15 / 18
1 異世界へ
15
しおりを挟む「お久しぶり、ルディ―レ」
彼女を見ると何故なのか懐かしい気持ちになる。夢の中でも目の前の少女の顔はハッキリと分かる。(幼女じゃなくて少女?)銀髪銀眼とツインテ―ルに変化はないけど、目の前の少女は少し成長していた。
数日しか経っていないのに数年は経過している様な姿、自由に姿も変えられそうだし驚くことじゃないんだろうが
「ルディ―レ、少し成長した?」
気になったら、聞いてしまうわけで……。
「はい、幼女扱いが嫌なので成長しました。そんなことはどうでもいいのですが、あなたはとんでもない場所に住み着きましたね。おかげでなかなか近寄れず大変でした」
(どうでもいいのかよ!)思わず心の中でツッコんだ。(心が読めるんだっけ)彼女が一瞬クスっと笑った様に見えた。
姿を変えることは彼女にとって、服を着替える様に簡単なことなんだろう。そんなルディ―レさえ、この『竜の墓場』に入るのは難しいことなんだろうか。
「とんでもない場所って、異世界人なら誰でも入れる場所なんだろう」
「いえ、普通は異世界人でも転がっている冒険者たちの様に入ったら死んじゃいますよ、たぶん」
そう話した後、ルディ―レは考えるそぶりをする。彼女は時折こうして考え込むことがある。僕の想像では、ルディ―レの上司的存在(この世界へ続く穴を開けた存在)に何かを確認をしているんだと思う。
「これくらいならいいですね。あなたは、ここの主に気に入られただけなんだと思います。詳しくはそのうち分かります……生き残っていたらですが」
「主?それより生き残るってどういうことなんだ!僕はこれから危険な目に遭うのか?」
あからさまに〝しまった〟という表情を彼女は見せた。
「それについては答えられません、以上です。運命はあなた自身が切り開くものなんですから、自分で何とかしてください。それより、私のここでの時間はそれほど多くは無い様です。さっさと新しいスキルを決めてしまいましょう」
自分の生き死にの問題なのに、そう簡単に割り切れるモノじゃない。それでも。
「わかったよ……」
このまま時間切れでスキルが貰えないのは困る。もし、本当に生き死にを分ける瞬間が来るのであれば、それを回避するためにも新しい力は必要になる。僕は聞きたい気持ちを抑えて、今はスキルの話を優先した。
彼女が現れたのは、僕が以前お願いしていた『死者の模倣』のLV五ごとに追加されるスキルについて話し合いをするためだ。
〝早くしてください〟の一言に、予め考えてあった追加スキルについての提案をはじめる。
LV五で提案したのは『窮地の中の小さな奇跡』という名前の追加スキル。正直コレについては使わないで済むことを祈りたい。僕らをこの世界に導いた存在に気に入られようと下心丸出しで考えたモノなのだから。ルディ―レもそうだが、彼女らはリスクを冒す行為を喜ぶ傾向がある。彼女らの希望に寄せ過ぎたせいか、このスキルの発動条件は自然と厳しくしなってしまった。それでも、死の危険が近付いているのであれば、きっと役に立つはずだ。
次に『剣術』と新しいスキルを交換してもらった。これについてはだめもとで言ってみたんだけど、スキルの性質が彼女たちの好みに合ったらしく、『死者の模倣』の追加スキルよりも早くOKをもらえた。
最期はLV一〇の追加スキル、前の二つに比べるとマトモで、スキルの名前は『五里霧中の強化』。一日三回使用可能な、模倣の魔物専用の補助魔法。
内容は、スキルの名前の通り、予測不能な強化を模倣の魔物に与える力だ。効果範囲は外に出ている模倣の魔物、予測不能というのはその補助系統の選び方にある。八面ダイスを投げて、一か二なら攻撃力、三か四なら防御力、五か六なら素早さ、七か八なら魔力と、出た目に応じた補助魔法を模倣の魔物に与えるスキルだ。効果時間は三〇分間。
ついでに頭の中でイメージして転がしていたサイコロも、ハッキリと具現化出来る様になった。今のところ六面と八面の二種類だけだけど、暇なときに振って遊ぶことが出来る……微妙な力。いつかボードゲームでも作った時に役立つかもしれないな。
スキルの相談が終わると、余程この場所にいるのが大変だったのか、ルディ―レはすぐに消えてしまった。(クッキーと紅茶楽しみにしていたんだけどな……)
追加スキルも手に入ったことだし、食料が心許無いこともあり一度町に戻ることにした。ルディ―レの予言めいた言葉が気になったので、模倣の魔物については『竜の墓場』に転がる冒険者の死体を使って枠一杯まで登録した。黒剣のペルギアルスという超レアキャラぽい名前の『死者の模倣』が成功したためか、『死者の模倣』の成功率が著しく落ちた。
『ステータス』を確認する。
名前:オディール 種族:人間 性別:男 年齢:一七 職業:未定 LV:一八
HP:二四七/二四七 MP:一〇四/一〇四 筋力:三三 器用度:二三 耐久力:三〇 敏捷度:二五 知力:四二 幸運:一七
スキル(パッシブ)
『棒術:LV七』『解体:LV四』『採取:LV八』『採掘:LV二』
スキル(アクティブ)
『死者の模倣:LV一四』『鑑定:LV三』『アイテムボックス:LV二』『生活魔法:LV一』『感情停止:LV一』
補正値
異世界人ボーナス:HPとMPの回復小上昇
『スキルの詳細確認』
名称:死者の模倣:LV一四 登録可能数:二三/二三
追加スキル 『窮地の中の小さな奇跡』『五里霧中の強化』
模倣の魔物登録リスト(MPは一体呼び出すのに必要な数値です)
【模倣の灰色大狼:LV一五(MAX)数:八 MP:三】
【模倣の狒々:LV六 数:一 MP:一〇】
【模倣のドゥームアナコンダ:LV三 数:一 MP:一二】
【模倣のアナネズミ:LV五(MAX) 数:一 MP:一】
【模倣の神官戦士団隊長アウロアの聖霊:LV一 数:一 MP:六三】
【模倣の勇敢な神官戦士の兵霊:LV五 数:五 MP:一五】
【模倣の亡国の騎士団長黒剣のペルギアルスの聖霊:LV一 数:一 MP:一七五】
【模倣の重戦士の兵霊:LV二 数:一 MP:八】※全身鎧に大きな盾を持つタンカー型。
【模倣の盗賊の兵霊:LV三 数:一 MP:七】
【模倣の戦士の兵霊:LV三 数:二 MP:七】
【模倣の水の魔術師の兵霊:LV二 数:一 MP:一〇】
人間の死体の模倣の魔物化には、名前に関する法則がある様で、多少の差異はあるのものの、Dランク以下の冒険者に付く称号は兵霊。元C~Bランクの冒険者は称号の前に勇敢なホニャララと言葉が入る。Aランク以上は生前の名前も残り最後に聖霊の称号が付くようだ。
それとLVに関してだが、模倣の魔物によってそれぞれLVの上限が決まっていた。模倣の灰色大狼はLVの上限が一五で、LVアップで一体でレッドベアと互角に戦える魔物になった。消費MPから考えて弱い模倣の魔物を育てた方がお得な感じがする。
谷に散らばる古い装備の中から売れそうな物を選び布の袋に詰め込むと、『アイテムボックス』に放り込み町へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる