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第5章
24 失くしたものの代償
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リュリュトゥルテの花びらが消えても、民衆の数は減るどころか増える一方だった。祭のような状態が続いていた。神殿の周りには、一目巫女に会いたい、リュリュトゥルテを見たいと近隣の住民達や商人が押し寄せていた。
無論、敷地内には入りきれないので、森の外には村のような集落ができていた。その多くは商人達で、皆各々に持ち寄った商品を並べていた。
「巫女様に極上の絹の織物を!」
「いやいや、私どもが磨きあげた宝石を!」
「美味しい蜂蜜を!美味い酒を!」
と、我も我よと集まっていた。巫女様の奇跡を!と要求する声もあった。天冠が下ったと言われてもその姿さえ未だ披露してなかった。巫女下がりから一転して、天冠の巫女に人々の興味はますます注がれた。
「…いい気なもんだ」
巫女の誕生の裏で、影付きの処刑が執行されたことは、ここにいる民衆の誰一人として知らない。
窓の外を眺めてはディルは深いため息をついた。出窓に座り込み、足を伸ばしていた。半袖の服から覗く手足には包帯やら傷どめテープやらが無数に張り付いていた。塔の中での戦闘で血だらけになったのだ。大慌てで、ぼくに手当てをしてくれた人がいたけれど、それは全部返り血だった。チドリとか言う神官の手を、どうにか雪から払いのけたくて必死になっていた。こいつが雪を攫い、シャドウとマリーを傷付けた張本人だと知ったら抑えがきかなかった。
この牙と両爪で人を切り裂いたのだ。未だ受け入れられない獣人の姿で。
ディルは両手を見つめた。全ての指に包帯が巻かれ、爪は全部割れていた。口の中は切れていて錆びた鉄の味を直に感じていた。悪いやつを懲らしめてやったから、これは正義だとか言うわけじゃない。血が欲しいわけじゃない。肉が欲しいわけじゃない。仲間を助けるための行為で、「善」か「悪」かなどわかるわけがなかった。衝動的な行動だったにせよ、体には肉を断つ感触が生々しく染み込んでいた。
「くそ…」
ディルは膝を抱えて俯いた。
結果として、チドリから雪は解放されたのだけど、その姿は二度と見ることはできなかった。
シャドウの体の死角に入り、見えたのは毛先とだらりと力尽きた腕だけだった。
シャドウの声だけがやたら響いていた。焦り、嘆き、怒りの感情の起伏が間髪いれずに流れ込んで来た。途中、雑音がひどくて聞き取れなくなったと思っていたら、あっという間に目の前が真っ白になった。夥 しいほどの花びらに空間は丸呑みされた。そして音も立てずに風に飛ばされていった。雪の姿もろとも消えた。
今まで花を憎いと思ったことは一度もなかった。特に興味はなくとも、季節折々の花を愛でるぐらいはした。華やかさ、可憐さはわかる。贈り物にも喜ばれる。そういえば母さんは花が好きだった。いつも部屋には何かしら活けていた。香水とは違う軽やかな自然な香りは心地良かった。
ただ今は、どの花も見るのも触るのも嫌だ。花は雪を消し、シャドウを絶望に追い込んだ。
ディルは包帯だらけの拳で壁を殴り飛ばした。
「…痛え」
無力なままの自分を許せずにいた。
「ディルくん」
ひょっこりと顔を出して、サリエが部屋に入って来た。
お盆に乗せたスープ皿の表面が揺らめいた。
「…ねえさん」
ディルは、サリエに顔を向ける前に鼻をすすり、目を擦りあげた。ズルズルと鼻濁音が残った。
「具合どう?」
「うん」
「何にも無いんだけど、スープを作ったから食べて」
貯蔵庫にあった野菜を細かく切って煮込んだスープ。野菜のダシがよく溶けていて、シンプルだけど深い味わいになっており、ひとつまみの塩がより甘さを引き立たせていた。
「…お腹空いてないよ」
「そう言うと思っていたけど、少しくらい食べてよ」
