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第3章 崩壊への祭壇
7. 崩壊
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敵は消えた。ループは終わった。平原には、風の音ひとつしない、完全な静寂だけが残された。
グラードは、立ち尽くしていた。その体は、ボロボロと黒い粒子になって崩れ始めていた。自身の存在を維持する力さえも、静寂の燃料として使い果たしてしまったのだ。器が壊れる。魔王の遺物が、宿主を食いつくして自壊していく。
「グ、グラード……?」
ピクスは這いずりながら近づいた。グラードが、ゆっくりと膝をつく。その巨体が、枯れ木のように傾く。
倒れる寸前。グラードの視線が、ピクスを捉えた。虚ろだった瞳に、最期の瞬間だけ、わずかな光が宿る。それは慈愛でも、後悔でもない。ただ、自分の背後でしぶとく生き残り続けた「小さな機能」への、客観的な評価だった。
「おまえは……」
グラードの唇が動く。掠れた、だがはっきりとした声が、静寂の底に落ちた。
「……よく走ったな」
ドサリ。巨体が大地に崩れ落ちた。土煙が上がり、やがて静まる。
もう、動かない。呼吸もない。圧倒的だった威圧感も、世界を歪めていた因果の重みも、嘘のように消え失せていた。
ただの、物言わぬ肉塊。それが、かつて「災厄」と呼ばれた男の最期だった。
グラードは、立ち尽くしていた。その体は、ボロボロと黒い粒子になって崩れ始めていた。自身の存在を維持する力さえも、静寂の燃料として使い果たしてしまったのだ。器が壊れる。魔王の遺物が、宿主を食いつくして自壊していく。
「グ、グラード……?」
ピクスは這いずりながら近づいた。グラードが、ゆっくりと膝をつく。その巨体が、枯れ木のように傾く。
倒れる寸前。グラードの視線が、ピクスを捉えた。虚ろだった瞳に、最期の瞬間だけ、わずかな光が宿る。それは慈愛でも、後悔でもない。ただ、自分の背後でしぶとく生き残り続けた「小さな機能」への、客観的な評価だった。
「おまえは……」
グラードの唇が動く。掠れた、だがはっきりとした声が、静寂の底に落ちた。
「……よく走ったな」
ドサリ。巨体が大地に崩れ落ちた。土煙が上がり、やがて静まる。
もう、動かない。呼吸もない。圧倒的だった威圧感も、世界を歪めていた因果の重みも、嘘のように消え失せていた。
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