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第400話 豪雪地帯

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 買い物日和びよりと言う天気が世の中には存在している筈だ。それはきっと青空がどこ迄も広がり、心地のよい風が吹く、そんな日のことを言うのだと俺は思う。

 結論から言おう──
 間違っても、今日は買い物日和では無いだろう。

 ──寒い空気が肌身に染みる。
 宿屋を出ると視界を覆うほどの大雪。辺り一面の白銀の世界が広がっていた。
 雪がしんしんと降り続けている。幸いと言えば風がなく、吹雪ふぶいてはいないという事だ。

「大雪だな。この街じゃこれが普通なのか?」
「あはは、このレベルの大雪は〝スノーワイト〟でも稀かな。でも、年に2.3回はあるみたいだよ」
「年に2.3回ってことは約122分の1を引いたってワケか」

 豪雪地帯って場所はそれなりの雪に対する対応策ってのがこうじられている。この街もその例外ではない。
 まずは雪かきだ。一年中雪が降るこの街では雪かきは手作業ではなく魔道具マジックアイテムで行われる。つーか、違いと言えばよく分からない文字(?)の書かれた札が貼られている雪掻きマシン──(うん、どう見ても科学文明でよく見る除雪機)で行われる。

 ので、朝から除雪された道は雪はあまり無く、歩くのに問題は無かった。道脇が雪でスゴいことになってるけど。mメートル単位で雪が積み上げられてる。

 建てられている家も雪が滑り落ちる仕組みの〝落雪式住宅〟や屋根の積雪が3mメートルぐらいまでなら耐えられる〝耐雪式住宅〟だ。

「こりゃ、この街は暖房器具も防寒着も必須だな」

 普段の服にコートを1枚羽織っただけのクレハは寒いだろう。俺ですら和服と羽織+マフラーしてるのに。継ぎ接ぎワンピース1枚しか持ってないシナノがここに住んだらマジで凍死すんじゃのぇか?

「う、寒い……スノーワイトの寒さは伊達じゃないね」

 風がない分、身体の芯からヒンヤリと冷たい。
 冷凍庫にでも入ってる気分だ。実際、それに近い。

「よし、早く防寒着を買おう。具体的にはマフラーと手袋辺りか? コートは暖かそうなのあるしな」

 クレハは普段着の上から結構厚手の首元がもふもふしてる黒い新しめの綺麗なコートを着ている。コートは買う必要は無さそうだ。防寒着を買うとしたらコート以外の他の防寒着を優先した方がいいだろう。

「ユキマサ君はコートとか買わないの?」
「まあ、和服だけだしな。正直それなりには寒い。でも、羽織もマフラーもあるし、何とかしのぐさ」

 好きな服を着るには時には耐えも必要なんだ。

「それにしては寒いと思うよ?」
「否定はしない」

 そんな話をしながら雪降る街を歩いていく。
 時に頭や服に積もった雪を払いながら。
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