サリエはそこまでは言ったが、口元に運ぶまではしなかった。気が向いたら食べてと初めから諦めていたようだ。
テーブルの上に置かれた皿から、白い湯気が上って行くのが見えた。
「シャドウは…どうしてる?」
ディルは窓の外をぼんやりと眺めた。長蛇の列は未だ消えていない。
「…うん」
サリエは困ったように頷くだけに留まった。
「…ソインが毎日お見舞いに来てくれているの。食事の世話や外の様子を話してくれる。声は聞こえているようなんだけど、返事はしてくれない。食事も全然」
摂らないとサリエは首を横に振った。シャドウはあの日からずっと口を噤み、感情を殺した。
「そっか」
悲しいのはシャドウだけではないと言いたかったが、ディルは言葉を飲み込んだ。悲しさの度合いが違う。ディルもまた、あの日以来シャドウに会っていない。会えば悲しみが湧き上がってくる。憎しみに変化して傷口を抉ってしまうかもしれない。誰が悪いのか明白なのに的を絞れないでいた。
「…ごめんなさいね」
サリエは気まずそうにディルから視線を逸らした。
「ねえさんに謝られても困るよ」
ディルは軽く笑った。
でも元を正せばサリエにも原因がある。
それでも、この人を責める気にはなれない。何にもできなかった自分が、何を責めるというのか?責めれば責めるだけ己れの無力さが露呈されるだけだ。
「きみも考えすぎないようにね」
サリエはディルの頭を撫でた。髪を梳くようにさらりと。銀髪が揺れた。
「…ねえさんもね」
精一杯の慰めだ。
誰も傷つかない戦闘などないのだ。今回は特に、誰もが悲しみの渦中にいる。失くしたものが多すぎた。仲間と家族。そして、信頼。正義とはなにかを考えさせられる。
「ありがとう」
サリエは目尻を抑えて流れようとしていた涙を止めた。
「…あと、これは、ディルくんに言うのもどうか迷ったんだけど」
「何?」
「…チドリが目を覚ましたわ」
「ああ、そう…」
その名前に反応はしたものの、感情は動かなかった。
「ディルくんには良い知らせじゃなかったわね」
サリエは気まずそうに肩をすぼめた。
「何言ってんだよ、良い知らせだよ!ぼくは人殺しになるとこだったじゃん!意識戻ったって?イェーイ!」
万歳と両手を上げ、はしゃぐ仕草を見せても棒読みだ。
感情は1ミリも動いていない。
死なせずに済んだのは良いことだけれど、喜びとは別だ。
「シャドウには伝えた?」
「…いいえ。まだよ」
「言わなくていいよ。今はまだ」
失ったものは戻らない。友情もその一つだ、
「そう…ね。そうよね」
「ぼくらには複雑ではあるけど、ねえさんにとっては良い話でしょう?良かったねって噛み締めててよ。…自分の心の中でさ」
労わりではない。表に出すなと釘を刺したのだ。決して喜べない朗報もある。少なくともぼくらの前では。
「…やっぱり、聞きたくないわよね」
「…ごめん。まだガキなんだよ」
人の幸せを喜べない弱さ。余裕がない。
「いいのよ」
私が悪かったわとサリエは深く頭を下げ、ディルの前から姿を消した。
サリエの後ろ姿を見送って、また視線を下に向けた。
「ねえさんに当たるなんて…あの人だって被害者だろ」
裏切りは深く心にこびりつく。どんなに刮げ落とそうとしても剥がれ落ちることはない。
何が正義で、何が悪か。この結果に誰が納得するというのか。
「でも…、だからってなあ、、」
ディルは立ち上がり拳を握った。
「ぼくだって言いたいことがある!黙っていられないこともあるんだ!」
誰にも言えなかった胸の内をディルは独り言のように叫んだ。
「ぼくだってあいつが急にいなくなって泣く権利があるんだよ!!」
声を荒げてディルは走った。ディルの脳裏には、力及ばずに助けられなかった彼の国の迷い人が浮かんだ。人を犬扱いした慇懃無礼な生意気女。ぼくの正体を知っても物怖じしなかった。変なところで真面目で気が強い。でも迷いだしたらキリがない。他人にばかり気を遣い、自分のことは御構いなしだ。笑って泣いて怒ってと忙しいやつだった。最後に顔を合わせたのはいつだ?
