25年目の花畑の下には秘密が埋まっている〜探偵ごっこがお好きな見捨てられたお嬢様は見習い執事に愛される〜

八朔バニラ

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25年目の花畑の下には秘密がある

母の手紙

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 お嬢様と公英は離れに戻ると、土まみれのガラス瓶を洗った。
 ガラス瓶は元々は青い色をしていたようだ。
 青くて透明なガラス瓶はお嬢様の不安そうな顔を映している。
 お嬢様はガラス栓を外そうとしたが、びくともしない。

「僕がやりますよ」

「任せる」

 公英が力を入れるとガラス栓がぽんと外れた。

「11枚の手紙と……リボン?」

「どうやら、あの子は女の子のようだな」

 公英は黄色く変色したリボンを広げた。

「随分古いリボンですね。元は白かったのでしょうか」

「こちらの手紙は母上の字だな。どれどれ……
『誰がこの手紙を読んでいるか分かりませんが、私の懺悔を聞いてください。娘に手紙を書くふりをして、この手紙を書きました。本来なら娘のために手紙を書きたいのですが、私にはその余裕がありません。この10枚の手紙には私が知っている全てが書かれています』」

「メイド長が言っていたお嬢様への手紙ってこれのことだったんですね」

「ふうん」

 お嬢様は興味なさげに振る舞っているが、目は真剣に手紙を読んでいる。

「タンポポ、おそらく手紙には犯人に狙われかねない秘密が書かれている。だから、母上は花畑に隠したのだろう。犯人なら滅多に花畑に近づかないだろうからな」

「お嬢様のお母上は犯人を知っていたのでしょうか?」

「おそらく確証はないが目星はついていたのだろう」

「もしかして犯人が今も潜んでいるということはありませんよね?」

「25年経っているからなぁ。流石に可能性は低いと思うが」

「それを聞いて安心いたしました」

「さっそく一通目から読んでみよう」

 お嬢様は軽く息を吐いてから、手紙を読み上げ始めた。
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