アーコレードへようこそ

松穂

文字の大きさ
98 / 114
第2部

杉浦崇宏のやるせない事後処理係

しおりを挟む
 
 
 スラックスのポケットに手を突っ込んで、杉浦崇宏は気怠く廊下を進む。そして進みながらも、スマートにさりげなく靴音は消す。――我ながら、こういうところがカッコいいと思う。
 目指す部屋の前に着いた杉浦は、素早い動きで身を反転させてドアに張り付いた。耳は空飛ぶ子像並みに肥大させて。
 まさにその時、中からダンッという叩音。次いで響く威勢のいい怒鳴り声――

「――ではなにかねっ、すべては私のせいだと言いたいのかねっ! あやつらが勝手にやったことなど、私が責任を取る謂れはないっ!」

 ――おんやまぁ……あの狸ジジィ、全然こたえてないじゃーん。
 閉まったドアを越えてビンビン飛んでくる凄まじい剣幕に、杉浦は思わず苦笑を漏らす。
 つい数日前、まさにこの部屋の中であのご老体は精根尽き果てたと思ったのだが、やはり一筋縄ではいかぬ老タヌキのようだ。

「――蜂谷や豊島のことなどどうでもいいっ! あの小娘への懲罰はどうなっとるのだっ! 私は暴力を受けたのだぞっ! 挙句にっ、き、君の息子には危うく窒息させられるところだったのだ! だのに今日これまで謝罪の一つさえ無い! 無礼千万にもほどがあるのじゃないかっ?」
 苦笑はすぐにムッとなった。……あンのヤロー、やっぱし侑司を止めるんじゃなかった。
 謝罪を求める前に、お前がアオイちゃんに謝れ! ……と言いたい。
 密かに憤然と口を尖らせた杉浦とは反対に、中から聞こえたもう一つの声は、深く穏やかに響く。
「……手を出した二人にはいずれ謝罪させ、それ相応の処分を与えます。しかし……それ以前に、顧問が水奈瀬店長に対し、彼女の尊厳を貶めるような聞くに堪えがたい暴言を浴びせた……というような報告を受けていますが」
「わ、私は、事実を言ったまでだっ!」
「事実、ですか。……では、もう一度、最初からお聞きになりますか?」
 杉浦の眉がピクリと上がった。……ということは、もう一人の声の主――黒河紀生社長の手の中には、例のICレコーダーがあるのか。……ぬかりないねぇ。
「――紀生君っ! 君は……っ」
 ゴトッと鈍い音。次いで、アゥッという痛そうな悪態。
「……今田さん。落ち着いて下さい。……大丈夫ですよ。ここでの会話は “盗聴” されておりませんから。……ほら、お座りになって下さい」
 しばしの間の後、ドサッと重い音。……世話の焼けるジジィだこと。つーか、オレっちがしっかり盗み聞き、、、、しているけどね。

「――今ここで、貴方の責任を問いたいわけではありません。私が言いたいのは、ホテル店舗から二名の解職者が出てしまった、ということです。先月退職処分になった木戸穂菜美さんを含めれば三名……しかも三名とも役職に就いた重要な立場の人間であった。この非常事態で最も負担を被るのは、残された現場のスタッフなのです」
「――そ、それが理由に、赤坂を閉めると言いたいのか」
「おやおやまったく……どんな噂が飛び回ったことやら……」
 黒河社長の嘆息。そして再びドンッとテーブルを叩くような音。
「――火のないところに煙は立たんっ! 実際そうなのであろうっ! 私を差し置き、FCICの上層部とこそこそコンタクトを取りおってっ! この私に黙って事を進めようなど言語道断も甚だしいっ! 私は絶対認めんぞっ! 認めるものかっ!」
 杉浦はギュッと眉をしかめた。……ここまで唾が飛んできそうだ。