いつも振り返ると姿がない。ぼくの体は小さくてあいつを抱えられるほど体力がない。シャドウにはそれができる。いつしか2人の気持ちが繋がっていたのなら、あいつを守るのもシャドウの役目の筈だ。
「何いつまでもグジグジしてるんだ!1人で泣いて、1人だけ傷ついたみたいな顔してふざけんな!」
走り込んだ先にはソインがいた。シャドウの側で甲斐甲斐しく世話をしていた。手に持っていた水差しが床に落ち、足元を濡らした。
「ちょっとディルくん!?」
なんだよもう、とソインは困惑顔でディルを見つめた。
「ずるいんだよシャドウは!!」
ディルはベッドにもたれかかっていたシャドウに馬乗りになって胸ぐらを掴んだ。
「あいつを大事に想ってたのは、ぼくだって同じなんだよ!あいつは、雪は、ぼくが獣人だと言っても態度が変わらず接してくれた人なんだ!そんな人をむざむざ失くして、悲しくないわけないだろ!!」
掴み上げた手が震え出した。悔しさと悲しさが同時に溢れて来た。こみ上げて来た涙にシャドウはようやく口を開いた。
「…ディル。…すまない。オレは、雪を守れなかった…」
言葉少なめに呟いたシャドウの目にも涙が潤んで来た。
「…雪、雪」
いつしか脳裏によぎった情景を思い出した。白い花にかき消された姿は二度と戻らなかった。
リュリュトゥルテの花びらが消えても、民衆の数は減るどころか増える一方だった。祭のような状態が続いていた。神殿の周りには、一目巫女に会いたい、リュリュトゥルテを見たいと近隣の住民達や商人が押し寄せていた。
無論、敷地内には入りきれないので、森の外には村のような集落ができていた。その多くは商人達で、皆各々に持ち寄った商品を並べていた。
「巫女様に極上の絹の織物を!」
「いやいや、私どもが磨きあげた宝石を!」
「美味しい蜂蜜を!美味い酒を!」
と、我も我よと集まっていた。巫女様の奇跡を!と要求する声もあった。天冠が下ったと言われてもその姿さえ未だ披露してなかった。巫女下がりから一転して、天冠の巫女に人々の興味はますます注がれた。
「…いい気なもんだ」
巫女の誕生の裏で、影付きの処刑が執行されたことは、ここにいる民衆の誰一人として知らない。
窓の外を眺めてはディルは深いため息をついた。出窓に座り込み、足を伸ばしていた。半袖の服から覗く手足には包帯やら傷どめテープやらが無数に張り付いていた。塔の中での戦闘で血だらけになったのだ。大慌てで、ぼくに手当てをしてくれた人がいたけれど、それは全部返り血だった。チドリとか言う神官の手を、どうにか雪から払いのけたくて必死になっていた。こいつが雪を攫い、シャドウとマリーを傷付けた張本人だと知ったら抑えがきかなかった。
この牙と両爪で人を切り裂いたのだ。未だ受け入れられない獣人の姿で。
ディルは両手を見つめた。全ての指に包帯が巻かれ、爪は全部割れていた。口の中は切れていて錆びた鉄の味を直に感じていた。悪いやつを懲らしめてやったから、これは正義だとか言うわけじゃない。血が欲しいわけじゃない。肉が欲しいわけじゃない。仲間を助けるための行為で、「善」か「悪」かなどわかるわけがなかった。衝動的な行動だったにせよ、体には肉を断つ感触が生々しく染み込んでいた。
「くそ…」
ディルは膝を抱えて俯いた。
結果として、チドリから雪は解放されたのだけど、その姿は二度と見ることはできなかった。
