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第2部
杉浦崇宏のモヤモヤ火の用心
しおりを挟む歓びと幸せに包まれた、黒河和史と宇佐美奈々の結婚披露パーティー、無事閉宴。
戸籍上において、もう数か月も前に “黒河奈々” となっている事実は、知る人ぞ知る……である。
今回の結婚披露パーティー、これポッキリで正式な二次会はない。新郎新婦はすでに仲睦まじく帰路についている。
しかしながら主役は不在といえども、こうして人間が多く集まりアルコールも入っていれば、必然と「次へ行くぞー」的な雰囲気になるものだ。
――いや、杉浦はすぐに帰るつもりであった。
社長や統括を筆頭とした親族連中はパーティー終了後、早々と解散済みだ。妻の圭乃と娘の愛花は朝から挙式に参列したため、パーティーの方は開始一時間ほどですでに帰ってしまっている。
明日も朝から仕事である。たまには早く帰って愛娘とウキャウキャしたいし、愛妻とラブラブしたい……ついさっきまではそう思っていたのだ。
しかし……何故かこうして、誘われるまま非公式二次会に参加している杉浦崇宏三十五歳。
――ああ、俺って人気者で困っちゃうよなぁー。
……幸せな男である。
パーティー会場からほど近い場所にある、開放的な雰囲気のカフェ&ダイニングバー。職業柄、厳しい眼を持つ杉浦から見れば、さほど独自性もないありきたりな店だが……まあ文句も言うまい。
二次会参加の団体から少し遅れて店内に入った杉浦は、店奥のテーブルにお目当ての男女三人を発見し、嬉々として近づいた。
「マッキー、ハルミちゃーん、おっ疲れー。ナイス幹事だったよー? いやぁ、お二人さんにお願いして正解だったなー」
今日のパーティー成功に心を込めて賛辞を送れば、そろって胡散臭い目を向けてくる牧野夫婦。その傍で人畜無害な顔をしている独身男、諸岡良晃が糸のような目を下げて苦笑している。
「あーら、とんでもございませんわー。新郎のおばあ様のお兄様のお孫さんのお婿様に、幹事なんてさせられませんものねー」
艶やかな項を少し傾げてにっこりと笑う牧野昭美、厭味さえも艶やか。
「はははー、そんなに小難しい言い方しなくてもー。ハルミちゃんのおかげでうちの社員の出席率は九十五パー越えだったらしいねー。ハルミちゃんの脅し……いやいや、お誘いがうまく効いたのかなぁー、ねぇ、マッキー、モロちゃん?」
「……そのよく回るお口に、ビンゴ玉をしこたま詰めるわよ?」
すっと半眼になりドス声で凄む妻の昭美を、隣に寄り添う牧野晃治がくっくと可笑しそうに笑って見ている。その眼は慈愛と敬愛に満ちており、無精ひげをおしゃれに整えたこの旦那は、とにかく年上の奥さんが大好きで仕方ないらしい。
「珍しいですね、杉さんが二次会に残るなんて。何か探りたいことでも?」
顔と性格が一致しないことで有名な(?)諸岡が、ニコニコと鋭いお言葉をくれる。
「もう、モロちゃんたら頭回しすぎー。ボクは牧野夫婦を労うためにわざわざ――、」
「――いたいた、杉さん! 探してたんですよ」
「ちょっとお話があるんですよ! 杉さん」
左右から腕を取られ同じ声と同じ顔に遮られて、杉浦はムッと両サイド交互にねめつける。
「何だよツインズ。せっかく大役を果たしたマッキー夫婦を労ってるのに、邪魔するなよ」
しっしと邪険に振り払えば、小野寺双子は同じ顔を同じようにムッとしかめる。
「杉さんの好きそうなネタ、ゲットしたのに」
「絶対聞かなきゃ損なのに」
「何さネタって。悪いけどこの杉さんは、そん所そこらのチープなネタじゃあ驚きませんよー?」
ツン、と三十五男らしからぬ素振りで突き放せば、双子は杉浦の両耳元に顔を寄せて見事にハモった。
「「――黒河マネをめぐる “ドロドロ三角関係” 情報……なんですけど」」
思わず、テーブルの三人に目を向けると、双子の声はしっかりと耳に入ったのであろう。三人で目を見合わせ、そろってその視線を杉浦に向け返す。
えー、ゴホンと喉の調子を整えて、杉浦は「君たち、それは一体どういう意味なのかな?」とさりげなさを装いつつ問えば、小野寺双子は全く同じタイミングで、片手のひらを杉浦に向かって突き出した。
「……何、その手は」
「「――報酬」」
こんのヤロー……杉浦は柄にもなく、ぐるりと目玉を回して見せる欧米風のリアクションを取ってしまう。(漏らしたウ○チを踏みつけて遊ぶ娘を見つけた妻が、こんな反応をしていた)
