竹一族の記憶

夕凪ヨウ

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42首目に潜む待ち人 〜竹一族の記憶(三)〜

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 うるさいわね。誰なのよ。同じ言葉ばかり繰り返して・・・・!
 久々にゆっくり眠れると思ったのに、譫言うわごとを呟かれ続けるなんてたまったものじゃない。
 それにしても・・・・見つけた? 何を? 誰を? もしかして私を? そうだとしたら、この声は誰のもの? 
 目覚めた方がいいはずなのに、目が開かない。体が動かない。もしかして・・・・金縛り? 疲れが溜まっているとはいえ、こんなものにかかるなんておかしい。普段ならありえないことだわ。となると、どうやら“本物”のようね。四音は無事かしら。




 見つけた。ようやく見つけた。良かった・・・・生きていてくれたんだな。


 目を瞑っているのに、若い男の姿が見える。しかも、服装が今日の夕方視たのと同じ。やっぱり・・・・この幽霊は。


 行こう。私と一緒に行こう。約束しただろう? 叶わないなら・・・・


 まさか心中? あそこで待っていたってことは、海に身を投げるってこと? 冗談じゃないわ。勝手に故人に間違われて死ねだなんて、そんな馬鹿みたいな話があるもんですか。
 扇とかんざしを側に置いていて良かった。そこから少し力が取れる。


 うるさいわよ。言っておくけど、私はあなたが探している誰かじゃない。足を運んだからって勘違いしないで頂戴。


 私はなぜか目を開けて、体を動かして、男に苛立ちをぶつけている。男は酷く困惑した様子で、私の言葉の意味を測りかねている。だけど、少しずつわかってきたのか、落ち込んだ顔に変わった。目元は見えないけれど、下半分だけ見れば整った顔立ちだわ。こんな男が、叶わない恋などするかしら。


 そんなはずない。勘違いなんかじゃない。私はあなたを探していた。あの時、私と誓いを交わしたのは、間違いなくあなただった。


 他人の空似よ。私の一族はファンタジーじみた仕様にはなっていない。だから、あなたの考えていることは起こり得ないの。わかったら消えなさい。落ち着いたら、心置きなく祓ってあげるから。


 その言葉の強さ、間違いなくあなただ。ーーまた来るよ。その時は、一緒に行こう。


 

 お断りよ、と言ったのかもしれないし、心の中でそう言っただけかもしれない。何せ、現実か夢か、わからないような状態だったのだから。
 ただ、目を覚ました時、すでに夜は明けていた。雨も上がったらしく、陽光が部屋を満たしていた。
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