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第5章
17 相容れない気持ち
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何が良くて何がダメなのか。
私を阻むものはなんなのか。
好意とか善意とか。
受け取って良いのか悪いのか。わけもわからず答えも出ないが、ただ進むしかないと思った。
「ククル!!」
舞い上がった粉塵に目をやられてしまい、雪の視界は茶色く濁っていた。立ち上がるのもきつい。
私を助ける為に、かつての主人との縁を切ろうとしていたククルの気持ちを、私は理解していただろうか?
ナイトメアにお膳立てして、理解のあるように言い訳をしてククルの気持ちを踏みにじった。助かりたいと誰よりも願っていたのは私自身のはずなのに!ククルの決心を無駄にしてしまった。
私は心のどこかでククルを軽く見ていたのではないだろうか?
ククルは人語を話すが獣人だ。外見はきれい。フサフサな毛並みと美人面。やや問題のありそうな性格も口の悪さも許せる美貌だ。
ただの獣人だから、そんな大それたことができるわけがない。
猫の気まぐれ気質を鵜呑みにはできない。一人だと心細いから、猫でもいないよりいた方が良いとか考えていない?新しい主従関係を結んだところでナイトメアがしゃしゃり出て来たりするのではないかとか。名付けなんてすぐには決まらない。
口に出したら不平不満が次から次へと溢れてきた。私の幼稚で浅はかな思考回路が爆発しそうだ。人に優しくされると、コロッと簡単に転がされるくせに、好意を持たれるのは裏があるのではないかと変に勘ぐってしまう。警戒心はやたら高い。矛盾している。そのくせ素直に頷けないのは、無駄に高いプライドのせいか。
獣人だから、猫だから。
感謝はしてもしきれないのに、断ることが前提になってしまった。
それに、ただ、自分だけが助かりたいと思っているわけではないのだ。短い時間でも苦楽を共にしてきたから、離れがたいとは思っている。主従よりも前に、友人になることが先だ。
「ククル!」
ククルの名を呼ぶも、姿は確認できなかった。瞬きをする度にじゃりじゃりと砂が目に入る。
「うぅ~」
口の中もじゃりじゃりだ。舌にまとわりついて喋ろうにもうまく口が回らない。唾液を吐き捨てても口を開く度に砂が入り込んで来た。
粉塵を手で仰ごうにも吹き荒れる風に立っていることもままならなかった。
「ぐっっ!」
雪は足を踏ん張るものの、尻餅をついて後ろにひっくり返った。体を支えようにも食い止めるものが何もないのだ。両手を伸ばしても空を切るばかりで、かいてもかいても岸には辿り着かない。海をひたすら泳いでいるみたいだった。波に煽られては行く手を塞がれ、海水が喉を刺してくる。匂いといい、味といい、目もしみる。ここが海だか砂漠だか、自分が今どこにいるかがわからなくなっていた。かいてもかいても砂は体にまとわりつき、服の上からでも素肌に侵入してきた。
しかも、一歩進めば二歩退がる。左足首に違和感を感じた。一歩進めば二歩退がる。それを延々と繰り返す。ちっとも変わらない周りの景色に雪は吠えた。
「邪魔しないでよ!わたしを行かせてよ!」
一歩進めば左足がぎゅっと締め付けられた。無理に二歩目を進めば、右足にも同じ痛みが生まれた。ティモシーのギザギザした葉が、足首に浮かび上がっていた。
チドリに拘束された時に、怪我の手当てと言われて施された呪いだ。塔の中で足の自由を奪われた。身に覚えはあったが、塔から逃げ出した後はすっかり忘れていた。アンクレットのように輪になって、青々とした内出血が色濃く刻まれていた。
足首を切り落とされるんじゃないかと不安になった。人質や捕虜が逃げ出さないように足を狙うのはよく聞く。私も彼らにとっては捕虜だ。私を滅して「影」を抜こうとしている。記憶も思い出も未練もすべて投げ打ってしまえば楽だろうけど、そうは簡単にはいかない理由がある。
もう迷うな。
「邪魔をしないで!」
雪はかぶりを振って、また一歩前進を試みた。
これがククルの気持ちを蔑ろにした罰なら、せめてこの想いだけは貫こう。それがククルへの謝罪の仕方だ。
進む度にもうダメだとかもう終わりだとかネガティブなことばかり囁く目玉が現れた。最初の森で見た目玉達だ。背後からくる重圧に身の毛がよだつ。すべてはここから始まった。未練とか後悔とか反省すべき点はたくさんあるけれど、ただ生きたいと願うことに、どうしてこれほどまでのプレッシャーを感じなければならないのか。
私に課せられた使命とか運命とか、そんなふって湧いたものに振り回されたくない。
私の問題なのに、私に何の許可も意見も聞かずに話が進んでいった。もうそんなことに振り回されたくない。
そんなものはすべてこの世界だけの理だ!迷い迷っても、答えは変わらなかった。私が私であるためだけに、その条件は飲めない!