「あのね……お前たちぐらいのもんだよ? ネタ提供の見返りに金せびるなんて。ったく……そんな子に育てた覚えはありません」
「ちぇ、ケチだな」
「フトコロちっさい」
ぶすっくれた双子に牧野昭美が高らかな笑い声を上げた。諸岡と牧野晃治は呆れ半分可笑しさ半分、といったところか。
笑んだ形のまま、牧野女史が興味深げに首を傾ける。
「……ねぇ1号2号、私もちょっと興味あるなーその話。実は、さっきのビンゴゲームの景品が “一本” 残っているのよねー。どう? それで手を打たない?」
「ハルちゃん、それは――、」
「晃治くんは黙ってて」
慌てたように口を出しかけた牧野晃治を、妻はぴしゃりとシャラップサイン。……つーか、 “ハルちゃん” って。
吹き出しそうになった杉浦を一睨みで圧してから、牧野女史は双子に向かってにこりと笑いかける。
「その “一本” ていうのは、 “エラスリスのKAI” なんだけど」
双子は目を見開き身を乗り出した。
「――マジでっ?」
「――欲しいっ!」
あらあら、さすがは『プルナス』の店長ね、と笑う牧野女史の傍ら、杉浦は、はて?と首を傾げる。 “エラスリスのカイ” ……どっかで聞いたことのあるような……
すると杉浦の疑問を察したように、諸岡が説明してくれた。
「確か数年前、ニューヨークのテイスティング会で一位になったワインですよね。ボルドーやカリフォルニアの最高級ワインを差し置いての、チリ産ワインが一位を取ったとかで話題になった」
「今じゃ、なかなか手に入りにくいらしいんだよ……」
牧野晃治が、何とも情けない顔で付け加える。
「あーあー、何かそんな話、聞いたような気がするー。チリ産ワインかぁ。へぇ、俺もちょっと飲んでみたいなー」
「――ダメですって! 俺らのだ!」
「――杉さんにその味がわかるもんか!」
ものすごい剣幕をした同じ顔が杉浦を詰った。
いや、そんなに否定しなくてもいいじゃん……つーか、大層しつれーなこと言ってないかい?お前たち。
小野寺双子兄弟は、時折精神年齢を疑うような稚拙な言動で周囲を唖然とさせるのだが、ことワインに関してはその人格がコロリと変わるほどの執着ぶりだ。実は意外にも勉強熱心で、世界中のあらゆるアルコール飲料に興味を持ち、特にワインに関しての保持知識はクロカワフーズの中でもトップクラス……本店専任のソムリエでさえ一目置くほどなのである。
さすがダイニングバーの店長を任されているだけある……と手放しで褒めたいところだが、噂によると、二人で暮らしているマンションにはそれは豪勢なワインセラーがあり、そのコレクションは二十代の青年が持てるとは到底思えないヴィンテージも数多くあるとか云々。……おいおいお前たち危ない橋を渡っていないだろうね?と、杉浦は密やかに心配しているのだ。
「ふふ、じゃあ決まりね。そのネタ詳しく教えて? 黒河くんを巡って、何がそんなにドロドロ状態なの?」
一瞬だけ杉浦に目配せした牧野昭美は、美しい御美脚を優雅に組み替え、いかにも社内ゴシップに興味あり、という風を装い身を乗り出してみせる。女史にかかれば双子兄弟なぞお釈迦様の手の上の孫悟空も同然だ。心得ましたとばかりに二人そろって頷き、小野寺兄がマジシャンのような手つきで手早く操作した携帯端末の画面を、ずいと前面に披露した。
――ちなみに、杉浦はこの作為的瓜二つの兄弟を、辛うじて何となく見分けることができる数少ない人間の中の一人である。
「――まず、ドロドロ怪人の一人目は、赤坂の木戸穂菜美です。これ、納涼会の時の写真なんですけど、……彼女と黒河マネが屋上の隅っこでコソコソしていたのを見つけたんですよ」
牧野夫婦、諸岡と一緒に覗き込んだ画面には、薄暗い中に立つ二人の人物が映っていた。
画像は粗く輪郭もぼやけており、斜め後ろから撮ったようで顔も定かではないが、画面の端に提灯の一部が映っており、その赤い光が二人の上半身を仄暗く浮かび上がらせている。
確かにその後ろ姿は「男と女」だけれども。確かに侑司っぽいガタイの男と、あの夜木戸が着ていたっぽいヒラヒラワンピースは判別できるけれども。
事前に “報告” を受けていなかったら、これが侑司と木戸穂菜美だと言われても、う~んと首を捻りそうな物証ではある。
男を見上げる女……女を見ていない男……うんうん、幸せカップルには見えない画像だねー……つーか、こういうの “盗撮” っていうんじゃないのー? 杉さんは責任取りませんよー?
