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第168話 元カノ

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 日本にいた筈の理沙と、まさかの異世界での再会に、俺はぐらいの衝撃を受ける。

「えっと、ユキマサ君、知り合い?」

 クレハが俺に問う。

「ああ、以前話した元いた世界の──」
ですが、何か?」

 ニッコリと理沙が微笑む。

「ぶっ! ゴホゴホ! おい、理沙!」

「ちょ、ちょっと!! クレハが倒れたわよ!!」
「クレハ、しっかりして!」

 何故か倒れるクレハをエメレアとミリアが必死に支える。

 もう、どうなってんだよ……

 と、その時だ──

「やっと会えたみたいじゃな?」

「「な!?」」

 1つは俺の声、もう1つはロキの声だった。

「……何で、こんな所にいやがる──

 そこに現れたのは八年前に婆ちゃんを連れ、俺を蹴り飛ばし家を出ていった、俺の祖父──稗月暁ひえづきあかつきだった。
 以前は黒髪だったが、今は白髪頭になっている。

「──久しぶりじゃの、ユキマサ」

 呑気に話しかけて来る糞爺クソじじい

「し、白獅子!?」

 ロキが呟く。

「白獅子だと? 糞爺がか? つーか、糞爺も、呑気に『久しぶり』じゃねぇよっ!」

 ──白獅子。
 〝7年前の魔王戦争〟で魔王アドルメルクを倒した正体不明の謎の人物だった筈だ。

「ユキマサさんこそ、白獅子殿とはどういった関係で?」
「実の祖父だ。残念ながらな」

「「「そ、祖父!?」」」

 ロキ、エメレア、ミリアが目を丸くする。
 相変わらずクレハはエメレアに支えられ、倒れたままだ。

 *

 ──大都市エルクステン・ギルド
         ギルドマスター室──

 本当に立ち話もなんなので……との、ロキの提案で俺達はギルドのギルドマスター室に来ていた。

 途中、フォルタニアとノアとシスティアとも合流し──

 俺とクレハにエメレアとミリア、ロキとフォルタニアに、途中で合流したノアとシスティア、理沙と糞爺──という、何とも不思議な面子の集まりになった。

「で、元カノってどういうこと?」

 開口一番にクレハがジトっとした目で聞いてくる。
 
「元カノって言うか、正確にはだよ」
「元カノは元カノでしょ!」

 理沙が口を挟む。

「元彼女のフリか……そっか、そっか、よかったぁ!」

 機嫌が治るクレハ、その横ではエメレアが「クレハ、よかったわね」と、エメレアも嬉しそうだ。

「いえ、そこでは無くてですね……色々と聞きたいことだらけなのですが……まあ、まずは、魔王の討伐を喜ぶべきなのでしょうけど」

 珍しく困った様子のロキは人差し指でこめかみを掻いている。

「聞きたいのは俺もだ、何でここにいる? 理沙、糞爺──」

 異世界でバッタリ偶然だ何て天文学的確率を越えてるぞ?

「それはこっちの台詞! 何で、何も言わずにに何て来てるのよ!!」
「いや、それはアルテナに頼まれてだな……つーか、お前も来てんじゃねぇかよ! どうやって来たんだよ?」

「私はユキマサの部屋にユキマサ起こし行ったら、部屋が光りはじめて、それで部屋を開けたら、ユキマサいないんだもん! だから、また何かやらかしたと思って、牧野さんに電話したら圏外で通じなくて、携帯の画面見たら〝電波を阻害しています♪ 女神アルテナより〟って、出て──」

 そうして、理沙は詳しく状況を話す。

 *

 ……少し時を遡る。

 ──

 ────

 あの日、ユキマサが異世界召喚された日──
 ユキマサの部屋を訪れた理沙が、またユキマサが何かやらかしたと思い、牧野へと電話をかけたが通じない。そして携帯の画面を見ると謎のメッセージが表示されていた。

 ──電波を阻害しています♪
          女神アルテナより──と。
 
『な、何これ? 女神? 新しい広告か何か?』

 すると、部屋がパッと眩く光に包まれる。

『きゃっ!? な、なに!!』

 すると理沙は光の渦に吸い込まれていくのであった──
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