「――今田さん。……赤坂は閉めませんよ」
 静かな声は、烈火の古狸にも動じない。
「赤坂だけでなく、すべての店に於いて閉店は考えておりません。どの店も、多くのスタッフが尽力して創り上げた店です。彼らの大切な場所を奪うなど、できるはずもない」
「ならばっ、FCICのゼネラルと何度も会っていたその理由を説明したまえ! 米国の本社にまで足を運んだそうじゃないかっ! 何か裏工作しているとみなされても文句は言えないのじゃないかねっ?」
「……私はただ、先代の理想としたクロカワフーズの在り方に、もう一度戻りたいだけです」
 杉浦は、音をたてないように小さく身じろぎした。肥大化した耳がピクピクとその先を求めている。
「何を言っとるんだねっ? 先代の意向は十分理解しておる! 『櫻華亭』が築き上げた格式を守り、創り上げた伝統の味を優秀な後継に伝え、『櫻華亭』の名を世界に通じるブランドへとさらに発展させることだろう! そのために我々は常日頃邁進してきたのだっ! いまさら――」
「違います。……違いますよ、今田さん」
「――な、なにが……っ」
「……残念ですね。茂木さんと共に、先代の意志を最も傍で継いだ今田さんともあろう方が、いつの間に根本的な理念のすり替えをなさったのですか」
「す、すり替え、だと……?」
「先代はただひたすらに、愛する “我が子” の幸せを求めておられたんです。……覚えていらっしゃるでしょう? 先代にとっては給仕人も料理人も、皆が “自慢の我が子” でした。 “我が子” の満ち足りた遣り甲斐こそが、先代の理想だったのですよ」
 黒河社長の声に、懐古が見えた。
 先代黒河正治は、黒河紀生の師匠であり義父でもある。病のため現役引退したのはクロカワフーズ設立の数年後と聞いたが、亡くなったのは確か、杉浦がクロカワフーズに入社する数年前だ。

「小さな洋食屋であった『櫻華亭』が世間でほんの少し有名になったのも、そこからクロカワフーズという会社を興せたのも、先代の意志を受け継いだ皆が、共に力を合わせ、懸命に心を込めて客をもてなし続けてきた……それ故の結果です。決して、地位と名誉を求めた、、、、、、、、、結果ではない」
「だ、だが……先代は……『櫻華亭』の価値を、安売りするなど……」
「『アーコレード』は、何も安売りなどしておりませんよ」
 杉浦の口元がつい緩む。黒河紀生の物言いは、まるで思春期の少年を諭すもののようだ。

「――し、しかしっ、あやつらは『櫻華亭』の威光も尊厳も、ことごとく踏みにじっておるのだぞっ? 口にするのも忌々しい慧徳の小娘を始め、渋谷の牧野なぞ、素知らぬ顔でうちの顧客を何人も奪いおって……、恵比寿のあのひょろっこい奴など、私に挨拶もせん! あのふざけた双子もだっ! あのような礼儀のなっておらん輩に、クロカワフーズの役職など務まるものかっ!」

 杉浦はカクンと膝落ちしそうになった。さっきから謝罪だの挨拶だのって……結局、あの御仁が気に入らないのは、ソコか?
 ドアを隔てたツッコミが聞こえたかのように、慇懃に返す黒河紀生の声にはちょっぴりおどけた色が滲んだ。
「それはそれは……わかりました。 “挨拶” については、今一度社員教育を徹底させましょう」
 フン、当然だ……とかなんとか、今田氏のブツブツ。
 拡散してしまった集中力を取り戻すべく、杉浦は足の重心をそっと入れ替えて態勢を整え直す。

「今田さん。……『アーコレード』という名称はね、先代につけていただいたものです。入院先の病院で……亡くなるふた月ほど前のことです」
 深い声が、ドアを越えて緩やかに打ち寄せる。
「……今更ながらに白状いたしますとね、私が『アーコレード』を新事業として展開させたのは、完全に私の我欲が発端です。……が、当時社長という立場にあったといえども、己の情動だけで新事業を起こすにはさすがに迷いもあり……すでに引退されて久しかった入院中の先代を訪ねました。……叱責覚悟で打ち明けた私の話を、先代は黙って聞いたうえで、笑って『新しい店の名は “アーコレード” でどうだ』と仰って下さった」
 今田氏の小さく唸るような声が聞こえた。
「それからずいぶん時間が経ってしまい、先代が存命のうちに『アーコレード』の一号店を開店させることができなかったのは悔やまれますが……私は確信をもって言えますよ。――『アーコレード』の “子供たち” も、先代は間違いなく誇りに思って下さるだろう、とね」
 一旦言葉が切れて、衣擦れの音が微かに鳴った。呼吸するにも気を遣う静寂がしばし。