……と内心独り言ちる。
「彼女泣いているように見えませんか? 仕事がつらいって泣きついたか、コクって拒否られたか……もしくは、『不倫なんていけません!』なーんて縋ってみたか……ですよ」
「不、倫……? 誰の……?」
牧野女史が形良い柳眉をひそめて問い返せば、小野寺兄が意味ありげに四人を見渡して、得意げに顎を上げた。
「当然、黒河マネの、不倫です」
……なーんか、変な方向に行っちゃってるよー……杉浦は思わず白点目になる。傍らの牧野夫婦も諸岡も、何とも言えない微妙な顔だ。
「……黒河くんが……? それ、ありえないでしょう……?」
「……お前ら、冗談もいい加減にし――、」
「――冗談なんかじゃありませんってば! マジ情報なんです!」
珍しくも真面目な顔で憤慨する小野寺兄。一瞬しんと静まる店内。
杉浦が慌てて「ままま、立ち話もなんだしー、座って座ってー」と明るい声でとりなすと、小野寺弟も「ちゃんと説明しよう」と兄を促す。そこではじめて、立ちっぱなしであった杉浦と小野寺双子は隣から椅子を持ってきて、牧野夫婦と諸岡が座っていた小さなテーブルにぎゅうぎゅうと身を寄せ合って座った。
再び何事もなかったかのようにざわめく周囲から孤立するようにして、六人は頭を突き合わせる。
双子はもう一度お互い小さく頷き合って、今度は弟が口を開いた。
「……先週、赤坂の『櫻華亭』に宴会が入ったの、知ってますか?」
「ああ、そういえばあったねー。女子大教授の退職記念パーティー、だっけ?」
杉浦が答えると、小野寺弟は大きく頷いて、兄と同じように取り出した端末を皆の眼前に差し出した。
「その女子大の卒業生に、俺らの店の常連さんがいるんですけど、――トーコさん、って言います――彼女もそのパーティーに出席していました。この画像は、トーコさんの承諾を得て送ってもらったものです。この真ん中のが主役の教授で……」
画面に映っているのは、大きな花束を抱え品良く佇む老齢の女性と、その彼女を十人ほどの着飾った女性が取り囲む記念スナップショット、といったところか。その背景はよく見知った『櫻華亭』赤坂店のエントランスだ。
「……その斜め後ろの、この女性……これがドロドロ怪人二人目、黒河マネの “元カノ” です」
小野寺弟が指さした一点には、淡いパステルカラーのフェミニンスーツを着た女性が柔らかく微笑んでいた。
「――トーコさん……あ、この人です……このトーコさんっていうのが、この、黒河マネの元カノと短大の同級生だったんです。あまり仲良くはなかったらしいんですけどね。トーコさんの話だと、この元カノ…… “ハルカ” って女は、高校の時、黒河マネとつき合っていたことがあるらしく、今回の退職記念パーティーも、『櫻華亭』の名を聞いた途端、進んで幹事を引き受けたってことです」
「――この “ハルカ” って女、打ち合わせの度に黒河マネを呼び出していたみたいですよ。蜂谷支配人そっちのけで黒河マネと打ち合わせをしたがったって」
「彼女、もう結婚していて人妻なんです。でも最近、夫婦仲が上手くいってない、とかで」
「たぶんそれで、元カレの黒河マネに目を付けたんですよ。十年以上も前に別れているのに、今更ヨリを戻そうと迫っているらしくって」
「何てったって今や、世界に進出しようとしているクロカワフーズの次男坊ですからね。旦那と別れた時のことを考えて、唾をつけなおしたってとこですよ」
「それを知った赤坂の木戸穂菜美が、先を越されてたまるかってことで、黒河マネに猛烈アピール! ね、ドロドロでしょ!」
「黒河マネはまさに今、ドロドロ怪人二人から迫られて、ドロドロ沼に片足突っ込みかけているんですよ!」
どや!という文字が顔面いっぱいに描かれた双子兄弟の傍ら、しーん、という大文字が右から左へスクロールしていく。
ドロドロドロドロ……同じ顔、同じ声でドロドロ言われて、杉浦は何だか頭に重油でも注がれたような気がしてきた。
横目で伺えば、牧野夫婦は唖然としたまま絶句し、諸岡は完全に頭を抱えている。……うんわかるよ、俺も頭ん中、重油でタップンタップンさ……