シャドウの体の死角に入り、見えたのは毛先とだらりと力尽きた腕だけだった。
シャドウの声だけがやたら響いていた。焦り、嘆き、怒りの感情の起伏が間髪いれずに流れ込んで来た。途中、雑音がひどくて聞き取れなくなったと思っていたら、あっという間に目の前が真っ白になった。夥 しいほどの花びらに空間は丸呑みされた。そして音も立てずに風に飛ばされていった。雪の姿もろとも消えた。
今まで花を憎いと思ったことは一度もなかった。特に興味はなくとも、季節折々の花を愛でるぐらいはした。華やかさ、可憐さはわかる。贈り物にも喜ばれる。そういえば母さんは花が好きだった。いつも部屋には何かしら活けていた。香水とは違う軽やかな自然な香りは心地良かった。
ただ今は、どの花も見るのも触るのも嫌だ。花は雪を消し、シャドウを絶望に追い込んだ。
ディルは包帯だらけの拳で壁を殴り飛ばした。
「…痛え」
無力なままの自分を許せずにいた。
「ディルくん」
ひょっこりと顔を出して、サリエが部屋に入って来た。
お盆に乗せたスープ皿の表面が揺らめいた。
「…ねえさん」
ディルは、サリエに顔を向ける前に鼻をすすり、目を擦りあげた。ズルズルと鼻濁音が残った。
「具合どう?」
「うん」
「何にも無いんだけど、スープを作ったから食べて」
貯蔵庫にあった野菜を細かく切って煮込んだスープ。野菜のダシがよく溶けていて、シンプルだけど深い味わいになっており、ひとつまみの塩がより甘さを引き立たせていた。
「…お腹空いてないよ」
「そう言うと思っていたけど、少しくらい食べてよ」
サリエはそこまでは言ったが、口元に運ぶまではしなかった。気が向いたら食べてと初めから諦めていたようだ。
テーブルの上に置かれた皿から、白い湯気が上って行くのが見えた。
「シャドウは…どうしてる?」
ディルは窓の外をぼんやりと眺めた。長蛇の列は未だ消えていない。
「…うん」
サリエは困ったように頷くだけに留まった。
「…ソインが毎日お見舞いに来てくれているの。食事の世話や外の様子を話してくれる。声は聞こえているようなんだけど、返事はしてくれない。食事も全然」
摂らないとサリエは首を横に振った。シャドウはあの日からずっと口を噤み、感情を殺した。
「そっか」
悲しいのはシャドウだけではないと言いたかったが、ディルは言葉を飲み込んだ。悲しさの度合いが違う。ディルもまた、あの日以来シャドウに会っていない。会えば悲しみが湧き上がってくる。憎しみに変化して傷口を抉ってしまうかもしれない。誰が悪いのか明白なのに的を絞れないでいた。
「…ごめんなさいね」
サリエは気まずそうにディルから視線を逸らした。
「ねえさんに謝られても困るよ」
ディルは軽く笑った。
でも元を正せばサリエにも原因がある。
それでも、この人を責める気にはなれない。何にもできなかった自分が、何を責めるというのか?責めれば責めるだけ己れの無力さが露呈されるだけだ。
「きみも考えすぎないようにね」
サリエはディルの頭を撫でた。髪を梳くようにさらりと。銀髪が揺れた。
「…ねえさんもね」
精一杯の慰めだ。
誰も傷つかない戦闘などないのだ。今回は特に、誰もが悲しみの渦中にいる。失くしたものが多すぎた。仲間と家族。そして、信頼。正義とはなにかを考えさせられる。
「ありがとう」
サリエは目尻を抑えて流れようとしていた涙を止めた。
「…あと、これは、ディルくんに言うのもどうか迷ったんだけど」
「何?」