「……今田さん。『櫻華亭』赤坂店設立を目前にして辞めてしまった、濱野哲矢と柴村美津子を、今でも許せませんか?」
「藪から棒に、な、何を言う――、」
「ご自分を差し置いて、彼らから相談を受けていた茂木さんのことも、許せませんか?」
「……わ、私は――、」
「昔のことを忘れろとは言いません。ただわかっていただきたいのは、あの頃、皆がそれぞれ悩んだのですよ。簡単に答えを出したわけではない。……自分と周りの、現状と未来の狭間で、狂おしく葛藤し何度も天秤にかけ、最善の方法を探し悩んだのです。――それは何故か……仕事も店も、一緒に働く仲間のことも、愛していたからです。どうでもいい存在に悩みは発生しません。好きだからこそ、大切だからこそ、皆が悩み苦しんだ……貴方もそうだったはずです」
「だ、だから、私は――っ、」
「……濱野も美津子さんも、あの当時『櫻華亭』をこよなく愛していました。この私よりもずっとね。そして茂木さんは、貴方を素晴らしい先輩として尊敬されていた……いや、今でも彼はそう思っておいでです。……時期が悪かったのですよ。クロカワフーズ激動の変革期において、小さな誤解やすれ違いを正す機会が失われてしまった……それだけの話です。――そう割り切って、ご自分を雁字搦がんじがらめにしている煩わしいかせを、自ら外してみてはいかがですか?」
「……フンッ……私に説法を垂れる気か……っ」
 憤然とした今田氏の声に対し、くつくつと喉奥で笑うような声。
「まさか。私もまだまだ修練、探求の身です―― “人生” という大きな事業にね。……今田さん……あの頃、我々は若かったと思いませんか? 朝から晩まで厨房に、フロアに立ち、目の前のやるべきことを懸命にこなしながら、その先にある何かに、一端いっぱしの夢や希望を抱いていた。……無邪気なほどに己の可能性を信じ、無謀にも世間というものに期待して。……驚くべきことにね、今田さん。現在のクロカワフーズの中には、あの頃の我々ととてもよく似ている若い者たちが大勢いる。……嬉しいことじゃないですか。先代の口癖であった “愚かで可愛い愛すべき我が子たち” ですよ。……私はあの子たちを、もっともっと磨き上げたい。……ここへ来てようやく、私は先代の信条を理解できたような気がしますよ」
 そして黒河紀生は言う。
 ――我々が歩んできた道のりは、決して間違いではなかった……そう証明してくれるのは、今の、これからの若者たちですよ、今田さん。

 先ほどよりも長い、深い沈黙が訪れた。
 しかし、決して重くない静けさだ。おそらく今、古兵二人の脳裏には、杉浦さえ知る由もない過去の様々な記憶が、次々とフリッピングされているに違いない。
 ようやく流れてきた今田氏の声は、それまでと様子がガラリと変わっていた。
「……茂木は……本当に三月いっぱいで辞めてしまうのか?」
「ええ。……無理を言って長らく引き留めしてしまいましたからね。我々もいい加減、 “茂木さん離れ” をしなければ」
「……濱野の葬儀で、ずいぶん気落ちしておった……」
「貴方も同じくらい、気を落とされているように見えましたよ」
「――フ、フン、私は気落ちなどしておらん……っ」
 ……モゴモゴぶつぶつ。はっきり聞こえないぼやきに、杉浦はある一つの重大な真実を発見し、大いに高揚した。
 ――今田氏よ……御前に “ツンデレたぬき” と命名してしんぜよう……!

 そーかそーか、コンダヌキはツンデレ狸だったのかー、と、一人腕を組んでウンウン頷いていると、中から「さて」と社長が改まった声を出した。
「……今田さんを雁字搦めに拘束していた枷が少し緩んだようなので、私は貴方にこれをお見せします」
「何だ、これは……」
 訝し気な今田氏の声に、社長の穏やかな声が続く。
「今日、慧徳の水奈瀬店長から、統括部長が預かったものです」
 カサリと鳴った乾いた音に、杉浦の心臓が大きく鳴った。だが、さらにピッタリとドアへ擦り付けんばかりにくっついた杉浦は、その先が聞けなかった。

「――……っ!」
 ドアにくっつけているのと逆側の耳がぐいと引かれた。思わず飛び出そうになった叫びを寸でのところで飲み込めたのは奇跡だ。そろそろと顔を向ければ、腰に手を当て仁王立ちする御方――黒河沙紀絵統括部長。
 ジンジンと脈打つ耳を押さえつつ、杉浦は驚愕の眼差しで彼女を仰いだ。
 ……おいおい、このお方はどこからやって来た? 足音も気配も、一ミクロンたりとも感じなかったぞ……!
 半眼で上から見下ろし(杉浦の方が背は高いのだが?)、黒河沙紀絵は黙ったまま、ついてこいとばかりにクイと顎をしゃくって背を向けた。
 ――あんなに高いヒールでなぜに靴音がしないっ? ……妖怪かっ? 物の怪かっ? それとも、魔モノ的生物か……っ!
 先を行く魔女が催促するように振り返る。
 ――くぅぅっ、肝心な場面が、肝心な情報が……!
 しかし、ついて行かねば後が怖い。杉浦は名残惜しい目をドアに向けて、振り切るように魔女を追った。


