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第九章
落下
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クラウディ大陸のはるか上空。そこを飛び交う鳥達は思わぬ存在に驚いていた。
ファイン大陸の方角から飛んできた三人の少女と一匹の豚。お揃いのリュックを背負った一行は高速で晴天の空を駆け抜け、徐々にその高度を下げていった。
「わああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!お、落ちるうううぅぅぅぅぅぅ!」
恐怖と風圧で顔を歪めたビオラが叫んだ。
「お、落ち着いてください!早くリュックの紐を掴んで…!」
リュックの紐を掴みながらアズキがビオラに声をかけたが、凄まじい風の音で声はかき消されてしまった。
「ひ、紐…紐ね…!」
リエルはアズキの動作を見てリュックの紐を掴み、思いきり引っ張った。
ボンっ!
大きな音と共にリュックの中から数本のロープでつながれた大きな布が飛び出し、やがてそれは落下傘の形を作り、落下の速度を大きく弱めた。
リエルに続き、アズキも、ようやく落ち着いたビオラもリュックの紐を引っ張り、どうにか落下傘を展開した。
「ふぅっ…ぺしゃんこになるオチはどうにか回避できたみたいね…」
落下速度が低下し、ビオラは溜息をついた。下に目を向けると地上がどんどん近づいてきている。
「でも…このままだと着地する場所は…」
アズキの真下には新緑の森が広がっていた。
「…森ってことね…」
そうリエルが判断した直後、三人は落下傘と共に新緑の森の中に飲み込まれていった。
――――
「いたた…ある意味、運が良かったのかな…?」
落下傘は木々に引っかかり、鋭い枝によってところどころに穴が開き、もはや使い物にならなくなっていた。宙づりになったリエルは折れた聖剣に短めの光の刃を纏わせ、役目を終えた落下傘のロープを切った。
「…よっと。他のみんなは…?」
地面に着地したリエルは周囲を見渡し、空中で散り散りになった他の二人と一匹の行方を探った。
「ビオラー!アズキー!トニー!」
鳥や虫のざわめきがそこかしこから聞こえる森の中、リエルは仲間達の名を呼んだ。
「ここでーす!」
ほどなくしてアズキの返事が聞こえた。リエルは声の方向へ急ぎ足で向かった。
「えーと…確かこの辺から…」
「リエルさーん!」
上を見上げると、自分と同様に落下傘が木々に引っかかり、宙ぶらりんになっているアズキの姿があった。彼女は両腕に自分達の荷物が入った大きめの鞄を大事そうに抱えていた。
「よかった…!リュックを外して下りようにもこの荷物が心配でどうしようかと考えていたところだったんですよ」
アズキはリエルの顔を見て一安心した。
「わかった。今受け取るから放していいよ」
そう言われてアズキは鞄を放し、リエルはそれを両腕でしっかり受け取って地面に置いた。
「よし。下りてきて」
リエルは両腕を広げてアズキに真下で待ち構えた。
「あ…は、はい」
一瞬躊躇したアズキだったが、ごくりと息を呑んでリュックを外し、リエルの元に落下した。リエルは全身で彼女の身体を受け止めた。
「ふう…大丈夫?怪我とかしてない?」
アズキの身体を抱えながらリエルは尋ねたが、その声と吐息を至近距離で受けたアズキは慌てて身体を引きはがした。
「ひえっ!だ、だ、大丈夫でしゅ!ごめんなしゃい!」
顔を赤くしながらアズキはカミカミで謝罪した。
「…?よくわからないけど大丈夫みたいね」
慌てる理由がわからずリエルは首を傾げた。
ファイン大陸の方角から飛んできた三人の少女と一匹の豚。お揃いのリュックを背負った一行は高速で晴天の空を駆け抜け、徐々にその高度を下げていった。
「わああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!お、落ちるうううぅぅぅぅぅぅ!」
恐怖と風圧で顔を歪めたビオラが叫んだ。
「お、落ち着いてください!早くリュックの紐を掴んで…!」
リュックの紐を掴みながらアズキがビオラに声をかけたが、凄まじい風の音で声はかき消されてしまった。
「ひ、紐…紐ね…!」
リエルはアズキの動作を見てリュックの紐を掴み、思いきり引っ張った。
ボンっ!
大きな音と共にリュックの中から数本のロープでつながれた大きな布が飛び出し、やがてそれは落下傘の形を作り、落下の速度を大きく弱めた。
リエルに続き、アズキも、ようやく落ち着いたビオラもリュックの紐を引っ張り、どうにか落下傘を展開した。
「ふぅっ…ぺしゃんこになるオチはどうにか回避できたみたいね…」
落下速度が低下し、ビオラは溜息をついた。下に目を向けると地上がどんどん近づいてきている。
「でも…このままだと着地する場所は…」
アズキの真下には新緑の森が広がっていた。
「…森ってことね…」
そうリエルが判断した直後、三人は落下傘と共に新緑の森の中に飲み込まれていった。
――――
「いたた…ある意味、運が良かったのかな…?」
落下傘は木々に引っかかり、鋭い枝によってところどころに穴が開き、もはや使い物にならなくなっていた。宙づりになったリエルは折れた聖剣に短めの光の刃を纏わせ、役目を終えた落下傘のロープを切った。
「…よっと。他のみんなは…?」
地面に着地したリエルは周囲を見渡し、空中で散り散りになった他の二人と一匹の行方を探った。
「ビオラー!アズキー!トニー!」
鳥や虫のざわめきがそこかしこから聞こえる森の中、リエルは仲間達の名を呼んだ。
「ここでーす!」
ほどなくしてアズキの返事が聞こえた。リエルは声の方向へ急ぎ足で向かった。
「えーと…確かこの辺から…」
「リエルさーん!」
上を見上げると、自分と同様に落下傘が木々に引っかかり、宙ぶらりんになっているアズキの姿があった。彼女は両腕に自分達の荷物が入った大きめの鞄を大事そうに抱えていた。
「よかった…!リュックを外して下りようにもこの荷物が心配でどうしようかと考えていたところだったんですよ」
アズキはリエルの顔を見て一安心した。
「わかった。今受け取るから放していいよ」
そう言われてアズキは鞄を放し、リエルはそれを両腕でしっかり受け取って地面に置いた。
「よし。下りてきて」
リエルは両腕を広げてアズキに真下で待ち構えた。
「あ…は、はい」
一瞬躊躇したアズキだったが、ごくりと息を呑んでリュックを外し、リエルの元に落下した。リエルは全身で彼女の身体を受け止めた。
「ふう…大丈夫?怪我とかしてない?」
アズキの身体を抱えながらリエルは尋ねたが、その声と吐息を至近距離で受けたアズキは慌てて身体を引きはがした。
「ひえっ!だ、だ、大丈夫でしゅ!ごめんなしゃい!」
顔を赤くしながらアズキはカミカミで謝罪した。
「…?よくわからないけど大丈夫みたいね」
慌てる理由がわからずリエルは首を傾げた。
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