冤罪で魔法学園を追放された少年はいかにして世界最強の闇魔道士になったか

忍者の佐藤

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リーザ先生の特訓

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 こんな話がある。

 とある木こりが斧で木を切っていた。そこに一人の旅人が通り掛かり、木こりの様子を見ていたのだが、どうやら思ったように切れていない。

 よく見ると木こりの振るっている斧はボロボロで、刃こぼれしているようだった。そこで旅人は木こりにこう言った。

「一度手を止めて、斧を研いだ方が良いんじゃないか?」

 すると木こりはこう返した。

「いえいえ旅人さん。私は木を切る事が忙しくて、斧を研ぐ時間なんてありませんよ」





 そう。今の俺に大切なのは斧を研ぐ事。確かに第二自警団の一件は気になるし、ジャンヌの事も心配ではあるが、俺に今出来るのは己の闇魔法を磨き、いつ自警団が報復に来ても大丈夫なように備える事だ。

 俺は今日もリーザ先生の指導の元、闇魔法の研鑽に励んでいた。



「クラウス君! もっとお尻に力入れて!」

「はい、先生!」



 リーザ先生が振り下ろす木刀が俺の尻を強打する。しかし俺の尻は優れた反発力を発揮し、木刀をはじき返した。



「まだまだ行くよ!」

「はい、先生!」



 先生は何度も俺の尻に木刀を叩き付ける。しかし素晴らしい俺の尻は硬く痛みを感じない。十回程叩き付けられた時、木刀の方が

「参りました~」

 と言ってへし折れてしまった。今月だけでへし折った木刀は七本を数えた。これも闇魔法の特訓の成果と言えるだろう。



「ふう、少し休憩にしようか……。尻上がりに調子が良くなってきたね。尻だけに」



 リーザ先生はタオルで顔の汗を拭った。きめ細やかな先生の肌が汗で光っている。



「あの、先生」



 ここで俺はずっと気になっていた事をついに聞いた。



「前から聞こうと思ったんですけど、何で最近水着を着てるんですか?」



 先生はいつもの服装ではなく、三角帽子の他にはビキニタイプの水着しか身につけていない。



 ちなみに今日は青い水玉模様だが、日によってはパレオタイプだったり、スクール水着を身につけていたりする。俺の尻も硬くなるわけだ。

 前から少し露出の多い服装をしていたが、やはり水着だと露出のレベルが違う。最早半分裸と言ってもいい。細くきめ細やかな肢体には薄らと汗が浮き、窓から入ってくる西日を反射して輝いている。とて五百歳の肌には見えない。



「そんなの暑いからに決まってるじゃん!」



 リーザ先生はタオルで胸の辺りを拭きながら言った。豊かな双丘がゆさゆさと揺れている。俺の視線に気付いたのか、リーザ先生はにやにやしながら両手で胸を寄せるポーズを取った。



「どうしたの? 私の胸が気になるのかな? とんだロリコンだねえ」

「ち、違います。別に見てませんよ!」



 夏にはまだ早い気がするが、水着はいつ見ても良いものだ。



「クラウス君。君は確かに類稀なる素質も持っている。だけど油断しちゃいけない。君の中に取り込んだルナの呪いがいつ暴発するとも限らないんだからね」

「はい」

「だからいつルナの呪いが暴れ出しても良いように特訓しないといけないんだよ」

「分かります」

「だから君の尻を鍛える必要がある」

「その通りです」



 最初は戸惑いもあった。魔法の鍛錬はほとんどせず、日々行われる尻トレが嫌になることもあった。先生は単純に俺の尻を叩くのは、ただの趣味なのではと疑った事もあった。





 しかし日々の訓練を重ねるにつれ、どんどん自分から力が漲ってくるのを感じる。着実に闇魔道士としての道を進んでいるのを感じるのだ。

 具体的には尻が硬くなり、前述のように木刀をへし折れるようになったし、釘さえ刺さらなくなった。

 それに尻でティーポットを挟み、お茶を注げるようになり、尻で縄を掴み、足を離して一分間耐えられるようになった。もう少しすれば尻が言葉を発するようになる日も近いのではないかと思う。

 何か大事な事を忘れているし、大切なものを失っているような気がするけど気のせいだろう。だって人生はそういうものだから。
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