「――日曜の夜だというのに、わざわざ本社に何の用? 『紫櫻庵』の担当マネージャーはよほど暇を持て余しているようね?」
 開いたエレベーターに乗りこむや否や、冷ややかな皮肉が千本針のように突き刺さる。
「あはは、うちのスタッフってば、みーんな優秀なんでー。……ていうか、前から思ってたんですけどー、社長室のドア、音の透過性が良すぎません?」
 エレベーターの扉が閉まって、杉浦が耳を擦りつつ愛想笑いを浮かべて誤魔化せば、頭上の電光パネルを見上げていた黒河沙紀絵は、横目で杉浦を一瞥した。
「わざとそうしてもらったのよ。ドアも壁もできるだけ薄く、、、、、、、して、中の人の良からぬ計画、、、、、、を事前に察知できるようにしたの」
「なるほど……」
 要は、放浪癖のある社長の動向を逐一把握するための苦肉策、というわけか。あまり効果はなかったみたいですねー、……とも言えない。
 エレベーターはすぐに目的の階へ到着した。降りたのは一階分だけだ。

「……今日、アオイちゃんが本社ここに来たそうですねー。木戸穂菜美も。ユージも」
 開いた扉からさっさと出て行く統括部長の背に向けて、杉浦はつい責めるような口調で尋ねてしまう。
「アオイちゃんとユージ。やっぱり “お咎めあり” なんですかー?」
 すると、先行く魔女は振り返りもせず、苛々とした声だけを返した。
「顧問に対する暴行の件かしら? それとも担当店舗の管理不行届き? 情緒不安定による職務不履行の方?」
「どれも不可抗力ですよ。彼らのせいじゃない。……わかっているくせに意地の悪い」
 拗ねた口を突き出せば、フンと鼻であしらわれた。どうやら魔女様は本当にご機嫌斜めらしい。
「アオイちゃんから、何か預かったんですか?」
 彼女の後を追いつつ、杉浦はなおもしつこく尋ねる。先ほど聞き逃した、その先が気になって仕方ない。
「……まさか、退職処分はないですよね?」
「うちの深刻な人員不足を知っているのでしょう? 貴方こそ、わかっているなら、、、、、、、、訊かないでちょうだい」
「……はい、すんません」
 これ以上追及すればカエルか何かに変身させられそうだ。杉浦は渋々引きさがり、沙紀絵に続いて営業事業部室に入った。
 中にいたのは、ボス席に鎮座するボス徳永のみ。目を通していたらしい書類から顔を上げ、ギロリとその瞳を光らせる。
 ――ゲロゲロ。あの目はお小言確定だ……
 このまま回れ右で帰っちゃおっかなー、とドア付近で躊躇したのもつかの間、統括部長が容赦なく杉浦を呼び込んだ。

「杉浦マネージャー。来週、『紫櫻庵』で大きな宴会の予定はあるかしら?」
「いえ……僕の知る限り、なかったと思いますけど……」
 仕方なく徳永の視線を避けるように室内に進めば、統括部長が一枚の用紙を突きつけてきた。
「じゃあ貴方、明日からしばらく『アーコレード』に回ってちょうだい。渋谷と恵比寿にそれぞれ一件ずつ貸切予約が入っているからそのフォローと……慧徳についている柏木マネージャーの休みを回してもらえると助かるわ。……ああ、ついでに、佐々木チーフの休みもきちんと取れているか確認して」
 何やら、宴会予約の詳細が記されているらしい用紙を受け取りながら、杉浦はポカンと口を開く。
「……え、アオイちゃんは……」
「あれじゃあ、店に立たせられないでしょう。あの子、しばらく有給消化の名目で休ませるから」
 沙紀絵はしれっと告げた。が、あまりにも素っ気ない口調に、何故か背中がひやりとする。
「……休ませるだけ、、、、、、、なんですね?」
 言外に強い警戒を匂わせつつ念押しすると、沙紀絵と徳永が素早く目配せし合う。
 だが、さすが海千山千の彼らは、その本心を杉浦に悟らせるような底の浅い人間ではない。
「さぁ、どうかしら。処分はまだ決定されていないのよ。だけれど――」
 美しき魔女は微笑みとも憤怒ともとれる理解しがたい面容で、その唇を怪しく動かした。