雪は己れの内側にある迷いを払うようにぎゅっと目を瞑った。涙と共に押し出された砂塵を、頬に伝う前に拭った。
茶色い涙が鋭気を奮い立たせた。諦めるな。まだ、まだだ。
青々と浮かび上がるティモシーの影が、人の指の形を成していることに雪はまだ気がついていない。さあもう一歩と踏み出したところで異変は起きた。
「どこへ行くんだい」
ぞわりとした。耳の中に囁かれた声は雪の歩みを止めた。思考もだ。ただただ動くのは、心臓と脈拍と背中を滑り落ちる汗の筋だ。何筋も先を急ぐ。目玉達のざわめきよりも深く、酷く冷たい声だった。背筋が凍るとはまさにこのことかと言わんばかりだ。ティモシーの影がにゅっと伸びた。
くるくると回りながらふくらはぎを伝い、膝の上から太ももの上へとロッククライマーのように体の節を辿りながら上へ上へと登った。雪は腹の下で起きている現象に身動きができずにいた。何か異様なことが起きているとしかわからなかった。異様で異質なヒルのように粘着した物体が、雪の体を占拠しようとしている。姿は見えなくもそんな気がして仕方がなかった。腰に一周くるりと巻きついた。そこを支点に腹や胸をなぞり、鎖骨の窪みを楽しむように左右に動いた。
雪が悲鳴に近い声を発する前に、影は人の形を成した。
輪郭はほとんど無く、顔のパーツもわからない。影絵のようにゆらりゆらりと動く物体はナイトメアのように見えた。あの者にも体がなかった。徐々に固まりつつあった体はどうなったのだろうと思った。だが、その正体は、雪にとっては忌まわしき人物だった。出来ることならもう二度と会いたくなかった人物だ。
「…やぁ。久しぶりだね」
舌先で混ざり合う唾液をねっとりと絡ませてから発したような声に、雪は直立不動になった。
もう逃げないと決めたばかりだったが、今すぐに前言撤回をして逃げ出したい気持ちになった。
ティモシーの影からチドリが出てきた。ほぼゼロ距離に現れたチドリに雪は声を失った。チドリは病院着のような薄手の前合わせの衣服を着ていた。白い布地に淡い緑の軽やかなステッチが刺繍されていた。
呆然と凝視していた目線が重なった。
「…どう…して」
ようやく雪も声を出した。こんなこと信じられないといった口ぶりだ。
「元気そうで何よりだ。影付きさん」
チドリは雪の腰に手を置いて抱き寄せた。
「やめて!離して!」
雪はチドリから顔を横に背けて叫んだ。
「耳元で大声出さないでくれよ。鼓膜が破れる。難聴にでもなったらどうしてくれるんだい?」
「そんなの知るか!離せ!離して!!」
雪は、淡々としているチドリに苛立つばかりだった。
こんなことありえない!
もう二度と会いたくなかったのに!!
