せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月

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第7章

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お茶を飲んでいたはずが急に仕事本気モードになった私に驚いたのだろう。一度固まった後、ようやく体勢を立て直したクライブ殿下はでも、まだ戸惑いを表情に混ぜていた。もしかしたら秘書に自分の恋愛事情がバレたと思って慌てているのか。

「リディア、パーティの進行について考えてくれているのは有り難いが、その意見はいただけないな」

「そうでしょうか。最善の策だと思います。それにエルフリーデ先輩は隣国出身な上に成績優秀者で生徒会執行部役員で豊穣の女神。これ以上ないプレゼンターでは?」

「いや、それはそうだと思う。だがそれとエスコートは…」

「別な問題ではありません、殿下。仮にも隣国の国王陛下がいらっしゃる場所です。王太子たる殿下がパートナーとするのは適当な相手では困るのです」

「適当な相手ではなく、リディアが務めてくれれば良い。この間だって問題なく…」

「いえ、今回と前回は全く状況が違います。殿下の秘書たる私をエスコートするのはよろしくありません」

「しかし…」

「殿下、覚悟を決めてください。いつかは乗り越えなければならないのです」

国王と姫といえど、父親と娘には違いない。「娘さんと付き合っています」と報告するのも「娘さんと結婚させて下さい下さい」とお願いするのも男として避けたい事案なのはわかるが、そこは仕方ないと諦めて腹を括ってもらいたい。
まぁ、公衆の面前でっていうのは気の毒だとは思うけれど、立場を考えれば諦めてもらいたい。

「別の適当な令嬢をエスコートしても、その令嬢に無駄な期待をさせてしまう可能性が高いのです。今後を考えれば一択、殿下にはエルフリーデ先輩と一緒に参加して頂きます」

不遜なほどにあえてキッパリと告げた。秘書にここまで言われれば殿下も決心してくれるだろうとの情け心だ。自分のささやかで淡い恋心を思えばちょっぴりセンチメンタルな気分にもなるけれど、これが仕事に生きると決めたリディア・ウェルデルのやり方だ。

切ないを通り越して、なんなら晴れやかさを感じる気持ちだったのに、目の前のクライブ殿下はこれ以上ないくらいの仏頂面で私の提案を却下した。

「俺がエルフリーデをエスコートすることはない。例えそれが式典にとって最善でも、だ」

「なぜですか。これ以上の案はないと思います」

「それでもだ。花束を運ぶ役目は時期役員で構わないが、プレゼンターとエスコートについては却下する。以上だ」

そう言ってお茶を飲み干した殿下は憮然とした態度で自分の執務机へと戻ってしまった。
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