「……出て行こうとする人間をわざわざ引き留めてやるほど、優しくはないの――私も、クロカワフーズもね」


* * * * *


 その夜、杉浦は疲弊しきった身体をズルズル引きずる思いで自宅に帰り着いた。
 ヒマなのでしょう?と『アーコレード』遠征以外にも細々とした面倒事を申し付けられた挙句、案の定、ボス徳永には、あちこちコソコソ嗅ぎまわるな、と叱られる始末。
 大体、徳永は無駄に父性本能が強すぎるのだ。彼もそれなりにワケありの御仁で、生涯独身を貫き子もいないが、生来面倒見のよい気質なのだろう、杉浦や侑司を(時には鶴岡あたりに対しても)甥っ子、もしくは息子のように見ている節がある。
 ビジネスにおいては、そこに温情を交えずクールに物事を捌いていく世才に長けた人物であるのに、一旦仕事を外れれば、ちょっぴり口うるさいオッサンに早変わり。三十半ばの大人に「そこに座れ」とデスクチェアの上に正座させ、懇々とお説教するのはどうかと思うぞブツブツブツ……

 溶けかかったナメクジのような気分で恨み節を唱えつつ、杉浦は玄関のドアを開けた。
 煩わしい仕事のことなど全部忘れて、一刻も早く愛妻と愛娘に癒されたい……へるぷみー、まいはにーたち。
 ところが玄関に入っても、いつもの「おかえりー」という明るい女神の声も、「ぱっぱー」と転がり出てくる天使の声も、ない。
 電気はついている、リビング奥に人の気配もする……なのに、どうした?
 首を傾げつつ靴を脱いだ杉浦は、そこでようやく玄関に揃えられた見覚えのない華奢な皮ブーツに目が留まった。
 本日最大のいや~な予感と共にリビングへ入れば、「あ、おかえり!」と若干慌てた様子の圭乃、そして「ぱっぱ」と口の周りをベッタベタに汚した愛花。ローテーブルの上には、もはや原形をとどめていないショートケーキらしきものの残骸がある。
 こんな時間に愛花がケーキを食べるという珍しい現象の原因は、すぐにわかった。疲れ切った杉浦に止めを刺すダメ押しの刺客が、ソファの上から剣呑な視線を放っている。

「……いらっしゃってたのね……、チーちゃん……」
 顔中をヒクつかせた杉浦に、義妹の立花千尋はソファからすらりと立ち上がり、それはそれは美しく怖ろしい顔で二コリと微笑んだ。
「――待ってたのよ、お義兄さん」
「そ、そうなんだ……?」
 じり、と後ずさった杉浦に、圭乃がすすっと近づいて鞄を受け取る。ついでに「ぱっぱー」と手までクリームまみれにした愛花が抱きつこうとするのを、背後からガッチリ抱き上げた。
 有名女優であり妻の妹である千尋が、微笑みながら一歩一歩と近づいてくる。どちらかと言えば小柄で華奢な体躯のくせに、醸し出す “大物オーラ” は半端ない。
 しかもその美しくも怖ろしい顔は、昼間の統括部長様と驚くほどリンクするではないか。冷や汗を噴き出す杉浦は、そーいえば同じDNAを持っているんだっけねー、と思考逃避してみる。
 するとあろうことかこの女優様、いきなり杉浦のネクタイを掴んで締め上げた。

「ぅぐぇ……っ!」
「――葵ちゃんがクビになるかもしれないってどういうことっ? 皆で寄ってたかって葵ちゃんを責めたのっ? あのグルメサイトに載った中傷記事はデタラメだって証明できたんでしょっ? どうして葵ちゃんがクビにならなきゃいけないのよっ?」
「ちょ、ちょっ、と落ち着こ、うかチ、ぃ、ちゃ……」
 ガクガク揺さぶられて杉浦の脳ミソと頭蓋骨がカタカタと音をたてた。夫の危機だというのに妻はその顔に “興味津々” の文字を貼り付けており、愛花に至ってはキャッキャと手を叩いて喜んでいる。
 ……マナちゃん……パパたち、遊んでいるんじゃないんだよー……
 白目になる杉浦に向かって、千尋は見事な滑舌で機関銃のようにまくし立てた。
「他にも私に黙っていたことがあるでしょうっ! しらを切っても無駄よ私全部聞いたんだからっ! 葵ちゃんを酷く中傷するFAXって何よ、クロカワフーズの店全部に一括送信だなんてそんな馬鹿な話私聞いてないっ! 蜂谷って男は今どこにいるのっ? 崇宏さん居場所知ってるんでしょとっとと吐きなさい教えなさいよっ! そんな下衆男私が血祭りにあげて社会的に抹殺してやるんだからっ!」
「わ、わかった、から……し、死ぬ……」
「チーちゃん、とりあえず手を離してあげてー? タッくん死んじゃうってー」
 とてもとても軽~い口調でたしなめられて、ようやく締め付ける首回りが緩みガクガクが治まった。
「……チーちゃん? その辺のこと、誰から聞いたのかなー?」
 ゲホゲホと咳込んでからやんわり問うてみると、湯気を噴き出しながら仁王立ちしている千尋は「かずくんに聞いたのよっ!」と吼える。
「和史……? なんでまた……」
 怪訝な顔をする杉浦に、千尋は怒りモードそのままに説明した。


