛び、その中から折れた剣を手にした少女――リエルが姿を現した。
「あ、危なかった…」
破片を蹴飛ばし、がれきの山から抜け出したリエルはほっと胸をなでおろした。そして、折れた聖剣に短めの光の刃を纏わせて照明代わりにして辺りを探った。
「ビオラ!アズキ!トニー!あと、えっと…」
「ハガーだよ」
「オーカワだぜ」
リエルの叫びに応えるようにがれきの下から二人の少年の声が聞こえた。そして、大きな両腕ががれきを押し上げ、大柄なドワーフが姿を現した。
「安心しな。皆無事だぜ」
がれきをどかしながらオーカワが穴から出るとそれに続くようにビオラとアズキ、ハガーとトニーが這い出てきた。
「あ、ありがとうございます」
「なぁに。この程度の落盤、ここじゃよくあることよ!」
「そうだぜ!ドワーフにとっちゃこのくらいのがれき、ハッポール(超軽量の素材)も同然よ!ガハハ!」
礼を述べるアズキに対し、ハガーとオーカワは豪快に笑いながら答えた。
「それに、礼を言うのは俺らだ。ダチ公を助けてくれてありがとな!」
ハガーは親指を立てた。
「よせやい。大したことあるぜ」
「あんたは何もしてないでしょうが!」
偉そうにふんぞり返るトニーの頭にビオラは杖を叩き付けた。
「おいおい。今回はお前に言われたかねぇな。せいぜい俺のクッションになっただけじゃねえか」
「うっさいわね!今回は魔法が使えなかったからしゃーないでしょーが!」
腹立つ表情を作るトニーに対し、反論するビオラ。その様子を見てリエルは思わず小さく吹き出した。
「あんたも何笑ってんのよ。降参なんかするからびびったじゃないのよ!」
ビオラはリエルの方に振り向き、彼女に文句をつけた。
「ご、ごめん。でも、『敵をだますなら味方もだませ』ってメイリスさんに教わったじゃない」
「んなこと言ってたわね。はぁ、まんまとだまされちゃったわ」
やれやれと溜息をつきながらビオラは肩を竦めた。
「でも、あの魔法の中でよく無事でしたね。僕達はこの人達のおかげで助かりましたけど…」
「ホントね。やっぱり聖剣の力ってヤツ?」
パーネが使用したアイテムによる強力な重力にくわえ、天井から落下してきた大量のがれき。普通なら助かるはずなどない。アズキとビオラがそんな疑問を持つのは当然であった。
「うん…そう…なのかな…」
手にした聖剣を見つめながらリエルは不明瞭に答えた。
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