生徒会書記長さん

梅鉢

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第三章

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テーブル席に着き、邪魔な紙バックを隣の席にぞんざいに投げた。
ハンバーガーはすぐに運ばれてきた。

北村には珍しく、両肘をテーブルに付きながらまだ熱々のバーガーにかぶりついていた。でも、ジャンクものってなぜか肘をついて食べるのが似合っちゃうよね。
この際行儀の良さなど気にしていられない。北村を見習って俺も肘付でガブリだ。

「この間、佐野の部屋に能登さんがいただろ?」
「あ、うん。いたね」

ほとんど忘れてしまっていた話題で、しかも内緒にしておこうとしていただけに少し言葉に詰まる。
内緒と言ってもほとんど会話の内容など皆無に等しい気もしたし、あの程度のことなら北村は口も堅いし言ってしまっても別にいいかなとも思えてきた。時間がたつのって気持ちもゆるくなっちゃって怖いね。

「もしかしてさ、カナタ絡みとか?」

何かしらの情報を持っているのだろうか。北村は俺を試すようでもなく、ほぼ肯定しているような口調だった。
北村になら言ってもいいだろうか。
別に俺に1人の心にしまって置けるものだし、吐き出したくて仕方ないわけでもないけど北村は北村で何かを知っているようだし情報の共有をしてみてもいいんじゃないか。

「正解。はっきりと南について何かを言われたわけじゃないし内緒にしていてとも言われなかったけど、ただお前や松浦には言いにくいみたいな話しだったからあの時は言えなかったんだよね」
「そうか。あのあとカナタに聞かれたんだよ。『佐野の部屋に能登さんが泊まったのか』って」
「なんで能登さんが俺の部屋にいたこと知ってんだー。盗聴器でも付けられてるのかよ、こえーなー」
「盗聴されているなら泊まったのか、朝に訪問してきたのかくらい分かるだろう。ただ、俺が訪問したとき玄関でのやり取りをたまたま見たらしいよ。カナタは部屋から出るところだったけど、なにやら騒がしいから様子を窺っていたって言っていたからな」
「それもなんだか怪しいわ。南のくせに窺うとかこわー」

おどけた様に言うと、北村は真剣な表情で俺の言葉に頷いた。

「俺もなんか可笑しいなって。いつもなら絡んでくるのにそれもなく俺たちの様子を見ていただけなんてちょっとカナタっぽくないかなって。そのときのカナタもフザケタものが一切なかったしな」

昔から能登さんや前会長に絡んでいるようなことはしなかったし、南から能登さんへの態度がそうだ、と言えばそうかもしれないが……。

「あの2人ってなんかあんの?」
「あるんだろうな」

俺よりもあの2人を知っている北村が言うんだ、きっと何かあるのだろう。能登さんの話だけを聞いたときは能登さんが一方的に南に想いでも寄せていると思ったけど。
実際は2人には俺たちの知らない何かがあるのだろう。
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