 ――今日の昼過ぎのことだ。
 週明けからまた仕事で海外に出る予定の千尋は、捻り出したつかの間の休日を利用し、遅くなってしまった年始の挨拶も兼ねて、祖父の自宅を訪れたのだという。
 千尋の祖父は、著名な映画監督であり、黒河和史侑司兄弟の祖母の兄にあたる人である。かなり高齢ではあるが、いまだ現役で活躍する精気溢れる祖父を、かねてから千尋は尊敬し慕っている。よって今日も、祖父の好きな洋菓子を携え、千尋は意気揚々と祖父の自宅に向かったのである。
 ところが、広い邸宅には先客がいた。又従兄はとこの黒河和史とその新妻の奈々だった。
 和史は兄妹同然の仲なので、久しぶりに会ってもさほど感慨はないが、妻の奈々に会えたのは嬉しかった。彼女が纏うポワポワした雰囲気は、一見、千尋の気性と相反するものに見えがちだが、実はものの見事にくるまれて毒気が抜かれてしまうような心地良いものだ。その辺、侑司の彼女(千尋の中ではすでにそうなっている)、水奈瀬葵と通じるものがあって、黒河兄弟の見る目には感心させられている千尋なのである。
 それはさて置き、二人と出会えた偶然にはしゃぎ、皆でご飯食べに行きましょうよ、という千尋の浮かれた提案を、素気無く退けたのは和史だ。これから他にも行くところがあるのだという。
「えー、ちょっとくらい時間ないの?」と食い下がる千尋に、奈々は和史を説得しかけていたが、和史は頑として譲らない。そういうところは相変わらずだ。
 和史という人間は、柔和で優し気な風貌の割に、その中身は筋金入りのドライ人間だ。千尋自身もかなり現実主義で甘くない性格だという自覚はあるが、この又従兄に関してはさらにその上をいくとみている。興味あるもの以外は基本どうでもいい、という性質で、それに比べれば弟の侑司の方がまだ、他者の心情を察する術に長けているいう事実は、ごく少数の人間しか知らないこと。
 であるから、断られてブスッくれた千尋を、しばし無言で見つめていた和史が、「そうだ、千尋にも教えといてあげるよ」と言って淡々と語った衝撃的事実は、他の誰から聞くよりもリアルに大きな打撃力を持って、千尋を打ちのめしたのだった。


「――私、全部聞いたのよっ! ホテルの店の売り上げが悪いからって、好調な慧徳の店が目障りだからって、今田って顧問と蜂谷って赤坂の支配人が葵ちゃんを呼び出して、葵ちゃんの口から辞職を申し出させようとして二人で責めたてたって……もう少しで暴力を振るわれるところだったって言ってた! しかも沙紀絵小母さんはそれを傍観していたっていうじゃないっ! どうしてそんな酷いことができるのっ? 顧問だから? 赤坂の支配人だから? そんなのパワハラじゃないっ! クロカワフーズという会社を見損なったわっ!」

 ……かぁずぅしぃ~。杉浦は心中恨みがましく歯ぎしりする。
 社長執務室での騒動の時、あの場にいなかった役職は和史だけだ。おそらく後から『紫櫻庵』の手塚支配人か、はたまた麻布の牧野晃治あたりから、あの場で起こった一部始終を聞いたのだろう。
 それはいい。和史があの場に来なかったのは、彼なりの理由を察するのでそこは責めないが、何より腹立たしいのは今の千尋の言葉から察するに、全部、、話していない、、、、、、、ということだ。
「全部聞いたのよ」が聞いて呆れる。どうせ暴露するならマルっと説明してやればいいのに、言葉を端折はしょり、適当なところだけかいつまんだりするから、無用な憶測や詮索、そして不安や誤解を招いて、こういったややこしい事態を引き起こすのだ。
 頼むから、これ以上余計な波を立てて事を荒立てるのはやめてほしい。

「あのね、チーちゃん。ちゃんと説明するからよく聞い――」
「……私のせい……? 私が、慧徳のお店で撮影させてほしい、だなんて我儘を言ったから……」
 今の今まで吼えまくっていた千尋嬢の大きな瞳は、いつの間にかウルウルだ。その見事な変化へんげにうぅっと怯む。……これは演技か? 女優ダマシイってやつか……?
 助けを求めるように圭乃を見れば、クリームまみれになった愛花の手や口を濡れタオルで拭いていた彼女は、夫に向かって「頑張れー」と口パクした。
 杉浦は天井を仰ぎ、目を閉じる。……刻々と減少していく本日の癒し時間は誠に惜しいが、致し方あるまい。
 ぐす、と子供のように鼻を啜る美しき女優様をソファに座らせ、ここでようやくコートを脱ぎネクタイを緩めつつ、杉浦も少々爺むさい呻き声と共に腰を下ろした。