「……なるほど、ね……まぁ、お前らにしちゃあ、実のあるネタだったかな……」
苦笑い交じりの杉浦の言葉を、感心&賞賛の意と解釈したのだろう。双子兄弟は褒めてもらった飼い犬のように尻尾を振った。
「ほら! “そん所そこらのチープなネタ” じゃなかったでしょ?」
「これで “エラスリスのカイ” は俺らのものですよねっ?」
確かに、真偽のほどはさて置いても、いくつかアンダーラインを引いておきたい箇所はあったかもしれない。
杉浦がうーんと思考に耽ったほんのわずかの間に、牧野女史から約束通り “ヴィーニャ・エラスリス・カイ・カルメネール2011” を受け取った小野寺兄弟は、まるで生まれたての赤子を抱くようにしてその場から去って行った。というか本当に帰ってしまったらしい。……どんだけ飲みたいんだ、チリ産ワイン。
何とも言えない気づまりの中、杉浦はちらりと牧野女史に視線を送る。
「……よかったの? アレ、ホントは景品の残りなんかじゃなかったんでしょー?」
「まぁね。本当は統括から幹事のお駄賃でいただいたの。あのワイン、手に入れにくいのは事実だけど、元々の原価はそんなに高くないのよ。だから景品にするにはどうかしらって仰って、なんならあなたたち持って帰りなさい、ってね。でも私も晃治くんもポン酒派だから、そんなにワインの味なんて詳しくないし」
「興味はあったんだけどなー」
夫の晃治が恨みがましく言えば、妻の昭美は「ごめんね」と肩をすくめる。晃治は「ま、いいけどね」と笑って妻の頬をするりと撫ぜて……って何これ、どうでもいいけどさー。
杉浦が心中、ザーザー砂を吐いていると、目の前にコトリとタンブラーが置かれた。
いつの間にか、諸岡がカウンターに行ってもらってきてくれたらしい。
……気が利くじゃんモロオカ氏。ちょうど砂でザラザラしていたところさー。
「……で、杉浦さん。さっきのアレ……どう処理するんですか? スルーできないワードもいくつかありましたよね?」
「さすがはモロちゃん。鋭いねー」
ちび、とタンブラーの中身を舐めて、杉浦はにやりと口端を上げる。
すると、牧野夫婦もラブマーク飛ばしをやめて、杉浦に向き直った。
「そうよ、杉浦くん。あれ、まさか本当じゃないでしょう?」
「あの侑司が不倫なんて……一番しそうにないんですけど?」
夫婦そろって納得いかないという目をこちらに向けるので、杉浦はとぼけた笑みで返す。
ちなみに、牧野晃治は黒河侑司の一つ上なので、一応侑司の先輩にあたる。 “侑司” などと気安く呼んでいるが、侑司と並べば十中八九年下に見られるだろう。
今でこそ厨房で鍛えられワイルドさも身についてきた晃治だが、入社当時は幼く見られがちな可愛いワンコ系男子だった。そのオッサレーな無精ひげも童顔をカバーしたいがため、なんだろうが、クロカワフーズは料理人といえどもロン毛・お髭はご法度、明日の仕事前には剃られる運命だ。……フフン。
「仰る通り、侑司が不倫なんて絶対しそうにないよねー。時間や労力の無駄は一切しない子だからさー。もし仮にするとしたら、それは奪うこと前提で挑んでいるってことだよねー?」
「何それ、じゃあ、してるって言うのっ?」
「い、いや、そうは言ってないでしょー?」
「だったら何なのよっ! 思わせぶりな言い方しないでよっ!」
牧野女史の殴りかかってきそうな勢いに、杉浦は背骨が折れるほどグーンと反り返る。
実は先ほどのツインズ情報、既知の事実もいくつか含まれており、目新しさだけで判定するなら三十点程度(もちろん百点満点中)の価値だろう。
まず、一人目の木戸穂菜美の件だが、納涼会の夜に侑司と二人で人目を忍ぶようにして話をしていたことについては、すでのあの夜、妻の圭乃から聞いていたことだ。その話の内容も後日、当の本人侑司から報告されている。
要は、木戸穂菜美が赤坂店で上手くいっていない――彼女は「苛められている」という表現を使ったようだ――という仕事上の相談を彼女本人から受けたらしい。侑司はその点、曖昧な言葉を使わず濁さず、彼女の口から語られたそのままを、統括以下のマネージャー陣全員に報告している。