体中の細胞がざわめき出しているのがわかった。滅しろ滅しろと目玉達が騒いでいる。
血が滾る。心の奥から逃げたいと訴えていた。
何が良くて何がダメなのか。
私を阻むものはなんなのか。
好意とか善意とか。
受け取って良いのか悪いのか。わけもわからず答えも出ないが、ただ進むしかないと思った。
「ククル!!」
舞い上がった粉塵に目をやられてしまい、雪の視界は茶色く濁っていた。立ち上がるのもきつい。
私を助ける為に、かつての主人との縁を切ろうとしていたククルの気持ちを、私は理解していただろうか?
ナイトメアにお膳立てして、理解のあるように言い訳をしてククルの気持ちを踏みにじった。助かりたいと誰よりも願っていたのは私自身のはずなのに!ククルの決心を無駄にしてしまった。
私は心のどこかでククルを軽く見ていたのではないだろうか?
ククルは人語を話すが獣人だ。外見はきれい。フサフサな毛並みと美人面。やや問題のありそうな性格も口の悪さも許せる美貌だ。
ただの獣人だから、そんな大それたことができるわけがない。
猫の気まぐれ気質を鵜呑みにはできない。一人だと心細いから、猫でもいないよりいた方が良いとか考えていない?新しい主従関係を結んだところでナイトメアがしゃしゃり出て来たりするのではないかとか。名付けなんてすぐには決まらない。
口に出したら不平不満が次から次へと溢れてきた。私の幼稚で浅はかな思考回路が爆発しそうだ。人に優しくされると、コロッと簡単に転がされるくせに、好意を持たれるのは裏があるのではないかと変に勘ぐってしまう。警戒心はやたら高い。矛盾している。そのくせ素直に頷けないのは、無駄に高いプライドのせいか。
獣人だから、猫だから。
感謝はしてもしきれないのに、断ることが前提になってしまった。
それに、ただ、自分だけが助かりたいと思っているわけではないのだ。短い時間でも苦楽を共にしてきたから、離れがたいとは思っている。主従よりも前に、友人になることが先だ。
「ククル!」
ククルの名を呼ぶも、姿は確認できなかった。瞬きをする度にじゃりじゃりと砂が目に入る。
「うぅ~」
口の中もじゃりじゃりだ。舌にまとわりついて喋ろうにもうまく口が回らない。唾液を吐き捨てても口を開く度に砂が入り込んで来た。
粉塵を手で仰ごうにも吹き荒れる風に立っていることもままならなかった。
「ぐっっ!」
雪は足を踏ん張るものの、尻餅をついて後ろにひっくり返った。体を支えようにも食い止めるものが何もないのだ。両手を伸ばしても空を切るばかりで、かいてもかいても岸には辿り着かない。海をひたすら泳いでいるみたいだった。波に煽られては行く手を塞がれ、海水が喉を刺してくる。匂いといい、味といい、目もしみる。ここが海だか砂漠だか、自分が今どこにいるかがわからなくなっていた。かいてもかいても砂は体にまとわりつき、服の上からでも素肌に侵入してきた。
しかも、一歩進めば二歩退がる。左足首に違和感を感じた。一歩進めば二歩退がる。それを延々と繰り返す。ちっとも変わらない周りの景色に雪は吠えた。
「邪魔しないでよ!わたしを行かせてよ!」
一歩進めば左足がぎゅっと締め付けられた。無理に二歩目を進めば、右足にも同じ痛みが生まれた。ティモシーのギザギザした葉が、足首に浮かび上がっていた。
チドリに拘束された時に、怪我の手当てと言われて施された呪いだ。塔の中で足の自由を奪われた。身に覚えはあったが、塔から逃げ出した後はすっかり忘れていた。アンクレットのように輪になって、青々とした内出血が色濃く刻まれていた。
足首を切り落とされるんじゃないかと不安になった。人質や捕虜が逃げ出さないように足を狙うのはよく聞く。私も彼らにとっては捕虜だ。私を滅して「影」を抜こうとしている。記憶も思い出も未練もすべて投げ打ってしまえば楽だろうけど、そうは簡単にはいかない理由がある。
もう迷うな。
「邪魔をしないで!」
雪はかぶりを振って、また一歩前進を試みた。
これがククルの気持ちを蔑ろにした罰なら、せめてこの想いだけは貫こう。それがククルへの謝罪の仕方だ。
進む度にもうダメだとかもう終わりだとかネガティブなことばかり囁く目玉が現れた。最初の森で見た目玉達だ。背後からくる重圧に身の毛がよだつ。すべてはここから始まった。未練とか後悔とか反省すべき点はたくさんあるけれど、ただ生きたいと願うことに、どうしてこれほどまでのプレッシャーを感じなければならないのか。
私に課せられた使命とか運命とか、そんなふって湧いたものに振り回されたくない。
私の問題なのに、私に何の許可も意見も聞かずに話が進んでいった。もうそんなことに振り回されたくない。
そんなものはすべてこの世界だけの理だ!迷い迷っても、答えは変わらなかった。私が私であるためだけに、その条件は飲めない!
