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第2章
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それに一番の楽しみは。
「あ、リディアってばもう来てたの?相変わらず真面目だなぁ」
扉を開けて生徒会室に入ってきたのはクライブ殿下と同じ5年生のエルフリーデ先輩。ふわふわと靡く巻毛は温かなストロベリーブロンドで瞳はまるで蜂蜜のような黄金色、しかも笑顔は満開の花を思わせる砂糖菓子のように可愛らしい先輩。容姿だけじゃなくって性格も最高で、少女の愛らしさと誰とも仲良くなれるフランクさを併せ持ったーーーゲームのヒロインだ。容姿端麗は勿論のこと、成績優秀もで、ゲームの設定通り生徒会執行部に名を連ねている。
「今日は先生の都合で最後の授業が自習になったんです。だから皆さんがいらっしゃる前に帳簿だけつけてしまおうと思って」
朗らかな問いかけに思わず浮かんだ笑みで答えれば、先輩の顔にも愛らしい笑顔が浮かぶ。が、その唇からこぼれた言葉は苦言だった。
「それが真面目だっていうのよ。秘書だとしても学園の生徒としての立場を優先して良いって、クライブ殿下からも言われているのでしょう?折角の自習時間なのだから、自分のしたい勉強をしたり、友人との交友の時間にすればいいの。リディアはとっても優秀で几帳面なのは知ってるけれど、仕事のせいで普通の女子生徒としての楽しみを遠慮して欲しくないって友人としては強く思うから」
「そんな、私のことを友人なんて……恐れ多いです。私はクライブ殿下が気まぐれで秘書の仕事を与えてくださったおかげで学園に通えているだけですから」
経済事情で貴族令嬢としての色々を諦めていた私が身分を隠しているとはいえ隣国の王女様のエルフリーデ先輩と友人なんて、言葉のあやだとしとも恐れ多すぎる。しかも彼女はヒロインだし。
本気で恐縮する私に、小さく肩をすくめた先輩はため息と一緒に苦言を続けた。
「まーたそんな自分を卑下したこと言うんだから。リディアはれっきとした男爵令嬢なんだから、そんな事言ってはダメよ」
「令嬢とは言っても名ばかりですし、実際仕事を持って働いている身ですから……」
「それがおかしいのよ!労働はとっても尊いものよ?働くのが女性だとしてもそれは変わらないはずなのに……常識が間違っているって皆んな知るべきだわ」
苦言だけど、その内容はとても優しい。心からの労いと思いやりに溢れた言葉に、私は学園に来てから何度目かの思いを強くした。
どうしたって先輩には幸せな最高にハッピーエンドを向かえてもらいます。そのための助力は惜しみませんから!!
心の中でファイティングポーズで密かに決意表明した私はそう言えば、とエルフリーデ先輩に問いかけた。
「先輩はどうして生徒会室に?今日はミーティングもありませんし、急ぎの仕事もないはずですし」
「あぁ。豊穣祭が近づいたからね、呼び出されたのよ。先週から実行委員会も立ち上がったし、執行部としても動き出さないといけないからね」
にっこりと笑顔で教えてくれた先輩の背後で、ゆっくりと扉が開いた。
「あ、リディアってばもう来てたの?相変わらず真面目だなぁ」
扉を開けて生徒会室に入ってきたのはクライブ殿下と同じ5年生のエルフリーデ先輩。ふわふわと靡く巻毛は温かなストロベリーブロンドで瞳はまるで蜂蜜のような黄金色、しかも笑顔は満開の花を思わせる砂糖菓子のように可愛らしい先輩。容姿だけじゃなくって性格も最高で、少女の愛らしさと誰とも仲良くなれるフランクさを併せ持ったーーーゲームのヒロインだ。容姿端麗は勿論のこと、成績優秀もで、ゲームの設定通り生徒会執行部に名を連ねている。
「今日は先生の都合で最後の授業が自習になったんです。だから皆さんがいらっしゃる前に帳簿だけつけてしまおうと思って」
朗らかな問いかけに思わず浮かんだ笑みで答えれば、先輩の顔にも愛らしい笑顔が浮かぶ。が、その唇からこぼれた言葉は苦言だった。
「それが真面目だっていうのよ。秘書だとしても学園の生徒としての立場を優先して良いって、クライブ殿下からも言われているのでしょう?折角の自習時間なのだから、自分のしたい勉強をしたり、友人との交友の時間にすればいいの。リディアはとっても優秀で几帳面なのは知ってるけれど、仕事のせいで普通の女子生徒としての楽しみを遠慮して欲しくないって友人としては強く思うから」
「そんな、私のことを友人なんて……恐れ多いです。私はクライブ殿下が気まぐれで秘書の仕事を与えてくださったおかげで学園に通えているだけですから」
経済事情で貴族令嬢としての色々を諦めていた私が身分を隠しているとはいえ隣国の王女様のエルフリーデ先輩と友人なんて、言葉のあやだとしとも恐れ多すぎる。しかも彼女はヒロインだし。
本気で恐縮する私に、小さく肩をすくめた先輩はため息と一緒に苦言を続けた。
「まーたそんな自分を卑下したこと言うんだから。リディアはれっきとした男爵令嬢なんだから、そんな事言ってはダメよ」
「令嬢とは言っても名ばかりですし、実際仕事を持って働いている身ですから……」
「それがおかしいのよ!労働はとっても尊いものよ?働くのが女性だとしてもそれは変わらないはずなのに……常識が間違っているって皆んな知るべきだわ」
苦言だけど、その内容はとても優しい。心からの労いと思いやりに溢れた言葉に、私は学園に来てから何度目かの思いを強くした。
どうしたって先輩には幸せな最高にハッピーエンドを向かえてもらいます。そのための助力は惜しみませんから!!
心の中でファイティングポーズで密かに決意表明した私はそう言えば、とエルフリーデ先輩に問いかけた。
「先輩はどうして生徒会室に?今日はミーティングもありませんし、急ぎの仕事もないはずですし」
「あぁ。豊穣祭が近づいたからね、呼び出されたのよ。先週から実行委員会も立ち上がったし、執行部としても動き出さないといけないからね」
にっこりと笑顔で教えてくれた先輩の背後で、ゆっくりと扉が開いた。
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