以前、ホテル店舗内でそういったスタッフ間における “いじめ” 問題が発生したこともあったので、侑司からの報告後すぐさま、表からも裏からも赤坂に調査の手が入ったのだが、彼女に関して言えば今のところ、不当な扱いをされているだの、苛めを受けているだの、といった明確な事実は上がっていない。逆に、木戸穂菜美の社会人としての未熟さと脆弱さが浮かび上がり、どちらかと言うと迷惑を被っているのは、彼女と一緒に働く赤坂店のスタッフの方だと言えなくもなかった。よって上としては、もうしばらく様子を見る、ということになっている。
ただし、木戸穂菜美が純粋に、仕事の相談だけで侑司と二人きりになったとは思っていない。彼女には、明らかなる侑司への恋心とそれに伴う強い依存心がある。侑司も自分も他のマネージャー陣も、それに気づかないほど朴念仁ではない。
それはさて置くも、仮に小野寺双子の憶測通り、木戸穂菜美が侑司に対し、コクろうが泣きつこうが不倫を責め立てようが、そこは特に心配していない。侑司はうんざりこそすれ、歯牙にもかけないはずだから。
そして二人目、侑司の “元カノ” と称される “ハルカ” という人物について、だが。
これも一部だけはすでに知っていた。赤坂の宴会なのに担当マネージャーでもない侑司を、本社に電話してまで名指しで呼びつける幹事がいる、となれば嫌でも耳に入る。杉浦の知る限り、打ち合わせで呼ばれたのは “何度も” ではなく、一回だけのはずなのだが、いずれにせよこれもマネージャー陣は全員把握している。ただ、その女性が侑司と高校の同級生だったことは初耳だった。
“ハルカ” という名が小野寺弟の口から出たことで、杉浦はなるほどね、と会得した。
――奇妙なタイミングだと思う。ついこないだ、妻の圭乃との間でそんな話が出たばかりじゃないか。侑司が高校の時つき合っていたヒラヒラした女……名前は確か……そう、富田遥香。
その元カノがすでに人妻であるにもかかわらず、今になって侑司とヨリを戻そうとしている……?
まぁ、多少驚かされたことは否定しない。だが、とりあえず今のところは大した重要度でもない。侑司がそれを望むはずがなく、受け入れるはずもないからだ。つーわけで、これも現時点では問題なし。
つまるところ、ドロドロだの不倫だのは小野寺ツインズのフィクションであり、侑司を知っている人間ならば本気で疑うはずもない。にもかかわらず、牧野女史がギャオギャオと杉浦に噛みつき、諸岡が頭を抱えてしまう理由はおそらく、さっきの話の中にはこれっぽっちも出てこなかった人物のことが心配だからで……
「……まぁ牧野さん、あいつらの情報を全部鵜呑みにはしないで下さい。憶測や推論も多少練りこまれていると思います。悪気はないんですけど、昔っから好奇心旺盛で、あちこち首を突っ込んでは引っ掻き回していましたから」
さすがに諸岡は、牧野女史と違って双子兄弟の過剰思考を読めているようだ。
「そっか。諸岡くんは1号2号と大学が一緒だったのよね」
「腐れ縁ですけどね。それはともかく……俺が気になるのは、さっきの話じゃなくて……」
「そーだよねー。三角関係……なんて言うから、誰と侑司と誰が、ってビクビクしちゃったよねー」
何気なく割り込めば、牧野女史がイラッと反応する。
「さぞかし杉浦くんは、色々なことを詳しく、ご存じなんでしょうねぇ?」
「あはは、俺だってそんなに何もかも知ってるわけじゃないさー。首突っ込んで馬に蹴られたくはないしー」
「杉さんって、今更ですけど、俺より性格悪いですよね」
「悪いどころじゃないわよ、サイッテーなヒトデナシよ。私たちだってね、本当はそっとしておいてあげたいの。でも心配でしょうがないの。そういう私たちの気持ちを知ってて人参ぶら下げるようなことするんだもの、人間性疑うわ」
「ちょ、ちょっと、お二人とも……今日はやけに厳しくなーい?」
牧野女史と諸岡の攻撃にタジタジと冷や汗を飛ばせば、黙ってやり取りを聞いていた牧野晃治が「あのさ、」と割って入る。
「その話って……たぶん水奈瀬さんのこと言ってるんだよね? 今日のアレ……侑司とつき合ってるの?」
きょとん、と柴犬みたいな目でその場を見回す晃治は、三人の何とも言えない顔色に気づいて「え、何か問題?」と驚いた。
無邪気な夫の発言に、妻の昭美はどう答えようかと考えあぐねる。
「……んー、何というか、 “まだ” つき合ってはいない、と思う……」
「へぇ、そうなんだ。でも “イイ” 雰囲気あったよね。水奈瀬さん真っ赤になっちゃってたし、侑司だってあんな庇い方したら誤解されるよ」
「そうなのよね……完全に葵ちゃんの肩を抱いてたもんね……ったくあンのオヤジども、余計なことを……ってそれはどうでもいいわ。……葵ちゃんは、そうなんだと、思う……でも、黒河くんは……」
「……俺もよくわかりません。あの人が、何を考えているのか……」
牧野女史と諸岡は、まるで小野寺兄弟のようにシンクロで頭を振った。
『アーコレード』所属のこの二人は、水奈瀬葵と黒河侑司の間にある微妙な距離感や雰囲気を間近で見る機会が多いのだ。気になる気持ちもよくわかる。
確かに、ヤキモキしちゃうよねー、と杉浦も思う。
事実、今現在あの二人は杉浦の期待を大いに裏切って、全く進展なしだ。
一時はこのまま上手くいくような気がしていた。春の人事異動から数か月……わずかながらもその距離を縮めていったように見えた上司と部下。夏の終わりごろ、水奈瀬葵の過去傷を再び浮き上がらせるような大きな動きがあり、侑司もそれに深くかかわったと聞く。何がどうあったのか杉浦も詳しく知らないが(探りを入れたら黙殺された)、少なくとも水奈瀬葵の膿んだ傷を覆っていた瘡蓋は、一度剥がすことに成功したのだと思う。
水奈瀬葵の方に “覚醒” の兆しが見えたのはそのあたりからか。これはいい兆候だと、杉浦も内心ホクホクしたものだ。
ところが、夏が終わり下半期に入った途端、二人の仲はすっかり停頓状態に入ってしまった。
原因はもちろんあのTのつくサイボーグ、黒河侑司。
一体どうしちゃったのか……水奈瀬葵に対してわずかながらでも見せるようになっていた甘さと柔らかさはすっかり消え失せ、その態度は完全なる事務的機械的。『アーコレード』担当になる前の、冷徹無機物鉄面皮に戻ってしまったではないか。
そのくせ、あのレーザー光線のような鋭い双眸は相変わらず。彼女の周りに寄って来る男どもをパワフルスキャンし、場合によっては電熱バリアを張って有害物質を弾こうとする(杉浦も弾かれちゃうことがある)。
――デデンデンデデン。……杉浦には聞こえるあの効果音。日ごと微妙に大きくなっているのは決して気のせいじゃない。
「――でもとりあえず、さっき双子くんたちが言ってた、木戸さんとか元カノの線は “ナイ” んでしょ?」
首を傾げる柴犬夫に、シャム猫妻はうーんと悩ましげな唸り声を上げた。
「黒河くんの元カノについては知らないから何とも言えないけれど? 木戸さんに関してはナイでしょ。少なくとも、私はお勧めしないわね」
「俺もどうかと思います。少なくとも仕事上の評価は最低ですし、社会人としても常識無いですし」
「おや、『アーコレード』所属のお二方、彼女と接点ない割には手厳しいじゃないですか」
杉浦がすかさず突っ込むと、牧野昭美は「まぁね」と苦笑いだ。
「私は晃治くんから色々聞くから。諸岡くんは……大久保から?」
「大久保はあまり言いませんよ。でもこういうのって伝わりますからね。……っていうか、木戸さんって黒河さんに懸想してたんですね。それは知らなかったな」
「諸岡くんって、他は鋭いのに恋愛関係だけは疎いわよね」
「あまり興味ないんですよ」
糸目アルパカの恋愛アンテナ事情はともかく、木戸穂菜美への低評価がここまで広がっていることが嘆息ものだ。不倫だドロ沼だとかいうフィクションネタより、こっちの方が要チェック、なのかもしれない――
「じゃあ問題ないんじゃない? あの二人、両想いってことは確かなんでしょ? だってほら、ハルちゃん言ってたじゃない。レセプションの時、水奈瀬さんが火傷して、侑司がキスしようとしてたって」
晃治の言葉に、杉浦はタイミングよく口つけたタンブラーの中身を噴き出しそうになった。
――キス、だとぅ!?