「…チドリが目を覚ましたわ」
「ああ、そう…」
その名前に反応はしたものの、感情は動かなかった。
「ディルくんには良い知らせじゃなかったわね」
サリエは気まずそうに肩をすぼめた。
「何言ってんだよ、良い知らせだよ!ぼくは人殺しになるとこだったじゃん!意識戻ったって?イェーイ!」
万歳と両手を上げ、はしゃぐ仕草を見せても棒読みだ。
感情は1ミリも動いていない。
死なせずに済んだのは良いことだけれど、喜びとは別だ。
「シャドウには伝えた?」
「…いいえ。まだよ」
「言わなくていいよ。今はまだ」
失ったものは戻らない。友情もその一つだ、
「そう…ね。そうよね」
「ぼくらには複雑ではあるけど、ねえさんにとっては良い話でしょう?良かったねって噛み締めててよ。…自分の心の中でさ」
労わりではない。表に出すなと釘を刺したのだ。決して喜べない朗報もある。少なくともぼくらの前では。
「…やっぱり、聞きたくないわよね」
「…ごめん。まだガキなんだよ」
人の幸せを喜べない弱さ。余裕がない。
「いいのよ」
私が悪かったわとサリエは深く頭を下げ、ディルの前から姿を消した。
サリエの後ろ姿を見送って、また視線を下に向けた。
「ねえさんに当たるなんて…あの人だって被害者だろ」
裏切りは深く心にこびりつく。どんなに刮げ落とそうとしても剥がれ落ちることはない。
何が正義で、何が悪か。この結果に誰が納得するというのか。
「でも…、だからってなあ、、」
ディルは立ち上がり拳を握った。
「ぼくだって言いたいことがある!黙っていられないこともあるんだ!」
誰にも言えなかった胸の内をディルは独り言のように叫んだ。
「ぼくだってあいつが急にいなくなって泣く権利があるんだよ!!」
声を荒げてディルは走った。ディルの脳裏には、力及ばずに助けられなかった彼の国の迷い人が浮かんだ。人を犬扱いした慇懃無礼な生意気女。ぼくの正体を知っても物怖じしなかった。変なところで真面目で気が強い。でも迷いだしたらキリがない。他人にばかり気を遣い、自分のことは御構いなしだ。笑って泣いて怒ってと忙しいやつだった。最後に顔を合わせたのはいつだ?
いつも振り返ると姿がない。ぼくの体は小さくてあいつを抱えられるほど体力がない。シャドウにはそれができる。いつしか2人の気持ちが繋がっていたのなら、あいつを守るのもシャドウの役目の筈だ。
「何いつまでもグジグジしてるんだ!1人で泣いて、1人だけ傷ついたみたいな顔してふざけんな!」
走り込んだ先にはソインがいた。シャドウの側で甲斐甲斐しく世話をしていた。手に持っていた水差しが床に落ち、足元を濡らした。
「ちょっとディルくん!?」
なんだよもう、とソインは困惑顔でディルを見つめた。
「ずるいんだよシャドウは!!」
ディルはベッドにもたれかかっていたシャドウに馬乗りになって胸ぐらを掴んだ。
「あいつを大事に想ってたのは、ぼくだって同じなんだよ!あいつは、雪は、ぼくが獣人だと言っても態度が変わらず接してくれた人なんだ!そんな人をむざむざ失くして、悲しくないわけないだろ!!」
掴み上げた手が震え出した。悔しさと悲しさが同時に溢れて来た。こみ上げて来た涙にシャドウはようやく口を開いた。
「…ディル。…すまない。オレは、雪を守れなかった…」
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