落ちこぼれぼっちテイマーは諦めません

たゆ

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157話 問題の解決法を探して1(2021.08.21改)

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 砂まみれになって気を失ったモーソンは、翌朝、食事の匂いに釣られて目を覚ました。ボロニーズに手を借りて何とかテーブルまでは辿り着いたんだけど……本来の調子には遠く少しフラついている。
 あれだけ大量の砂を呑み込んでいたんだ、当然といえば当然だろう。ブランデルホルストがモーソンを逆さまに抱えて揺らすと、口からあり得ない程の砂が出てきた。下に落ちた砂でボロニーズが砂山を作った時には、その量に少し引いてしまったくらいだ。
 フローラルの話だとラフラー砂漠の砂は、その一粒一粒に魔力が宿っており、それを大量に呑み込んだモーソンは、一度に大量の魔力が体に入ったことによる魔力酔いに似た症状になったそうだ。

 朝食を終えるすぐに、四匹のスライムを連れて従魔の住処の外に出た。
 あれだけ多くの魔物同士が殺し合ったにも関わらず、昨日の出来事が嘘だったかのように砂漠はとても静かだ。
 砂ムカデの巣の近くに大きな岩を見た気がしたんだけど、今日はそれも無くなっている……。夜のうちに砂嵐でも来て、岩は全て砂に隠れてしまったんだろうか?
 不思議に思いながらも、太陽の位置で方角を確認しながら、少しずつ前に進む。
 問題無く動けると言っても、足を動かすのをやめると砂の中に沈みそうになる。それに、砂漠の暑さは想像以上にきつく、倒れないためにもこまめに従魔の住処に入り、水分補給を兼ねた休憩をいれた。
 思った様に先に進めないことにイライラがつのる。
 そんな時だ。無音に近かった砂漠に、急に水が流れる音がした。オアシスでもあるんだろうか?目指す方角とは違うが、音のする方へと歩いていく、どんどんその音は大きくなっていった。
 僕は、自分の目を疑った。砂が川の様に動いているのだ。しかも、普通に砂が動いているというよりは……氾濫した川の様に砂は荒々しく流れ、その砂の川の長さも幅も、僕の視界を埋め尽くすほどに広い。
 前に出過ぎたんだろう……押し寄せる砂の波に足を取られて体勢を崩す、ブルーさんが必死に体をロープの状に伸ばして僕の腕を掴んだ。
 他のスライムたちもブルーさんの体を必死に掴む……どうにか、砂の川に流されずに済んだ。

「みんなありがとう、助かったよ」

 お礼を言う僕に、スライムたちは一斉に怒り出す。黒板を出すのすら忘れて……みんなが〝プンスカ〟と体の形を変えて、凄く心配したんだ反省してと言わんばかりに、僕を囲む。

「ごめんなさい……」

 こういう時は素直に謝るのが大事だ。頭を下げる僕に、スライムのみんなが、いつも僕がしているように、体の一部を伸ばして僕の頭を撫でてくれた。
 照れ臭さいな、僕もお返しにスライムたちを撫でようとしたんだけど……また足が砂の川に攫われそうになる。
 砂の川は常時形を変えているみたいだ。安全な場所まで下がると、熱い砂漠の上で正座をさせられて、今度は黒板付きで四匹から説教を受けることになった。今のは、みんなも悪いような?

 四匹のスライムたちに土下座して謝った後、一度従魔の住処に戻り、昨日はなかったはずの砂の川が急に現れたことについて話し合うことにした。ラフラー砂漠は知らないことが多過ぎる。
 みんなにも実物を見てもらおうと、砂の川にもう一度近付き、従魔の住処を窓の様に開けて見せる。砂の川なんてモノ自体初めて見るわけで……みんなもただ首を捻るだけだ。
 そんな中、フローラルが口を開く。

(主様、これは私の予想なんじゃが、砂ムカデの巣があった岩場も消えているとのことですし、この大きな砂漠自体が生き物の様に動いているとは考えられないだろうか?ただ、そうなると……急に砂が動き出して呑み込まれてしまうことへの対策も考えねばなりませんぞ)

 魔力を持った砂だ、何が起きてもおかしくない気はする。ラフラー砂漠の地形以外にも僕らは問題を抱えている。スライムたちは砂に浮くから平気なんだけど、ほとんどの従魔が砂に沈んでしまうのだ。僕とモーソンは辛うじて動いていれば沈まずにすむ。
 体が軽いからといっても、砂漠の魔力と相性が悪い従魔が沢山……熱さと乾燥が苦手な植物の魔物であるローズやペルハたちはもちろん、常に水を纏っているアルジェントも砂漠に出た途端に何かの病気に掛かった様に動けなくなってしまう。妖精たちも、みんな具合が悪くなり砂漠では魔法が使えないみたいだ。
 ただでさえ歩きにくい砂漠で、従魔たちが一緒に行動できないのはキツイ。

(主様、だでさえ足を取らて進みにくいのに、砂漠自体が動くとなると脱出は困難かもしれませんぞ)

 フローラルが眉間に皺を寄せながら言った。

「そうだよね、朝から結構歩いているのにあんまり進んだ気もしないし、動く砂を避けながらじゃさらに遠回りにもなる……時間がかかりそうだよ」

 この状況に愚痴しか出ない。

「ねールフト、それなら船を作るのどうかな?」

 少し体調が回復したのか、温かい薬草茶を口にしながらモーソンが言った。船……良いかもしれない。砂の海や砂の川、泳ぐ魚もいるんだから船ならきっと浮かぶはずだ。

「でも、風がほとんど無いから帆が使えないんだよね、あの流れの早い砂の川を手漕ぎだけで進むのは難しい気もするし」

 僕の意見にモーソンも〝そうかー風が無いもんね、良い案だと思ったんだけどな〟と肩を落とす。このラフラー砂漠には、不思議と風が吹いていない。来たばかりだから、たまたまかもしれないけど。

(お父様、それなら船を牽く魔物を仲間にすればいいんですわ。ここには砂の中を泳ぐ魚の魔物もいますし……私も早くお父様と外を歩きたいのです)

 あまりにもローズが寂しそうに言うものだから、僕はその真っ赤な髪を思わず〝よしよし〟と笑顔になるまで撫で続けた。(そうなるよね……)毎度お馴染み従魔たちが撫でられるために列を作る。モーソンも僕も並ぶべき?みたいな顔でソワソワしている。さすがに幼馴染の頭を撫でるのには抵抗があったので、モーソンには列から外れてもらったんだけど、ちょっとだけ寂しそうな顔をしているように見えた。気のせいだよね!ね!

 そんな、危機感ゼロの話し合いの中、ニュトンたちを中心に従魔の住処の中にいるメンバーがラフラー砂漠横断用の船作り、僕とモーソン、ブルーさんとグリーンさんとレッドさんとホワイトさんの外で活動できるメンバーで、船を牽く魔物を探すことになった。
 
 
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