「うん、アレね。正確には、キス、じゃなかったんだけど……まぁ似たようなもんよ? えっとね……こう、して……」
と、牧野女史は隣の夫の肩をぐいと自分に向け、その顔を覗き込むようにして、彼の前髪をそっと優しくかき上げてみせる。
諸岡が年老いたヤギみたいな声を出した。
「……あま~い……」
「他の奴はともかく、侑司は好きでもない女の子にこんなことしないでしょ。どーです? 杉さん」
再現とはいえ、愛しの妻に触れてもらって晃治はちょっとデレている。杉浦は本気で指をくわえた。
「いいなぁー、俺もその場面見たかったなぁ……」
「ホント、いいモノ見たわー。ちょっとドキドキしちゃったもの。あの頃からかな、私が二人を注意してよく見るようになったのって。……黒河くんってね、葵ちゃんと話をする時の立ち位置が微妙に近いの。わかる? ……葵ちゃんじゃなくて、黒河くんが近づくのよ。自分のパーソナルスペースに入れても苦じゃないのね。……あれたぶん、無意識だと思う」
「……逆に、こっちが彼女に近づくと尋常じゃない殺気が飛んできますけどね」
「え? ナニそれ。殺気?」
「いえ、何でもないです……でもその割には、こないだの会議だって、妙に水奈瀬に対して突き放すような言い方してませんでしたか? アレって何なんですか? 水奈瀬が可哀想ですよ」
「そうなのよ……だからわからないのよ……」
ふーん、よく見てるねー。さすがは牧野女史と諸岡氏。
杉浦は口端を上げて、だいぶ氷で薄まってきたタンブラーの中身をゆらりと回す。
すると顎の薄髭をもてあそびながら、晃治が考え深げに言った。
「……なるほどね。つまりは、両想いってことは確かなのに、侑司は何らかの理由があってその気持ちをセーブしてる……ってことかな? なんか初々しいね。いいんじゃない? そっとしておいてあげれば。上手くいく仲なら自然と上手くいくはずだと俺は思うけど? ねぇ、杉さん?」
振られて杉浦は「そーだねー」と曖昧に笑った。
なーんにもなければね、上手くいくはずなんだけどねー。
トラウマ持ちの男と女。
侑司の本質と水奈瀬葵の本質は、鍵と鍵穴がぴったり合うがごとく、お互いがお互いのためちょうどいい形をしていると、杉浦は思う。時間はかかるかもしれないが、晃治の言う通り、放っておいてもそのうち自然と上手くいくだろう。
金剛石並みにカチコチ頭のTボーグが、どのようなデータベースのもと、どのようなシステム回路を経て自発的制御装置を作動させたのか、純然たるホモサピエンスである杉浦にはわかりかねるが、その腕に彼女を抱く情動を無理矢理抑え込んでいるのは一目瞭然。これだからホンモノの恋愛をしたことがないヤツは……と、ほくそ笑みながら生温かい目で見守ってやるのも一興かな、とは思う。
――だけれども。
「私、失敗したかも……」と呟くシャム猫昭美を、柴犬晃治が「ん?」と覗き込んだ。
「……葵ちゃん、ちょっと元気なかったのよね……木戸さんに何か言われてなきゃいいんだけど……あー、一緒に行かせるんじゃなかったわ……」
「一緒に、って?」
たいして旨いとも思えないタンブラーの液体をチビチビなめながら、シャム猫が柴犬に説明する「葵ちゃんと木戸さんを二人で一緒に新郎新婦の元へ向かわせた件」を聞くともなしに聞いていると、糸目アルパカが杉浦に向いた。
「杉さん……俺、何か嫌な感じがするんですよね……。黒河マネージャーのことは別としても……、なんていうか今、クロカワフーズの中でこう……目に見えない有害なものが、気づかないうちにじわじわと広がっているような」
諸岡の言葉に内心ドキリとしつつ、そこは物慣れたポーカーフェイスでさらりと流す。
「やだなモロちゃん。ガス漏れみたいなこと言わないでよー。何かのきっかけで引火してドッカン!とか? 怖い怖ーい」
己を抱きしめクネクネする杉浦を、諸岡は冷ややかな目で見る。
「火のないところに煙は立たない、って言いますよね、杉さん」
「火のないところの煙でも、火災警報器は鳴るのだよー、モロオカ氏」