雪は己れの内側にある迷いを払うようにぎゅっと目を瞑った。涙と共に押し出された砂塵を、頬に伝う前に拭った。
茶色い涙が鋭気を奮い立たせた。諦めるな。まだ、まだだ。
青々と浮かび上がるティモシーの影が、人の指の形を成していることに雪はまだ気がついていない。さあもう一歩と踏み出したところで異変は起きた。
「どこへ行くんだい」
ぞわりとした。耳の中に囁かれた声は雪の歩みを止めた。思考もだ。ただただ動くのは、心臓と脈拍と背中を滑り落ちる汗の筋だ。何筋も先を急ぐ。目玉達のざわめきよりも深く、酷く冷たい声だった。背筋が凍るとはまさにこのことかと言わんばかりだ。ティモシーの影がにゅっと伸びた。
くるくると回りながらふくらはぎを伝い、膝の上から太ももの上へとロッククライマーのように体の節を辿りながら上へ上へと登った。雪は腹の下で起きている現象に身動きができずにいた。何か異様なことが起きているとしかわからなかった。異様で異質なヒルのように粘着した物体が、雪の体を占拠しようとしている。姿は見えなくもそんな気がして仕方がなかった。腰に一周くるりと巻きついた。そこを支点に腹や胸をなぞり、鎖骨の窪みを楽しむように左右に動いた。
雪が悲鳴に近い声を発する前に、影は人の形を成した。
輪郭はほとんど無く、顔のパーツもわからない。影絵のようにゆらりゆらりと動く物体はナイトメアのように見えた。あの者にも体がなかった。徐々に固まりつつあった体はどうなったのだろうと思った。だが、その正体は、雪にとっては忌まわしき人物だった。出来ることならもう二度と会いたくなかった人物だ。
「…やぁ。久しぶりだね」
舌先で混ざり合う唾液をねっとりと絡ませてから発したような声に、雪は直立不動になった。
もう逃げないと決めたばかりだったが、今すぐに前言撤回をして逃げ出したい気持ちになった。
ティモシーの影からチドリが出てきた。ほぼゼロ距離に現れたチドリに雪は声を失った。チドリは病院着のような薄手の前合わせの衣服を着ていた。白い布地に淡い緑の軽やかなステッチが刺繍されていた。
呆然と凝視していた目線が重なった。
「…どう…して」
ようやく雪も声を出した。こんなこと信じられないといった口ぶりだ。
「元気そうで何よりだ。影付きさん」
チドリは雪の腰に手を置いて抱き寄せた。
「やめて!離して!」
雪はチドリから顔を横に背けて叫んだ。
「耳元で大声出さないでくれよ。鼓膜が破れる。難聴にでもなったらどうしてくれるんだい?」
「そんなの知るか!離せ!離して!!」
雪は、淡々としているチドリに苛立つばかりだった。
こんなことありえない!
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