「最初から、順を追って説明しましょうかねー」
「和くんから聞いた」
「あいつが一から十まで懇切丁寧に話をするなんてこと、今まであったー?」
「……ない、かも」
「でしょー? 物事にはちゃんと起承転結があるの。起と結だけならまだしも、あいつは転だけ気まぐれに話して終わるとか日常茶飯事なんだから、それだけを鵜呑みにしちゃダメなのさー」
 千尋は黙って俯いた。
 破天荒な言動で我が道を行く彼女ではあるが、本来この女優様はとても賢い。自分の立場や存在が周囲に及ぼす影響を、十分理解している。
 そもそも、彼女が慧徳の店を気に入ってしまったことをきっかけに、黒河紀生があの貸し切りパーティーを思いつき、オトリ作戦に利用したのだ。和史から話を聞いた千尋はそうした裏事情を素早く察知し、他でもない自分が、水奈瀬葵を窮地に立たせた要因となってしまったことに気づいてしまった。だからこうして、取るものもとりあえず義兄の元へ押しかけたのであろう。

 圭乃に抱かれていた愛花が、小さな口でくわぁっと欠伸した。リビングの壁掛け時計をちらと見上げれば、我が子のいつもの就寝時間はとっくに過ぎている。
 愛花を抱いている圭乃の腕が、ゆっくりとしたリズムで優しく揺らし始め、その様子を見るともなしに眺めつつ、杉浦は義妹のために語った。

 ――大げさに言うならば。
 クロカワフーズに身を捧げた古兵たちの過ちと悔恨。そして、古き因縁に毒されてしまった哀れな人間と、それに立ち向かった勇敢な人間たちの長い長い物語――


* * * * *


 迎えに来たマネージャーの車に乗りこんで、千尋は強張った顔のまま帰っていった。
 日付は変わり、適当に食べて適当にシャワーを浴びて、ようやく杉浦はくったくたにヘナった身体を愛しい妻が眠るベッドの中へ滑り込ませた。愛花はすでに、隣のベビーベッドで熟睡中だ。
 羽毛布団の中で身じろぎした圭乃をそっと抱き寄せれば、その柔らかさと温かさが超即効性鎮静剤のように疲れ切った身体を癒してくれる。
 ふと、小さく囁かれた。
「……ありがとね、タッくん」
 突然押しかけて来て、部外者にもかかわらずクロカワフーズの内情に身体ごと突っ込んでくるような妹を、圭乃なりに申し訳なく思っているのだろう。
 どういたしまして、の代わりに、んん、と鼻先を圭乃の髪に埋め甘えてみる。
 奇襲来訪は勘弁してほしいが、黒河家や立花家の人間の扱いは誰よりも慣れていると自負する杉浦である。ドライに見えて義理人情にあつく、身内に対し冷たくも熱くもなれるああいった性質は、実は嫌いでない。
 髪からこめかみに移る夫の唇を受けながら、圭乃が小さく尋ねた。
「……彼女は、クビになんてならないんでしょう?」
「沙紀絵さんは、そのつもりはないって言ってたよ。ただ――」
 髪を梳いた指で柔らかな頬をなぞり、仄暗い中でこちらを見上げる大きな瞳に、杉浦はちょっと笑って見せた。
「出て行く人間を止めることはできない……、ってさ」
 圭乃の大きな瞳がさらに開かれる。
「……彼女が、辞めちゃう場合も、あるってこと……?」
「うーん、アオイちゃんはどんなことがあっても仕事を投げ出したりはしないよ。それは育ててきた俺が保証する。……でも」
 妻を抱き寄せたまま、最小限に絞った照明が灯る天井を見上げた。
「……ちょっと、色々なことがあり過ぎたのかもしれないな……」

 接客中に泣いてしまった……と聞いた。
 店が危機に陥っても、自分が陰湿な中傷を受けようとも、毅然と顔を上げて進んできた彼女である。けれど、心無い刃は確実に彼女の心的中枢を傷つけていたのだろう。そこへ、濱野氏の訃報が最後の止め刺しとばかりに深く食い込んだ。気丈であろうとした彼女の精神的基軸はぽっきり折れてしまったのだ。
 沙紀絵の言うように、しばらくは店に立つことが難しいかもしれない。
 ――『敦房』があったあの場所で、何もなかったように笑顔を振りまいて接客なんて、今の彼女には酷なことなのかもしれない。

「ねぇ、侑は? ……侑は何をしているの」
「……ユージかぁ……今のユージに、近寄れる奴がいないんだよねー」
 杉浦だって声を大にして叫びたいのだ――お前何してんだよ、アオイちゃんを支えてやれよ、と。
 しかし、水奈瀬葵と同じくらい、侑司も心的損傷を受けている。
 二日前の葬儀では、ここ最近見慣れてしまった削げた顔がさらに血色悪く見えていた。以前から根を詰めていた赤坂や日比谷の内偵調査で疲弊しきっていたところに、濱野氏の訃報がさらなる大きなダメージを与えたのだと思う。
 統括や徳永は、侑司にも数日休暇を与えたいと考えているようだが、支配人不在の赤坂と日比谷のフォローは必須であり、何より当の侑司が休みを拒否っているらしい。
 同じく赤坂と日比谷を回っている鶴岡によると、以前にもまして機械人間と化した侑司は、一切の感情をデリートした上に近寄るなオーラを全方位に放射しており、仕事以外の会話がまったく成立しない状態だという。
 あの鶴岡でさえ腫れ物に触るがごとく接するしかないというのだから、杉浦など目を合わせただけでまたチビッてしまうだろう。

「しかも、それだけじゃなくてさー……社内全体がなーんか、どーんよりしちゃって……」
 さらに気が滅入るのは、濱野氏の訃報による影響が二人だけに止まらないらしいことだ。
 今日聞いた徳永の話によれば、濱野氏を知っている国武や佐々木などの大御所メンバーまでもが、どこか消沈して覇気のない仕事ぶりだという。
 ようやく、クロカワフーズ内部に巣食っていた性質たちの悪い腫瘍を取り除いたというのに、一向に「一件落着めでたしめでたし」の雰囲気にならないとはどういうことなのか。
 正義は勝つ――そんなの嘘っぱちじゃないか。

「結局、俺なんか、肝心な時にナーンにもできないんだよなー……」
 つい愚痴交じりに漏らせば、抱き寄せている妻の身体が少し這い上がり、その腕が伸ばされて杉浦の頬が優しく包み込まれた。
「Time will cure all. ……焦っても仕方ないわ、タッくん」
「……時間が全てを癒す……か。どんだけかかるんだろ」
「みんなの “強さ” を信じてあげて?」
 覗き込まれた瞳に、杉浦を魅了する明るい光が見えた。
 圭乃は嘘をつかない、裏がない。一歩外に出れば、他人の言葉や行動の裏を読み続けてしまう杉浦にとって、唯一の安息場所、心のオアシス。
 満たし満たされたい欲望がふつふつと湧き上がる瞬間である。
 ――愛花……大丈夫、良く寝る子。削られる睡眠時間……大丈夫、俺は強い子。
 杉浦はにやりと笑い、上にもたれる妻と素早く入れ替わって優しく組み敷いた。
「明日、早いんじゃないの?」
「ん。明日は慧徳。俺、しばらく『アーコレード』勤務だから」
 首筋から耳元にかけて甘噛みしながら告げると、圭乃はくすぐったそうに笑う。
「じゃあ、お祖母ちゃんに言っておかなきゃー。しばらくはタッくんが慧徳に出没する可能性ありーって」
「けしからん女スパイだな」
 クスクス笑うその唇を塞いだ時、杉浦の頭の中でひとつ、思い出されること。
 ひとしきり甘やかな唇を堪能して、手はしっかり妻をきながら尋ねてみた。
「ねぇ圭乃…… “アーコレード” ってさ、意味、なんだっけ……」
 圭乃は徐々に下がっていく夫の頭をゆっくりと掻き回し、しなやかにその脚を絡ませる。
「――ああ、 “Accolade” ね……そんな名前の桜の品種があるって、お祖母ちゃんが言ってたな」
「……節子さんが?」
「うん。英語の意味はね…… “栄誉” とか…… “称賛を与える” ……ん……」
 甘い吐息が漏れて、杉浦は「なるほど」と答えつつ、滑らかな肌の起伏を唇でなぞる。

 ―― “栄誉” に “称賛” ……ね。……粋なことしてくれるじゃない? 先代さん。

 病床にあった先代黒河正治が、愛弟子に与えた『アーコレード』という名。彼には、杉浦でさえ舌を巻くほどの、鋭い先見の明、、、、があったらしい。
 とはいえ、心身の浄化と癒しの貴重な時間に、仕事のことなど考えたくはない。杉浦はほんの一瞬だけ、心の中で亡き先代に手を合わせてから、目の前の極上なる柔らかさと温かさに己を沈みこませた。




 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

処理中です...