まったく……鋭いやつが多くて、杉さん困っちゃう。
どのみちいずれ、すべての社員が知ることになるのだが、とりあえず今はまだオフレコだ。ここで話すわけにはいかない。
不在がちな社長と統括、茂木顧問の引退、控えた人事異動、……そして、密かな内部調査に乗りだした “とある不正疑惑” 問題……諸岡が懸念する通り、確かに今、社内はざわついている。
もしかしたらこういう不穏さをいち早く察知したから、侑司はカッタイ頭なりに考えて、水奈瀬葵と距離を取ろうと思ったのだろうか。
せっかく見つけた愛しい小鹿ちゃんを空砲で追っ払うようなバカな真似……うん、あやつならやっちゃいそうだもんな……
すっかりマズくなってしまったタンブラーを弄びながら、杉浦はぼんやり店内を見渡す。
若さが飛び交う喧噪、賑わい、着飾った男女、非日常の他愛もない駆け引き――
非公式の二次会など興味はなく、本当は早く帰るつもりだった。なのに、つい足が向いた。大人数が集まる場に行けば、少しでも有益な情報が耳を掠るかもしれないと、一抹の期待を抱いたからだ。
だが、そう都合よく情報が転がっているわけもない。小野寺双子が持ってきたネタも無益とは言わないが、杉浦が本当に欲しいのはそれじゃない。
――あれは、何だ。
我知らず何度も反芻してしまうのは、今日のビンゴゲーム――あの時の会場内。
――ほんの一瞬だけ見えた、あの目。
酔っぱらった大御所チームのオッサンたちに冷やかされ、真っ赤になった水奈瀬葵と彼女を守る騎士のように寄り添った黒河侑司……まるでつき合っているかのようにも見えた二人。
そんな二人に人知れず注がれた、ある人物の異様な視線。
野次や冷やかしが飛ぶ人垣のわずかな隙間……それに気づいたのは自分だけかもしれない。
ほんの一瞬だった。杉浦が瞬きした直後、その人物は視線を逸らし騒がしさの中に身を紛れ込ませてしまった。でも、見間違いじゃない。
さすがの杉浦も一瞬ギクリとした、あの目――、あれは。
「……杉さん? 眠いんですか?」
「失礼だな、モロオカ氏。ボカァれっきとした大人なんだぞ。夜はまだまだこれからじゃァないか」
「呂律、回ってないじゃないですか。……そろそろ引き揚げましょうか。牧野さん」
「そうね……ちょっと会計の段取りつけてくるわ」
「おーい、YOUたち、オレっちの話を聞いてるかぃ?」
「杉さん、目がショボってますよ」
「うるさいな柴公め。――ハルミちゃん、ちょっと待って」
「――え?」
立ち上がりかけている牧野女史を、マジ声で呼び止めて、杉浦はもう一度店内を見回した。
入ってきた時より少し人数は減ったようだが、それでもまだ着飾った若い男女が賑やかだ。……そこに不穏な気配は微塵も感じられない。
それでも、杉浦は慎重に周囲を確認して、人差し指を立ててクイクイ、と三人を手招きする。
――あの目。ほんの一瞬だけ、細刀が光を反射するように危うく瞬いたのは。
怪訝な顔で顔を寄せる三人に、杉浦は声を潜めた。
「いやね、ちょっとお願いがあるんだけどね……」
三人はそれぞれ三様の面持ちで顔を見合わせ、もの問いたげに杉浦を見返す。
杉浦は小さく笑って、味もヘッタくれもなくなったタンブラーの中身を飲み干した。
「大したことじゃないよ。……ただこの先、気になったことは俺に知らせて欲しいんだよねー。……どんなに小さなことでもいいから」
火災には火災警報器、ガス漏れにはガス検知機、不穏な予兆には、――信頼できる諜報員。
何かあったわけじゃない、これから何かがあると断定もできない。だから何だ、と言われればそれまでだ。
けれど、モヤモヤする。危険な臭気。よくない兆候だ。油断していると、冗談抜きでドッカンといきそうな、そんな穏やかじゃない予感。
悲しいかな、杉浦のこの手の勘は、外れたためしがない。
「――特に、侑司と葵ちゃん周辺で」
杉浦の目が節穴じゃなければ。
――あれは確かに、 “憎悪” だった。
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